間嶋 荘一郎 院長の独自取材記事
瓦町ファミリークリニック
(高松市/瓦町駅)
最終更新日:2025/05/20

2025年1月に開業した夜間・休日診療の「瓦町ファミリークリニック」は、高松琴平電気鉄道のターミナル駅である瓦町駅から徒歩4分。常磐町商店街に新築された高層マンションの1階にある。同院で院長を務めるのは、高松市出身の間嶋荘一郎(ましま・そういちろう)先生。一般内科・小児科診療の他、内視鏡検査や外傷処置にも対応し、幅広い年齢層の診療にあたる。2012年に金沢医科大学を卒業した間嶋院長は、千葉県柏市の専門病院で消化器疾患の検査・治療に尽力。その後は群馬県高崎市の腎臓病治療施設に勤務しながら、透析患者らの手術治療に携わってきた。「時間や曜日に捉われず、誰かが困っている時に助けになれるクリニックでありたい」と朗らかに語る間嶋院長に、開業の経緯や同院における診療内容などについて、詳しく語ってもらった。
(取材日2025年3月14日)
子どもも大人も対応する、夜間・休日診療クリニック
香川では珍しい、夜間診療のクリニックですね。開業の経緯から伺いたいです。

私が医師として修行を積んでいた関東圏には、昼夜問わず開院しているクリニックがあり、私自身もそんなクリニックで非常勤医師として働いていたんです。18時以降の時間帯には、お子さんからお仕事帰りの方まで、さまざまな患者さまが来られていました。夜間診療の必要性を実感するうちに、「地元・高松市にも夜間診療のクリニックがあれば」と思うようになったのです。もちろん、香川と首都圏では人口がまったく違います。今でも不安に思うことはありますが、自分の経験を生かしながら、大切な故郷の皆さまのお役に立ちたいです。現在の主な診療時間は、18時から22時まで。火曜日は19時30分から、土曜日は18時30分からとなり、日曜・祝日も診療しています。
商店街という場所を選ばれたのは、どのような理由からですか?
この常磐町商店街は、琴電のターミナル駅となる瓦町駅から徒歩圏内。大勢の方々が往来する、市の中心的エリアです。この場所であれば、電車通勤をするお仕事帰りの方でも、気軽に立ち寄りやすいのではないかと考えました。繁華街ですので、飲食店などで夜間にお仕事をされている方も多いでしょう。この地域の方々が親しみを持てるように、そしてご家族全員の健康をサポートするホームドクターになれるように、クリニック名は「瓦町ファミリークリニック」としています。
その他にも、開業の際にこだわられた点はありますか?

クリニックでの待ち時間が長くなると、患者さまにストレスを与えてしまうだけでなく、院内感染のリスクも高まります。待機・滞在時間はなるべく短縮して、患者さまの精神的・身体的負担や感染リスクを軽減するために、ウェブ予約やウェブ問診、電子カルテのシステムを取り入れました。これらのシステムは、クラウド上ですべて連動させています。また院内の設計においても患者さまとスタッフの動線を分離し、接触の機会を減少させながら、スムーズな診療に努めています。薬剤の処方は院内外、どちらでも対応可能です。急性期・慢性期を問わずご用意し、14日分以上の長期処方にも対応しています。
経験豊富な胃・大腸内視鏡検査を夜間に提供
診療内容について教えてください。

内科と小児科を掲げています。多いのは発熱症状による受診ですが、夜間診療ということもあり、いろいろな症状の方が来られていますね。「昼間に病院へ行ったけれど、熱が下がらない」という大人の方もいらっしゃれば、「突然食事が取れなくなった」というお子さんなどもおみえです。救急車を呼ぶほどではなくても、つらい症状、苦しい症状はたくさんあると思います。当院が、そういった症状でお困りの方々の受け皿になれればうれしい限りです。幅広い症状や疾患に対応するため、院内にはエックス線撮影装置や超音波診断装置、心電図検査機器、さらには胃と大腸の内視鏡検査機器も導入しています。当院での対応が難しいと判断した場合には、提携する基幹病院を紹介させていただきますので、受診を迷う症状でも安心してご相談ください。
夜間に内視鏡検査を受けられるところは珍しいですね。
私は大学卒業後、県内外の総合病院や専門病院で大腸・肛門疾患の検査、治療を数多く経験してきました。その経験を生かして、当院でも内視鏡検査に取り組んでいます。内視鏡検査を受ける上で、特に注意が必要なのが食事制限です。夜間の検査であれば、朝食はもちろん軽めの昼食を取っていただくこともできますので、患者さまの負担軽減につながると考えています。下剤も、ご自宅で服用可能です。胃の内視鏡は鼻からでも口からでも挿入でき、大腸内視鏡検査については、苦痛に配慮するため静脈麻酔下で実施します。検査用のベッドは、便利な移動式です。検査後は横になったままリカバリースペースへご移動いただき、検査で発見された小型のポリープは、その場で切除を図ります。便秘や血便などで悩まれている方は、早期治療の観点からも早めにご相談いただきたいです。まだ開業から間もないですが、当院では20代、30代の方でも内視鏡検査を受けられています。
外傷処置にも対応されているとか。

より広い視野を持って医療に取り組んでいくため、群馬県の総合病院内にある腎臓病治療センターで手術治療に従事してきた経験がありますので、外科的な処置にも対応可能です。この病院には40を超える診療科があり、それぞれの科を支えるセンター施設との間で連携を取りながら、集学的治療の提供をめざしていました。当時の私が主に携わっていたのは、血液透析を実施するために、動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント手術です。既に日本消化器病学会消化器病専門医や、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を取得していましたが、この頃に日本透析医学会透析専門医の資格も取得しました。こうした外科医としての経験も、当院の診療に還元していきたいです。
急性疾患から慢性疾患まで、気軽に相談を
患者さんと関わる上で、大切にしていることを教えてください。

すべての人に対して同じ目線で、対等に関わるということです。糖尿病患者さまに向けた、血糖値の測定器を実際に活用してみたり、子ども用のシロップ薬の味を自分でも確かめてみたり(笑)。自分自身の体験談は、患者さまに対するわかりやすい説明にもつながると考えています。頼れる人が限定される夜間は、どうしても不安を覚えやすいものです。当院を受診することで何らかの疑問を解消し、「ここに来て良かった」と安心していただくためにも、常に患者さまと同じ目線に立つことを忘れずにいたいと思っています。
診療外の時間は、どのようにお過ごしなのでしょうか?
人は同じ環境にとどまっていると、どこかで慣れが出てきますよね。私はそれが嫌なので、常に新しい環境で新しい刺激を受けるようにしています。助っ人として、他院で外来診療や内視鏡検査を担当することもあれば、訪問診療に出向くこともありますよ。そうやって積み重ねた経験もまた、当院の診療に還元されていくと信じています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「日中はクリニックに行く時間がない」、「休日でかかりつけのクリニックが診療していない」、そんな時はお気軽に当院までご来院ください。特に、日中のお仕事を休まなくてよい内視鏡検査などは、働き世代の方にとってメリットが大きいのではないでしょうか。現状は急性期の患者さまがほとんどですが、当院は糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった慢性疾患の診療や、一般健診にも対応しています。患者さまお一人お一人の健康状態に合わせた診断・治療を心がけ、一生涯寄り添うクリニックが目標です。まずは当院の認知拡大を図りながら、この地域の皆さまの健康と笑顔を守っていきたいと思います。