手術や通院の負担を軽減する
鼠径ヘルニア手術の流れ
神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック
(神戸市中央区/三ノ宮駅)
最終更新日:2025/03/14


- 保険診療
足の付け根に膨らみが生じる鼠径ヘルニア。40代以上の男性の3人に1人が発症するともいわれる、現役世代に起こりやすい疾患だ。痛みを伴わないことも多く、通院や手術が忙しい日々の中で負担だと感じる人が多いため、実際には何年も放置している人が少なくないそうだ。しかし、鼠径ヘルニアを専門とする「神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック」の藤木和也院長は「痛みがなくても自然治癒することはありませんので、できるだけ早期に受診し、早めの手術をお勧めしています」と話す。女性でも30人に1人は発症する鼠径ヘルニア。手術や通院の負担を軽減し、1人でも多くの人に手術を届けたいと奮闘する藤木院長に、同クリニックの日帰り鼠径ヘルニア手術について、詳しく解説してもらった。
(取材日2024年2月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q初診から手術、経過観察まで院長先生が担当してくれるのですか?
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A
当院は鼠径ヘルニア専門クリニックで、消化器外科の医師として研鑽を積んだ私が、診断から手術、術後の経過観察に至るまでのすべてにおいて責任を持って診させていただいています。病院のシステム上、担当者が都度変わる病院とは違って、最初から最後まで一貫した治療・説明が可能です。受診するたびに同じ説明をしたり、違う説明をされたりすることはありませんので、安心して相談いただけるのではないかと思います。また、忙しい現役世代の方にもできるだけ気軽に受診していただけるよう、大きな問題がない患者さんに関しては術後の経過観察をオンラインで行っています。もちろんオンライン診療も私が担当していますので、ご安心ください。
- Qどのような症状が出た時に受診すれば良いのでしょうか?
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A
鼠径ヘルニアは40代以上の男性に多く発症する病気で、その多くは足の付け根に膨らみができたことで見つかります。立った時やおなかに力を入れた時にぽこっと膨らみますが、横になったり押し込んだりするとなくなるのが特徴で、痛みや違和感を伴うこともありますが、膨らみ以外は無症状ということも少なくありません。そのため何年も放置されていることがありますが、そけいヘルニアは自然治癒することはありません。それどころか、筋肉の穴から飛び出した臓器が挟まる「嵌頓」という状態が起これば、激痛を生じるだけでなく、最悪の場合には命に危険が及ぶことも。そうならないためにも、早めに受診し適切に対応することが大切です。
- Qどのような手術法で行うのでしょうか?
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A
腹腔鏡による日帰り手術を取り入れています。全身麻酔下でおへそを約2cm切開し、そこから腹腔鏡にておなかの筋肉と内臓を包む腹膜という袋の間を剥離して穴を修復するSILS-TEP法と呼ばれる単孔式腹腔鏡手術です。この手術は非常に低侵襲なので体への負担が少なく、手術の際に内臓を傷つけるリスクが少ないのが特徴です。ただし、この手術ができるのは全身状態に問題がなく、飛び出した臓器に癒着が見られない場合のみ。日帰り手術では危険だと診断した場合には、提携先の病院を紹介し、入院して手術を受けていただきます。また、当院での手術中に臓器の癒着が認められた場合には、安全性に配慮して、術式を切り変えることがあります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1受付で問診表を受け取り、待合室で記入する
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まずは問診票に記入。膨らみに気がついた時期や痛みの有無、全身状態や服薬中の薬などを記入する。過去に撮影したCT画像がある場合には持参してほしいとのこと。その後、問診票をもとに医師の身体診察、超音波検査を行って鼠径ヘルニアかどうかを診断。治療適応ありと判断され、同院での治療を希望する場合は、同日に手術予定日を決定する。
- 2各種検査と手術の説明を受ける
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手術予定日が決まれば、安全に手術を行うための術前検査を受ける。初診の日に手術を決断できれば、同日に術前検査まで対応可能とのこと。後日改めて手術予定日を決める場合には、手術日の調整と術前検査の予約を入れる。術前検査後には手術の術式や内容、手術前後の注意事項など詳しく説明を受ける。
- 3手術室入室
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手術当日に来院し、着替えなど手術の準備。服薬している薬がある場合は当日の食事制限と同じく、必ず医師の指示に従うこと。準備ができたら手術室に入室し、心電図・血圧計・酸素飽和度のモニターを装着し、腕から点滴を行う。その後酸素マスクを装着し、静脈麻酔を開始。数十秒ほどで意識が消失し、眠りにつくことが見込めるそうだ。
- 4手術開始
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手術は通常、1時間ほどで終了。ただしヘルニアの大きさや癒着など、状況によって手術時間が前後する可能性があるので、送迎などを手配する場合には余裕を持って計画しておくと良いだろう。手術はへそを2センチほど切開し、腹腔鏡を挿入して行う。傷が小さいため早い回復が見込め、傷痕も目立ちにくいよう配慮されているそうだ。
- 5回復室にて術後の休憩
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術後は麻酔の影響があるため、回復室にてゼリー飲料などを取りながら2〜3時間休憩する。十分な回復が確認できたら医師の診察を受け帰宅可能。車両の運転は禁止なので、送迎や公共交通機関を利用したい。手術翌日の夕方には、電話にて術後の状態の確認。3日後にはオンライン診療にて傷痕の確認を行い、問題がなければ入浴も可能となる。以降、術後2週間、術後3ヵ月、術後1年で再診し、経過観察をすることが大切だ。