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大越 良夫 院長の独自取材記事

大越歯科医院

(越谷市/蒲生駅)

最終更新日:2025/04/25

大越良夫院長 大越歯科医院 main

歯科医師2年目で摂食嚥下治療の道を志し、一般歯科と訪問歯科治療でキャリアを築き14年。2025年2月には待望の「大越歯科医院」を開業した、院長の大越良夫先生。歯にスプーンを持たせたロゴマークには、「口内の健康を守り、生涯口から食べる幸せを提供していきたい」といった思いが込められている。「名医ってわけでも、大学教授でもなく、すごく豪華なクリニックで……というわけでもないんですよ。ただ自分の口から食べたい、家族が食べられなくて悩んでいる、という時に力になってくれそうな歯科医院が越谷の蒲生にあったと思い出してもらえたら」と、穏やかな笑顔を見せる、そんな大越院長に歯科医療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2025年3月19日)

口腔機能改善をめざし、摂食嚥下治療に力を注ぐ

今までの経歴と、開業までの経緯を教えてください。

大越良夫院長 大越歯科医院1

最初は浦和で一般歯科を中心に行い、その後足立区のクリニックで訪問診療と出会いました。その後、一般歯科と訪問診療をメインにやっていた東京の押上の歯科医院で訪問診療としてのキャリアを本格的にスタートしたんです。その次に草加の歯科医院に移り、8年ほど押上の時と同じように一般歯科と訪問診療の治療に携わっていました。そのうち、自分のクリニックを持つなら慣れ親しんだこのエリア近くで、と強く思うようになり、良いご縁があって2025年の2月に待望の当院を開業することができたんです。これからも、この地域の皆さんのために歯科治療を続けていけたらと思っています。

先生が摂食嚥下治療の道を志したのはどうしてでしょうか?

歯科医師になって4年目くらいの頃、当時まだ珍しかった訪問診療に携わる機会があったんです。施設内の患者さんを診ていたのですが、口内環境が望ましくない状態になっている人ばかりで、たいへん衝撃的でした。寝たきりの人も多く、お話もできず、食事も口から取れないですから、皆さん、チューブから胃に栄養を送る胃ろう処置をされてました。そこの看護師さんから、この状況は「ご本人やご家族が本当に望むことなのだろうか」と問われたんです。ずっと車いす生活だと歩けなくなってしまうのと同じで、話す、食べる、飲むことをしなくなると、いつかできなくなります。口の機能回復という分野では医師は介入しないとも聞き、これこそ歯科医師の私が担い、進むべき道なのではと思ったのがきっかけでした。

歯科医師の役割について、もっと認知度を上げたいとおっしゃっているそうですね。

大越良夫院長 大越歯科医院2

高齢の方が誤嚥性肺炎などで入院されると、口から食べたり飲んだりすることができない、禁食状態で退院してくるケースがほとんどなのですが、実際にはまだ自分の口で食事ができる人はたくさんいます。口を使わなくなってしまうから、機能が低下してしまい、結果的に食べられなくなって衰弱してしまうんです。これを何とかしたいと、ケアマネジャー、施設スタッフらを交えてとことん話をし、早い段階で歯科医師であるわれわれが介入できたらどんなに違うだろうと痛感。歯科医院は痛みがある時に行く場所だと思っている方もいまだ多く、衰えてしまった口腔機能を回復するために頼れるのが私のような摂食嚥下治療を行っている歯科医師であることは知られてはいません。もっと認知度を上げ、ご本人、施設、ご家族が困った時にすぐ手を差し伸べられるような世の中になってくれたらと願っています。

生きるために必要な口元の維持、改善は歯科医師の使命

摂食嚥下の検査はどのように行うのでしょうか?

大越良夫院長 大越歯科医院3

私は、病院で禁食と言われていても、声が出せれば飲み込む力はある場合も多いので、その辺りをまずは診察します。食事を止められるのは、現状を見てというよりも、一番悪化した時のことを想定して指示されている場合が多いのですが、気管のほうではなく食道へ正しく飲み込めているか、喉の動きはどうなのかを診たいので、最初に嚥下内視鏡検査を行うこともあります。これは鼻から細いファイバースコープを挿入して、誤嚥がなくきちんと飲み込めているか、噛めているかを喉の上から見られる検査機器で、その場でご本人やご家族、施設スタッフと動画で確認することができるので便利です。一般的な内視鏡より細いので、痛みは少なく、高齢の方でも問題なく受けていただけます。こちらは院内での診察や、訪問先で受けることができます。

治療にはリハビリテーションや栄養指導が重要なのですね。

摂食嚥下治療を行っても、残念ながらすべての人が自分の口で食べられるまでに回復するのは難しいでしょう。ただ、その人に合ったリハビリテーションを行うことで、声が出せるようになったり、食事の形態を変えることによって改善が見込まれる場合も多々あります。例えば「あ」「い」「う」「べ」と、一つ一つ言っていき、口を上や横にぐっと開いたりとがらせたりする体操があるのですが、これは一緒に舌も使い、お口周辺の筋肉をやわらかくするためのリハビリテーションにもなります。うまく開かなければ、理由は何か考え、口が固まっているなら「マッサージしてみよう」など提案していきます。そもそも栄養が足りていない状態なら、栄養補給のために医科と連携して、経腸栄養剤などを処方していただいたりして、「体重が増えてきたり、体調が整ってきたら、またチャレンジしてみよう」など、いろいろな方面から原因を探り、提案していくのが大切なのです。

ご本人とご家族が後悔しないようなゴール設定が大切なのですね。

大越良夫院長 大越歯科医院4

口を使わなくなると、食べるだけでなく、話すことも次第にできなくなります。唾液の分泌がなくなって乾燥し、痰が増えることで口内環境が汚染され、声が出なくなることにつながるのです。以前勤務していたクリニックでも、そうした患者さんを診てきました。例えば、食欲が落ちて食べられなくなり、痰がこびりついて酷い状態だった方がいました。それで私が訪問して、声が出せるようにと痰を除去して差し上げたのです。また、発声のためのリハビリテーションをしている患者さんと一生懸命向き合い、ご家族から「ありがとうございました」とご連絡をいただいたこともあります。どちらの患者さんも残念ながら亡くなってしまったのですが、最後に自分の声でご家族に思いを伝えられていたら、とてもうれしいです。歯科医師冥利に尽きますね。

生涯口から食べられるようなケアを一人ひとりに

先生が診察で大切にしていることは何ですか?

大越良夫院長 大越歯科医院5

患者さんの顔色や表情を見ながら、「意思の疎通をどうやって図っていくか?」をまずは考えます。一般歯科診療では、通院もお話もできる方ばかりなので、円滑なコミュニケーションを心がけて診察を行っていきますが、訪問診療や摂食嚥下の治療が必要な患者さんは、うまくお話ができなかったり、思ったことを伝えるのが難しかったりという方が多くいらっしゃいます。口元の機能が失われてしまい、こちらの呼びかけに反応ができなくても、血流を促し硬くなってしまった筋肉をほぐし動きが出るように、唇の周りや頬を温めたりマッサージをしたりして働きかけます。お話がしやすくなるように乾燥してしまった唇や口内を保湿しますし、自分で痰を切って飲み込めるように喉の動きも注視します。できない、難しいではなく、目の前の患者さんのために何ができるかを第一に診察をしています。

志を同じくするスタッフと一緒にゼロからクリニックをつくってきたとお聞きしました。

開業するならば、同じ思いを持った人たちとやりたいと思っていたので、それまで一緒に働いていたスタッフに声をかけて協力してもらいました。現在、私と同じ一般歯科と摂食嚥下治療ができる歯科医師が1人、歯科衛生士が3人、事務長1人の合計6人で頑張っています。志を同じくする気心知れた仲間たちと、口から食べていくことにコミットした歯科集団をつくり、「生涯自分の口で食べていける歯科医療」を提供していきたいと願っています。

最後にメッセージをお願いします。

大越良夫院長 大越歯科医院6

歯科医院は虫歯や歯周病などの治療でかかるだけの場所ではなく、「食べる、飲む、話す」といった生きることに直結するお口の環境を診る所でもあります。体で気になることがあったら病院に通うのと同じように、口に関することでお悩みがあれば、何でも相談しに来ていただきたい。一般歯科疾患から、食べられない、飲み込めない、話せないなど摂食嚥下機能のご相談まで、「大越歯科医院なら力になってくれる!」と言われるくらい、地域の駆け込み寺のような存在になれたらうれしいです。

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