藤田 雪野 院長の独自取材記事
ことのはデンタルクリニック
(新潟市中央区/新潟駅)
最終更新日:2025/04/09

中央区女池に2025年2月に開業したばかりの「ことのはデンタルクリニック」。院長の藤田雪野先生は、穏やかな笑顔が印象的で、優しく話しやすい先生だ。新潟県新潟市出身で、生まれ育った地域へ貢献したいとの思いから開業を決意。歯周病や虫歯治療、かぶせ物治療、入れ歯治療など歯科医師として約20年の豊富な経験を持つ。藤田院長自身も働きながら子育てをする2児の母であり、スタッフは全員女性だ。子育て経験や多くの高齢者を診てきた経験を生かし、「子どもを含む老若男女が家族みんなで通える歯科医院にしたい」とほほ笑む。そんな同院の特徴や診療方針を詳しく聞いた。
(取材日2025年3月17日)
子どもから高齢者まで、安心して通いやすい歯科医院に
まずはこの場所に開業された理由をお聞かせください。

私自身がこの辺りで生まれ育ったので、地元で開業できる場所を探していました。ここは、メディカルタウンとして同じ敷地内に、内科・小児科・歯科と3つのクリニックがありました。もともとあった歯科医院が閉院されることになったのですが、小児科と内科が隣接していて、住宅や商業施設が多数あるエリアで地域の方に親しまれているとても良い場所だと思い即決しました。子どもを含む幅広い世代の方に気軽に立ち寄ってもらえる歯科医院にしたいと考えて、全面改装する形で当院が新規オープン。まだ開業して1~2ヵ月ですが、日中は高齢の患者さまが、夕方は小児科の前後にいらっしゃる子育て中の親御さんやお子さんに来院いただいています。
幅広い世代に向けて、具体的にはどんな工夫をされたのでしょうか。
老若男女が安心してリラックスして過ごせるクリニックにしようと考えました。内装は原色を使わず、目に優しい白や木目を基調としたデザインに仕上げました。院内は全面バリアフリーで、お子さんが過ごせるスペースも設けています。歯科ユニットは3台で、そのうち1つは完全個室にできる仕様にしています。「ことのはクリニック」という名称には、「きれいなお口できれいな言葉を発しましょう」という願いを込めました。加えて、患者さんとの言葉のコミュニケーションを大切にしたいという私自身への意識づけもありまして。歯科治療は患者さんご自身に治療の目的や意義を理解していただかないと、うまくいかないと感じています。そのため「何のために、この治療に取り組むのか」を言葉にして、丁寧に伝えていきたいと考えています。
めざすクリニック像について教えてください。

家族みんなで安心して通えるクリニックにしたいですね。これまで勤務医として勤めていた約20年間は、どちらかというと高齢の患者さまを多く診てきました。歯周病を専門とするクリニックで12年間勤めていたことや、私自身が入れ歯の治療も好きなので、そういった診療に対応することが多かったです。働きながら私自身も出産をして2児の母となり、現在も小学生の子育て中です。そうした育児経験から、親御さんが子どものお口のことで悩む内容に共感できるので、ファミリー層の患者さまにも注力したいと考えるようになりました。子どもの食べ方や食べる量、甘い物ばかり食べる……といった食事のお悩みもサポートしたいと考えて、食生活に関するアドバイザーの資格も取得しました。スタッフも全員女性で、その多くが子育て経験のあるお母さんなので、親目線でお子さんの診療に向かっています。
10年後、20年後を見据えて取り組む予防に注力
お子さんの診療で心がけていることはありますか?

子どもにとって歯科医院は、行くこと自体に抵抗があると思います。ですから、いきなり治療はせず、まずは器具に触れたり、診療のチェアに座ってみたり、ハードルの低いことからチャレンジしてもらうようにしています。小さなお子さんが歯科医院に行って、歯科医師の前に座れるだけでもすごいことだと、母親目線ではわかります。ですから、なかなか治療に進めなくても、こちらもそのつもりで対応するのでご安心いただきたいですね。そうして少しずつ治療を頑張ることができたお子さんにはプレゼントもご用意しています。「子どもが楽しく歯磨きできる方法」といった情報も、SNSなどを活用して発信しています。
歯科医師をめざした理由や、ご経験をお聞かせください。
私の家族は曾祖父の代から歯科医師で、自宅の敷地内にクリニックがあったので、幼い頃から歯科医師が身近な存在でした。親の勧めもあり自然な流れで日本歯科大学へ進学。大学では、歯科治療や実習は難しくて苦労しましたが、人体・医学の基礎や顕微鏡を使った勉強などは楽しかったです。大学卒業後は、日本歯科大学の総合診療科に3年在籍し、歯科診療の全体像を学びました。その時期に出会った恩師の先生がきっかけとなり、歯周病治療に注力することになります。歯周病治療では、歯茎の中まで掃除をするのですが、その先生の技術力の高さに感銘を受けて、技術を学ばせてもらうことになりました。東区にあるその先生のクリニックで勤めることになり、12年間勤務。2020年からは南区のクリニックの院長として勤務し、2025年に当院の開業へと至りました。
歯周病治療について、もう少し詳しく教えてください。

歯周病は症状が出にくいことが怖いところです。自覚症状なく、慢性的に進行していき、免疫が下がった時に、眠っている歯周病菌が活発になってしまい、痛みが出たり腫れたりします。そうして骨が減っていき、「噛めない」「食べられない」というお口の状態の悪化はもちろん、菌を飲み込むことによって腸内環境を荒らすともいわれています。歯周病の菌が血管を通して全身を巡ることも怖く、血栓ができると歯周病菌が検出されたという報告もあります。歯周病は全身に関連する病気だという情報を発信することで、歯周病になる前からしっかり予防をすることが大切だと伝えたいです。悪くなる前にリスクを知って30代~40代など若いうちからしっかり改善をめざしていくことで、10年、20年後により良いお口の状態へとつなげられたらと思っています。
口腔の健康からQOL(生活の質)向上に貢献したい
診療のモットーをお聞かせください。

患者さんとの会話を大切に、まずは相手の話や考えをしっかり聞くことを大切にしています。いろいろな患者さまがいらっしゃり、一人ひとり考え方も違うため、まずは患者さんの考え方を受け止めて否定しないことを心がけています。例えば、薬剤に対して抵抗のある方は、何かきっかけがあってその考え方に至っていると思うので、それぞれの思いに合わせた診療・向き合い方をしていきます。「ここが痛い」「早く治して」と訴え、長期的な治療計画をお伝えしても理解していただけない場合は、まずは治療してほしい主訴の改善に努め、状態の改善が図れた後に、現状のご説明と今後の治療提案をするなど柔軟な対応をしています。
今後、取り組みたいことはありますか?
一般的には、歯科衛生士の仕事はそこまで知られていないかもしれませんが、歯科医院では歯科衛生士さんの活躍が欠かせません。歯周病治療はもちろん、メンテナンスにいらっしゃる患者さまと長期的に伴走していく中で、歯科衛生士が患者さまに1番近い存在となるため、重要なポジションでありすごい力を持った方々だと考えています。歯科衛生士として働きたい気持ちがあっても、子育てとの両立などの事情で、そのスキルを発揮できていない方も多くいるのではないかと思います。そうしたママさんスタッフの雇用にも力を入れていけたらいいなと考えています。やる気やパワーのある大切なスタッフたちを大事にできる経営者でありたいです。当院はまだオープンしたばかりで少人数ですが、今後、歯科衛生士の人数も増やしていきたいので、スタッフのみんながのびのびと家庭と両立して働ける職場づくりに、取り組んでいきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

ただ歯を治療する役割だけでなく、お口の中の健康状態を向上させることが、一人ひとりの患者さまのQOL(生活の質)を高めることにも貢献できると考えています。お口の中の状態が悪くても、自覚症状が出にくく生活には困らないかもしれません。しかし、放置することで晩年に苦労する患者さまをたくさん見てきました。目の前の命を左右するわけでなくても、患者さんの人生をより良くするお手伝いができる、そんな存在でありたいですね。お口の中の状態は自分ではわかりにくいので、1年以上検診を受けていない方は、ぜひ一度、お気軽に来ていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは詰め物・かぶせ物3万3000円〜、ホームホワイトニング上下3万3000円〜