中川 剛 理事長、田上 英毅 院長の独自取材記事
博多トラストライズクリニック
(福岡市博多区/吉塚駅)
最終更新日:2025/02/27

福岡市博多区に2025年1月に開業した「博多トラストライズクリニック」は、泌尿器疾患の日帰り手術に対応したクリニックだ。柳川市にある「中川ごうクリニック」の分院でもある同院は、尿失禁や前立腺肥大症などで悩む患者を遠方からも受け入れ、日常生活に影響の少ない入院不要の手術に注力する。泌尿器科に加え内科の診療や訪問診療にも取り組み、地域医療にも向き合っている。「合併症などが起きないよう常に安全性に配慮した手術を心がけている」と声をそろえる田上英毅院長と中川剛理事長は、ともに日本泌尿器科学会泌尿器科専門医として大学病院などで研鑽を重ねてきたスペシャリスト。開業に際して「泌尿器科の受診はハードルはありますが、1人で悩まず些細なことでもご相談を」と意気込む2人へ、めざすクリニックの姿などについて尋ねた。
(取材日2025年1月24日)
日帰り手術を軸に地域のかかりつけ医に
開業おめでとうございます。まずは開業の意気込みをお聞かせください。

【田上院長】本院は柳川で開業しましたが、当院は博多区という福岡県内や遠方からもよりアクセスの良い所にありますので、通院の利便性も高まります。これまで比較的地方で診療をしてきたので、都市部での開業ということでよりたくさんの方の力になれるのではないかと期待しています。自分が経験で得てきた知識や技術を駆使し、専門とする泌尿器科に加えて通院が困難な場合の訪問診療など、さまざまな面で患者さんに寄り添っていきたいと考えています。月並みかもしれませんが、地域の皆さんのお役に立ちたいですね。
お二人とも泌尿器科専門医ということですが、これまでのご経歴を教えてください。
【中川理事長】久留米大学医学部を卒業し、そのまま泌尿器科に入職しました。大牟田市立総合病院や済生会福岡総合病院などでの勤務医時代には、がん治療を中心に泌尿器疾患の治療に取り組みました。やりがいはあったのですが、地元である柳川市をはじめ地域に泌尿器科が不足していることを知り、2014年に柳川市に「中川ごうクリニック」を、そして今回は福岡市に分院として当院を開業しました。
【田上院長】私は東北大学医学部を卒業してから、京都大学医学部泌尿器科を経て西神戸医療センターや天理よろづ相談所病院、京都市立病院など関西を中心に泌尿器科医としての技術を磨きました。10年ほど前に実家のある福岡へと戻り、縁あって2024年から中川理事長をお手伝いするようになりました。今回、分院の院長という役割をいただき感謝しています。
開業したばかりですが、今後どんなクリニックをめざしていく予定ですか?

【田上院長】理想的には年齢性別問わず幅広い層の患者さんに来てもらえるようなクリニックにしていきたいですね。泌尿器科は気恥ずかしさもあって、受診に対してハードルを感じる方もいらっしゃいます。まずは足を運んでいただけるような雰囲気づくりを大切にしたいと思います。また、ホームページにも書いてありますが、当院の理念は地域のかかりつけ医になるとともに患者さんのニーズに応じた医療技術を提供することです。強みでもある泌尿器疾患の日帰り手術といった専門性を生かし、地域の方々に認めてもらえるようなクリニックづくりに取り組んでいきます。
泌尿器科を中心に患者のニーズに応える診療を
こちらのクリニックではどういった診療を受けられるのでしょうか?

【田上院長】泌尿器疾患は全般的に対応できますよ。尿失禁のお悩みから、膀胱炎、骨盤臓器脱、前立腺肥大症まで幅広く診療しているほか、性病検査・治療も行っています。それ以外にも内科を標榜しているので、普段の体調不良でも気軽にお越しください。あとは訪問診療にも取り組めますので、通院が難しいという方もご相談ください。また、当院は開業したばかりなので、インターネットで知って来られる患者さんが多いようです。比較的若い世代が多く、膀胱炎に悩む女性や性病に不安がある男性などの受診割合が高くなっています。泌尿器科は排尿と大きく関連しているので、尿失禁でお悩みのご高齢の方などにも受診いただきたいです。
注力していきたい診療領域はありますか?
【中川理事長】どれか1つの診療に注力するというよりは、患者さんのニーズが強い部分は強化していきたいと思います。日帰り手術は強みではありますが、地域のかかりつけ医としてのメインは外来診療です。本院があるとはいえ、日帰り手術や訪問診療は信頼がなければ任せていただけません。そういった意味からもまずは泌尿器科、内科の外来診療を大切にしていきます。また、福岡は外国人旅行者が増えているという特性がありますから、将来的にはインバウンド向けの医療ツーリズムにも挑戦していきたいです。
クリニックの強みである日帰り手術についてもお話を聞かせてください。

【中川理事長】一般には眼科や耳鼻科などいろいろな診療科で日帰り手術を実施していますが、泌尿器科に限って言えば適応している施設はそれほど多くありません。中には関東や関西から手術を希望していらっしゃることもあるんです。当院で適応しているのは尿失禁や前立腺肥大症、骨盤臓器脱ですが、ほかの疾患があるなどして全身管理が必要な場合は、入院施設のある病院を紹介しています。いくら経験が豊富だからといって手術は必ず成功するとは言いきれません。合併症や再発のリスクを可能な限りゼロに近づけていくよう、安全性に配慮した手術を心がけています。
訪問診療もカバー、健康を守るという使命を果たしたい
泌尿器科として在宅診療にも取り組まれるのは珍しいですね。

【田上院長】泌尿器科は内科と外科の領域を併せ持つ診療科で、私たちも全身状態を診てきた経験があります。患者さんの中には無理して通院される方もいらっしゃいますが、こちらから伺って少しでも負担を軽減したいという思いがあります。本院に在籍していた頃も在宅医療に関わりましたが、皆さんの生活の場を見せてもらうことで治療にも結びつくことがありますので、非常にやりがいを感じているところです。地域のかかりつけ医をめざす以上、泌尿器科であっても皆さんの健康を守る使命を果たしていきたいと思います。
日々の診療の中で大切にしていることを教えてください。
【中川理事長】雑談でしょうか。泌尿器科専門医としてたくさんの経験は積んできましたが、医療において大切なのは信頼だというのが自論です。患者さんとの信頼関係を築くためには適切な医療に加え、仕事のことや趣味のことなど、ご本人を知ることが重要になりますから。
【田上院長】患者さんが何を求めているかを把握することです。例えば問診票で体の痛みを訴えていたとしても、必ずしも患部に原因があるとは言いきれません。生活歴や職業などいろんなことを聞く中で見えてくるものもたくさんあります。だからこそ皆さんのもとに伺う訪問診療は、私たちにとっても良い経験になっていると感じています。
最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

【田上院長】泌尿器科という分野は、ほかの診療科と比べると受診するのが少し恥ずかしい気がするのはわかります。相談しにくいこともあるかと思いますが、自分で抱えているだけでは解決できません。どんな些細なことでもご相談ください。
【中川理事長】受診いただくきっかけは泌尿器のトラブルのみならず、健康に関する悩みでも構いません。しっかりとお話を聞いて良いご提案ができればうれしいですね。また田上院長が言うように1人で悩まないでほしいです。泌尿器科専門医が2人いるわけですから、話しやすそうな者にご相談いただいて構いません。必要に応じて本院とも連携しながら、皆さんのご要望にお応えしていきたいと思います。