深澤 祐子 院長の独自取材記事
日本橋人形町ブルジョンウィメンズクリニック
(中央区/人形町駅)
最終更新日:2025/06/12

2025年2月、人形町駅からすぐの場所に開院した「日本橋人形町ブルジョンウィメンズクリニック」。深澤祐子院長は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医として、大学病院などで子宮内膜症専門の外来や婦人科手術を担当してきた。その経験を通して「重症化する前にできることがあるのでは」という思いから、幅広い年齢層に向けて同院を開院。クリニック名にある「ブルジョン」とは、フランス語で“つぼみ”や“芽吹き”を意味し、女性が次のライフステージで花開いてほしいという願いを込めたという。親しみやすく、どんなことでも気軽に話せる雰囲気の深澤院長に、患者の困り事に対するアプローチを充実させる取り組みや受診時の恥ずかしさを軽減する工夫から、開院の理由、産婦人科の道をめざしたきっかけ、そして今後の展望まで聞いた。
(取材日2025年4月23日)
すべての年代の女性のライフステージを支えるために
この場所に開院した理由、患者層を教えてください。

「すべての年代の女性に寄り添いたい」という当院のコンセプトを実現できる場所というのがあります。 この辺りで働いていらっしゃる若い方から、長くここに暮らしていらっしゃるご高齢の方まで、さまざまな方がいらっしゃいます。お子さん連れのママさん世代も多いですね。婦人科疾患が出やすい30代〜50代の方を中心に、10代から80代まで幅広い年齢層の方が来院されています。私自身、小学生の頃にこの辺りにご縁があった時期もあり、なじみのある地域でもあります。偶然にも、同じビルの上の階に乳腺クリニックが入っていることも、ここにしようと決めた理由の一つになっていますね。
深澤先生の「幅広く対応するために、選択肢を増やしたい」というお考えについてお聞かせください。
患者さんの主訴に応じて幅広いアプローチができるように、設備を整え、知識を身につけているということです。例えば、更年期の方でホットフラッシュなどが気になっているとします。その際、保険適用のホルモン補充療法だけでは改善が望めないというケースもあります。そのときに、何かしらの選択肢を示せるようにしたい。そうすることで、患者さんが何に困っていて、生活において何を大切にされているのか、どこをどうしたいのかという点にも、深くアプローチできるようになると考えています。
新たな試みとして、日帰り型産後ケア施設との連携も始まったと伺いました。

はい。当院に置いている骨盤底筋トレーニングチェアが、産後の骨盤のゆるみへのアプローチとして有用であることをお伝えしたところ、日帰り型産後ケア施設の方がすごく興味を持ってくださって、必要な方にご紹介いただいているんです。このような連携によって、地域の女性たちを多面的にサポートしていきたいと考えています。
婦人科受診のハードルを下げる取り組み
“町のクリニック”の強みはどのようなところでしょうか?

こまやかに対応できるところが、“町のクリニック”の強みだと思っています。大学病院に勤めていた時、すでに重症化してしまい治療が難しい状態の患者さんを多く診てきました。そうした経験を通じて、重症化する前に早期にアプローチできる町のクリニックの存在意義を、改めて強く実感しました。町のクリニックでは、広い意味での予防医療にも取り組むことができます。気軽に通えて定期的に身体をチェックできる場所として、婦人科の“かかりつけクリニック”になることが大きな役割ではないでしょうか。
「検査されるのが恥ずかしい」と、婦人科の受診をためらっている人も少なくないと感じます。
そうですね。婦人科の受診はハードルが高いと感じている方も多いと思います。当院では、恥ずかしさを可能な限り軽減できるよう、露出を抑えて検査ができる「女性用検査パンツ」をご用意しています。経腟超音波検査に抵抗がある方には、おなかの上から超音波を当てる経腹超音波検査を行っています。こうしたちょっとした工夫の積み重ねで、受診のハードルが下がるのであればうれしいですね。
なかなか受診への一歩を踏み出せない方に、メッセージをお願いできますか?

婦人科は、内診だけでなく、お話を伺う中で判断できることも多くあります。また当院は若い世代の方が気軽に相談していただける「ユースクリニック」や、「“何歳でも”はじめての婦人科サポート」といった取り組みもあります。なかなか言い出しにくいことや、誰に相談していいかわからない身体の悩みを、女性を診る専門家である産婦人科医に話すことで、気持ちが軽くなったり、そこから病気の発見につながったりすることもあります。婦人科の範囲でなければ、適切な専門機関を紹介することもできますので、女性の相談窓口として、気軽にお越しいただければと思います。
女性の未来を支えるために今できることを
深澤先生が産婦人科の道をめざしたきっかけはなんだったのでしょうか。

今でこそ婦人科中心に診療していますが、きっかけはお産にふれることの素晴らしさです。産婦人科では、人の一生に関われますし、「おめでとう」と言えるところに魅力を感じていました。医学部時代に子宮や卵巣など、臓器の特性を知れば知るほど興味が湧いてきたという感じです。そして周産期医療に関わる中で、妊婦さんが健康でいることの大切さを痛感し、先にできることは何かと考えていたら、最終的にライフステージに応じて女性の健康を多角的に支えたいというところに行き着きました。
今後の展望をお聞かせください。
人形町はさまざまな年代の方がいらっしゃるので、この町の元気を支えられたらいいなと思っています。私がめざすのは、おばあさま、お母さま、娘さんと3世代でかかれるクリニックになることです。子宮がん検診も実施していますし、異常があった場合でも、病院に行かずとも、当院では詳しい精査や治療を実施する設備を整えています。また、子宮頸部異形成レーザー蒸散術やバルトリン腺開窓術などの日帰りの外来手術もしています。思春期・性成熟期・更年期・円熟期と当院はすべての年代のライフステージごとに変化する女性の悩みに、かかりつけ医として寄り添い、サポートしていきたいと思っています。「何か気になることがあったらここに来よう」と思い出してもらえる、婦人科のかかりつけ医になれたらうれしいです。
最後に、どうしたら予防の大切さをもっと伝えられるでしょうか?

それが一番の課題ですね。例えば子宮頸がんワクチンも、ようやく少しずつ浸透してきましたが、まだ接種率は海外に比べて低いのが現状です。でも、婦人科検診やワクチン接種などの予防の大切さを少しずつでも伝え続けることが大切だと思っています。学校や家庭、地域、社会全体で女性の健康に対する理解が深まるように、できることを積み重ねていきたいと思っています。