唐渡 雅行 院長の独自取材記事
渋谷駅前メンタルクリニック
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2025/03/03

渋谷駅から徒歩3分。2025年3月1日に開業する「渋谷駅前メンタルクリニック」は、唐渡雅行院長をはじめとする4人の医師が誠意をもって患者に向き合う。症状が悪化する前の「予防」にも注力し、臨床心理士・公認心理士によるカウンセリングを実施するほか、漢方医療や栄養指導など、多角的に対応する。「ここに来れば元気になれるような、相談しやすいクリニックでありたい」と優しい笑顔で語る唐渡院長に、間もなく開業する同院の特徴や診療時の心がけについて聞いた。
(取材日2025年2月5日)
笑顔が一番。医師やスタッフの顔が見える診療を
明るい雰囲気のクリニックですね。院内づくりでこだわった点を教えてください。

ここに来ると前向きな気持ちで元気になれる。そのようなクリニックをめざして院内づくりに取り組みました。これまで精神医療に長く携わってきましたが、やはり患者さんの受診へのハードルはまだまだ高いと感じています。今回の開業にあたっては、立地、院名、インテリア、診療時間やシステムに至るまで「ここなら気楽に通えそうだな」と思ってもらえるような工夫を取り入れました。そしてそれらと同じくらいに重視したのが、スタッフたちの笑顔での対応。笑顔で接することで患者さんも心がほぐれますし、そんな患者さんを見てスタッフも喜びを感じられると思います。スキルや経験もさることながら、温かな対応のできるスタッフが集まってくれて、理想的なスタートを切ることができそうです。
先生は、心と体の両面からアプローチしてくださるそうですね。
私は日本精神神経学会精神科専門医であり、日本内科学会総合内科専門医でもあります。「心と体は一つである」をコンセプトに、内科と精神科の両方を専門的に診られるのが私の強みです。例えば生活習慣病と精神疾患には関連性があり、糖尿病になると不眠やうつ病のリスクが高まることがわかっています。そうでなくても体の不調が気持ちに影響を及ぼすことは多々あり、逆もまたしかりです。精神科領域はまだまだ発展途上ですが、内科は科学的な根拠に基づいて進展してきているので、精神科と内科の両方からの視点を大事にしながら患者さんと接しています。
他にはどのような先生が在籍されているのでしょうか?

副院長の林由理子先生は一般精神科診療以外にも、睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群などの診療を専門としています。その他に、メンタルと内科を総合的に診られる先生と、精神医療に関する深い知識をもった先生が在籍。それぞれに個性があって、チームとしてとても良いバランスだと私は思っています。患者さんの中にも、身体症状が強い方もいれば、睡眠がうまく取れずにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。女性ならではのお悩みを抱えていれば「女性の先生に相談したい」と思われるかもしれませんし、もしくは30代くらいで「同年代の先生ならばわかってくれるのでは」とお考えの方もいるかもしれませんね。当院ではそのようなご希望にもお応えし、いずれの医師も誠意をもって患者さんに向き合い、顔が見える「安心感のある医療」を提供するために努めます。
予防にも注力し、患者の人生をともに考える
先生が精神科を専門に選んだきっかけを教えてください。

研究を通じて患者さんに貢献できればと思い、初めは大学で白血病の研究をしていたんです。そんな中、「終始一貫して患者さんと関わりたい」といった思いとともに、当時十分に解明されていなかった脳科学に興味を持ちました。デジタル時代となり、高度な情報が発達した世の中で精神科疾患は大きくクローズアップされ、時代の大きな解決すべき課題となってくると思ったのです。当時は標準的な治療方法は確立されておらず、医療機関によって治療に差があるという課題も内科などに比べて依然多く、その点では精神科医療は医師の裁量と責任が大きい分野だと感じましたね。
地域診療として長く精神科を診てこられて、現在に至るまでに変化は感じますか?
現代はどこもかしこもストレッサーだらけ。ちょっとしたことがきっかけでストレスを感じ治療が必要になるような、「生きづらい」と言われる世の中で、不安を感じる方は多いです。精神疾患に関しては、性格なのか病気なのかを見極めるのが難しく、軽症であっても早い回復が見込めるとも限りません。しかし医療としては進歩していて、昔に比べると診断方法は進んでおり、依存性の低い薬も数多く扱えるようになりました。また、メディアで発達障害やうつ病などについての情報を見て、「自分もそうなのではないか」と受診される方も年々増えています。
今後、力を入れていきたい分野はありますか?

症状が悪化する前の「予防」に力を入れていきたいです。精神疾患は合併したり体調にも影響することが多いもの。例えばうつ病は睡眠にも影響しますし、不眠から体調を崩したりさらに不安を感じたりと症状が広がることもあります。また、いわゆる「グレーゾーン」の中で揺れ動いて、悩んでいる方も多いかと思います。重症化や再発の予防のため、そしてまだ薬を必要としない段階の方に向けて、臨床心理士・公認心理士によるカウンセリングや、漢方医療や栄養療法など多様なアプローチでサポートしていきたいですね。まずはつらさを取り除けるように、そしてそれ以上心身の状態を崩さないように予防して、その後の人生を自分らしく生きられる方法をともに考えます。
「ここに来て良かった」と、元気を持ち帰ってほしい
診療の際に心がけていることをお聞かせください。

治療が終わるまでの道筋をきちんと説明することです。患者さんが病名を聞かされないまま転院してしまうこともあるといいますが、それでは患者さんも不安でしょうし、転院先もすぐ治療が始められません。当院ではできる限り病名を伝えますし、診断に検査や時間を要する場合にはその旨を説明します。今後の治療の道筋がわかれば、患者さんも安心できるのではないでしょうか。いずれ通院や薬が不要に、もしくは減らせるようになることをめざしてゴールを示し、安心してもらえるよう心がけています。
病名をはっきりさせる以外に、精神科の診療で大切なことは何でしょうか?
患者さんにご自身の不調の原因や治療について理解してもらうことです。なぜその薬を飲まなければならないのか、その先はどのような治療が必要なのか。それらを理解できれば前向きに治療に取り組んでいただけるでしょう。心身の不調はぐるぐると悪循環を繰り返すこともありますから、ご自身が思っているのとは根本的な原因が違っていたということもあるんですよ。また、病気によっては環境や考え方を変えるだけで症状が軽くなることも。発達障害のようにその方の特性ともいえる病気の場合、「治療する」というよりも「どのようにすれば生きやすいか考える」という視点が必要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

当院は専門的な診療とホスピタリティーの提供に努めます。にぎやかな渋谷の街中にありますが、一歩入ればきっとリラックスしてお過ごしいただけるかと思います。「大した症状ではないのに受診しても良いのかな」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、本当に何もない人はそのように思いません。「心配だな」と思った時が受診のタイミングなのです。医療が介入するレベルではないという診断に至ることもちろんありますが、それもまた安心材料の一つになります。「このクリニックに来て良かった」と、元気になってお帰りいただけるとうれしいですね。