田畑 博章 院長の独自取材記事
たばた歯科医院
(鹿児島市/谷山駅)
最終更新日:2025/03/13

JR指宿枕崎線・谷山駅から車で約6分、青い門が目印の「たばた歯科医院」。以前から歯科医院があった場所で、2025年2月に院長の田畑博章先生が新たに「たばた歯科医院」として開院した。田畑院長は、鹿児島大学歯学部を卒業後、口腔外科を専門にしながら、一般歯科の副院長としても技術の幅を広げてきた。同院では、「究極の予防歯科は子ども時代に歯科医院が怖いというトラウマをつくらないこと」を掲げ、幼少期からの予防歯科に注力。キッズスペースとは別にトレーニングルームを設けたり、遊べるタッチパネルを導入したりと、工夫を凝らす。優しい笑顔と穏やかな語り口調が印象的な田畑院長に、診療への想いや今後の展望などを聞いた。
(取材日2025年2月17日)
歯科医師として働く父に憧れ、同じく口腔外科の道へ
まずは、歯科医師をめざしたきっかけと、開院までのご経験を教えてください。

歯科医師である父の背中を見て育ったこともあり、自然と歯科医師を志しました。高校生の頃にはその思いが明確になりましたね。2017年に鹿児島大学歯学部を卒業。父が口腔外科出身だったこともあり、私も宮崎県立宮崎病院の口腔外科で1年間研修しました。その後、鹿児島大学の口腔外科に入局。4年ほど経過した頃に、より幅広い診療を経験したいと思い、一般歯科のクリニックで副院長として3年間勤務しました。働いていく中で、徐々に「自分の理想の診療を実現したい」と考えるように。そのタイミングで、現在の開業場所を紹介されたのです。この地域はすでに子どもが多いのですが、ファミリー層向けの開発が進んでいることもあり、今後も増えていくことが予想されています。地域に根差した歯科医院として、お子さまから大人まで安心して通える場所をめざしています。
なぜ口腔外科を専門的に学ばれたのでしょうか。
私が口腔外科を専門的に学ぼうと決めたのは、父の影響が大きいです。父は都城医療センターで口腔外科の部長を務めていた過去があります。見学に行った際に父の働く姿を見て、「かっこいい」と素直に思いました。口腔外科の治療には親知らずの抜歯や口腔がんの手術など、出血を伴う処置が多く含まれます。出血が多ければそれだけ患者さんの負担も大きくなりますが、技術の高い先生の手術は驚くほど出血が少なく、痛みも最小限に抑えられます。父が行う手術はスピーディーで、出血も少なく、まさに理想的なものでした。私はそんな父の技術に憧れ、「自分もこうなりたい」と強く思い、口腔外科の道を志しました。
医療に関する展示会や海外のシンポジウムにも参加されているそうですね。

患者さんにより多くの治療の選択肢を提供したいと考えているので、積極的に参加しています。例えば、「この治療方法がありますが、私では対応できません」となると、それだけで患者さんの選択肢が狭まってしまいますよね。保険診療・自由診療を問わず、患者さんにとってより良い治療を提供できるよう、常に新しい技術や知識を学び続けています。こうしたイベントでは、世界中の新しい治療法や機器にふれることができます。「この技術は当院の患者さんにも役立つかもしれない」「こういう治療を導入すれば、もっと負担が少なくなるのでは?」といった視点で学習しています。今後も当院の診療に生かせるものを積極的に取り入れていきたいですね。
歯科医院のトラウマをつくらないことがめざす予防歯科
診療内容が幅広いですね。その中でも、特に注力している治療を教えてください。

特に注力しているのは小児歯科です。究極の予防歯科とは、子どもの頃に「歯科医院が怖い」というトラウマをつくらないことだと思います。私自身も子どもの頃、歯科医院が好きではありませんでした。特に子どもは痛くなるまで我慢してしまうケースがあります。そうなると、大がかりな治療が必要になってしまうんですよね。だからこそ、早めに虫歯を見つけることが大切ですし、ご両親にも「ここが虫歯になりやすいですよ」と説明。日常的にしっかりケアすることが重要だと考えています。理想は、子どもたちが「歯が痛くなくても行きたくなる歯科医院」をつくること。小さな頃からの習慣が、大人になった時の健康につながる。そんな未来のために、全力でサポートしていきます。
子どもが歯科医院を怖がらないような工夫はありますでしょうか。
歯科医院が苦手な子どもって、多いですよね。特に最初は「チェアに座るのも嫌!」という子も少なくありません。当院では、そういった子どもたちが無理なく歯科医院に慣れていけるように、小児専用のトレーニングルームを設けています。ここにはチェアを置かず、まずは歯磨きの練習をしたり、フッ素を塗ったりすることからスタート。いきなり治療ではなく、歯科医院の雰囲気に慣れることを大切にしています。このトレーニングルームは、親御さんからも安心していただけるような空間をめざしているんです。さらに、遊べるタッチパネルを導入しています。これは、歯ブラシのスタンプなどを使ってばい菌をきれいにする映像が流れるモニターで、遊びながら自然と歯の大切さを学べる仕組みです。子どもには特に「歯医者さんって楽しい!」と感じてもらうことが大切だと思うので、このような設備を整えました。
クリニックづくりで、特にどんなところにこだわりましたか?

もともと歯科医院として使われていた建物だったので、すべてを新しくするのではなく、良い部分は生かしたいと考えました。例えば、玄関のアーチです。患者さんたちから「門の歯医者さん」と親しまれていたので、その印象を残したくて、そのまま活用しています。内観は白い壁に温かみのある木材を取り入れ、アットホームで安心できる空間をめざしました。院内の設計でこだわったのは、動線です。回遊できる造りにすることで、患者さんがスムーズに移動できるようにしています。例えば、子どもの場合、治療に慣れている子はまっすぐ診療室へ、まだ怖がる子はチェアを見ずにトレーニングルームへ直行できるようにしました。この工夫により、子どもたちが無理なく歯科医院に慣れてもらえたらと思います。
将来は家族全員が同じ空間で、ケアを受けられる医院に
患者さんにはどのように利用していただきたいでしょうか?

当院では、「虫歯になってから治療する」のではなく、「虫歯になる前に予防する」ことを大切にしています。そのために、できるだけ若いうちからのケアをお勧めしていますね。例えば、歯の磨き方は20代になると自分のスタイルが定着してしまいますが、中学生や高校生のうちに正しいブラッシングの習慣を身につけることで、将来の虫歯リスクを減らせるでしょう。また、当院では顎全体をしっかり診ることができるCTや口腔内スキャナーなど、先端の設備を導入。精密な診断が可能ですので、早期発見やより良い治療法を提供できます。さらに口腔外科出身の強みを生かし、親知らずの抜歯も得意としています。できるだけ腫れず、痛みの少ない治療に尽力していますので、安心してお越しください。
将来的に取り組んでみたいことを教えてください。
当院では現在、小児歯科に力を入れていますが、将来的には「親子3世代が一緒に通える歯科医院」をつくっていきたいと考えています。今は子どもの治療の際、親御さんが見守れますが、親御さんの治療の時には子どもは動いてしまうので、同じ空間にいるのは危険です。そのため、「本当の意味」で家族全員が安心して治療を受けられる環境を整えることが目標です。具体的なイメージはまだついていませんが、例えば広いリビングのような空間で、親子が並んで治療を受けたり、おじいちゃんとおばあちゃんも順番に治療したり――。そんな温かい雰囲気の歯科医院をつくりたいですね。家族みんなが同じ空間で、それぞれの年齢に合わせたケアを受けられる場所が理想です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院では、患者さんと同じ目線でお話しすることを大切にしています。歯科医院というと、どうしても「先生と患者」という上下関係のようなものを感じてしまう方も多いと思いますが、私はできるだけフラットに、気軽に相談できる存在でありたいと考えているんです。歯のことだけでなく、趣味の話や最近あったことなど、何げない会話ができる関係になれたらうれしいですね。一度来ていただければ当院の魅力が伝わるはずです。歯が痛くなってからではなく、ぜひその前にお気軽にご相談ください。