思春期に多い起立性調節障害
食事や生活習慣から症状にアプロ―チ
Health & Cure クリニック赤坂
(港区/赤坂駅)
最終更新日:2025/05/13


- 保険診療
自律神経の乱れなどによって、めまいや起床時に強い倦怠感などが現れる起立性調節障害。子どもから大人まで発症する可能性のある病気だが、特に思春期の子どもに多く見られる。そんな起立性調節障害を専門とする「Health & Cure クリニック赤坂」の山口里恵院長によると、今は1クラスに1人から2人の割合で症状に悩む子どもがいるそうで、実はとても身近な病気であることがわかった。同院では、薬では症状の回復が図れない患者も少なくない起立性調節障害に対して、薬物療法だけでなく栄養バランスや生活習慣に関するアドバイスも行うことで症状の軽減をめざし、患者が健康的な生活を送れるようサポートしている。これまで多くの患者に寄り添ってきた山口院長に、起立性調節障害の主な症状や原因、同院での治療について聞いた。
(取材日2025年4月14日)
目次
規則正しい生活で自律神経を整え、管理栄養士による栄養バランスに関するアドバイスなどで改善を図る
- Q起立性調節障害の症状にはどのようなものがありますか?
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A
▲起立性調節障害の治療を得意とする山口院長
めまいや立ちくらみ、頭痛、腹痛、強い倦怠感といった症状があり、種類や程度は人によってさまざまです。中でも、朝起きられず学校へ行けないという訴えが多くなっています。ほとんどの患者さんが朝起きてから午前中にかけて症状が出やすく、午後になると徐々に良くなっていく傾向にあります。起立性調節障害は見た目からはわかりにくい病気で、社会的にもあまり認知されていないため、しばしば「怠け」や「サボり」と誤解されることがあります。しかし、患者さんは自分ではどうしようもない症状に悩んでいます。特にお子さんの場合には、家族や周囲の病気に対する正しい理解と医療機関によるサポートが必要です。
- Q起立性調節障害の原因について教えてください。
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A
▲患者一人ひとりの原因を突き止めて、治療を進める
自律神経の乱れが原因とされています。この病気は成人よりも子どもの割合が高いのですが、その理由として思春期は自律神経が不安定になりやすく、血圧調節機能がうまく働かなくなるからと考えられます。ほかにも、栄養不足やストレスが影響している場合もあります。成長期のお子さんは急激な成長によって必要なタンパク質や酵素が不足しがちですし、女性は月経による鉄分不足が関わっていることが多いです。起立性調節障害と診断された人の中には、一般的な貧血や栄養不足であるにもかかわらず、見逃されてしまっている人も少なくありません。
- Qこちらではどのような治療を行っていますか?
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A
▲在籍する管理栄養士が日常の食事について丁寧なアドバイスを行う
起立性調節障害は、基本的には昇圧剤や漢方による薬物療法と生活習慣の改善によって症状の改善をめざします。当院の場合は、薬物療法を行いつつも、患者さんの体質に合わせた食事指導によるアプローチが中心になります。管理栄養士による食事のフィードバックやアドバイスにも取り組んでおり、普段の食事で補えない場合は、鉄剤やプロテインなどをお勧めすることもあります。最近は、食生活の変化によって腸内環境が乱れているお子さんが増えている印象です。腸内環境が悪いと、そもそも栄養を十分に吸収できません。当院では腸内環境について学べるセミナーも開催していますので、興味のある方はお声がけください。
- Q治療を進める中で、日常生活で気をつけることはありますか?
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A
▲クリニック全体で家族を支える。不安なことはぜひ相談を
まずは規則正しい生活を心がけましょう。「セロトニンを増やす」ことを意識してストレスを軽減し、腸内環境を整えましょう。その上で、朝起きたら日光を浴びることも良いでしょう。運動に関してはウォーキングや水泳が有用ですが、体調に合わせて適度に行ってください。日々の食事では、1日あたり10~12gの塩分を取ることも大切といわれています。ただ、精製された塩ですとミネラルが圧倒的に少ないため、海水を天日干しして作られたものがお勧め。そして、お菓子やジュースを食べる頻度を減らし、タンパク質を積極的に取るよう意識してみてください。そのほか気になることや不安なことがあれば、医師や管理栄養士にご相談くださいね。