快適な環境とシステムを整え
鎮静剤で痛みにも配慮した内視鏡検査
わたひき内科クリニック
(笠間市/笠間駅)
最終更新日:2025/06/09


- 保険診療
胃がんや胃潰瘍、大腸がんや潰瘍性大腸炎など、消化器系のさまざまな疾患の早期発見に貢献する内視鏡検査。有益だと理解していても、痛い、苦しいというイメージから検査に二の足を踏む人もいるだろう。しかし、実際に内視鏡検査を受けた人からは「ウトウトしている間に終わった」「思っていたより短時間だった」など、前向きな声も多く聞かれる。不安な患者の気持ちに寄り添い、鎮静剤を用いた身体的な負担の少ない内視鏡検査に取り組む「わたひき内科クリニック」の綿引隆久院長。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として数多くの内視鏡検査に携わった経験を生かし、先端機器を用いて小さな病変も見逃さない検査をめざす。動線が確保された院内、前処置専用のトイレつき個室など、快適な環境下で行われる内視鏡検査の流れをレポートした。
(取材日2025年5月29日/情報更新日2025年6月4日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査について教えてください。
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A
胃内視鏡検査は胃や食道、十二指腸、大腸内視鏡検査は大腸全体を直接カメラで見ることができる検査です。ファイバースコープと呼ばれる管を胃の場合は口または鼻から、大腸の場合はお尻から挿入して、臓器の粘膜異常がないかを見ていきます。胃も大腸も悪性新生物、いわゆる「がん」を早期発見することが一番の目的です。胃の場合は、胃潰瘍などの疾患を早めに見つけて治療へと結びつけること、大腸の場合は、放置するとがん化するポリープを早期発見、切除することも内視鏡検査の重要な役割です。CT検査や超音波検査で写真や画像は撮れますが、臓器を見ることはできません。内視鏡検査は臓器を直接見るという点で確実性の高い検査といえます。
- Qどのような人が受けるべき検査なのですか?
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A
血便や腹痛、便秘が続く方は大腸内視鏡検査を受けましょう。また、胃潰瘍や悪性の病変が引き起こす上腹部の痛み、薬物治療の対象となる逆流性胃炎による胸焼けなどの症状があれば、胃内視鏡検査をお勧めします。また、便潜血検査は痔が原因で陽性になるケースもありますが、痔と自己判断して放置し、大腸の病変が手遅れな状態で見つかる可能性もあります。便潜血検査が陽性になった場合、一度は大腸内視鏡検査で大腸全体を確認したほうが良いでしょう。胃の健康診断がバリウム検査という自治体もあると思いますが、異常を指摘されれば、結局は内視鏡で確認することになるので、最初から胃内視鏡検査で診断を受けることをお勧めします。
- Qスムーズな検査のために、こだわっていることを教えてください。
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A
精度が高く、身体的な負担も少ない先端機器を用いること、鎮静剤を使いリラックスした状態で検査を受けていただくことに注力しています。大腸内視鏡検査では、検査前に下剤を飲んでいただきますが、当院では待機室としてトイレつきの個室を3部屋用意。人目を気にせず、ご自分のペースで下剤を服用し、準備を整えてから大腸内視鏡検査に臨んでいただくことができます。下剤は味の異なるものや服用する量が少ないもの、錠剤をお水で飲むタイプも用意し、患者さんの意向に合わせて提供します。また、検査後はストレッチャーに寝たままリカバリールームまで移動できる動線を確保しています。当院では、胃と大腸の同日検査も可能です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1胃内視鏡検査ではウェブ上の事前説明も可能
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胃と大腸の内視鏡検査は、いずれも必要に応じて採血を実施。検査内容と検査の流れについて説明を受けた後、検査日の予約を取る。大腸内視鏡検査では、消化が良く便になりにくいよう工夫された検査食と下剤が渡されるため一度来院が必要。胃内視鏡検査をウェブで予約した場合は、ウェブ上で問診と検査説明が完了、来院は検査当日だけというメリットも。内視鏡検査の前日、食事は20時までに済ませ、以降は水分のみ摂取可能。
- 2大腸内視鏡検査前の下剤服用は院内のトイレつき個室で
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胃内視鏡検査は、予約時間の10分前に来院して待機。大腸内視鏡検査の場合は、検査前準備として腸管洗浄を行うため院内で下剤を服用する。プライバシーに配慮したトイレつき個室で、自分のペースに合わせて服用し、人目を気にせず過ごすことができる。状態確認のため、スタッフからの声かけもあるため、不安なことがあれば確認しよう。大腸内視鏡検査は基本的に午前中に来院して検査前準備を行い、午後に検査が行われる。
- 3胃と大腸の同日検査も可能。鎮静剤を用いた内視鏡検査
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過去に経口の胃内視鏡検査で大変な思いをした人、咽頭反射が強い人に対しては鎮静剤を用いる。経鼻の胃内視鏡検査は比較的違和感が少ないが、オプションで鎮静剤使用の選択も可能。大腸内視鏡検査の場合、スコープが挿入されると腸が伸びる場合があり、押される感覚や術後の腸管癒着で苦痛を伴いがちなため鎮静剤を使用。検査中、声をかけには反応できる浅い鎮静をめざして調整。検査室でBGMを流すなど緊張感を和らげる工夫も。
- 4ストレッチャーでリカバリールームまで移動し休息
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胃内視鏡検査は約5~10分、大腸内視鏡検査は約15〜30分で終了。大腸ポリープが見つかった場合、小さい物であれば切除するため、多少時間が延長されることも。同院では、胃と大腸の同日検査も可能。ストレッチャーの向きを変えるだけで2つの検査を行える。検査後はストレッチャーに横になったままリカバリールームに運ばれ30〜60分ほど休息。ストレッチャーは可動式で、自分に合った楽な体勢で休むことができる。
- 5検査結果の説明とその後の定期検査
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目が覚めたか、歩ける状態になっているかなど覚醒状態を確認し、問題がなければ歩いて診察室へ。内視鏡で撮った画像を見ながら、正常な部分、異常がある部分、ポリープがあった場所や行った処置などについて説明を受ける。胃内視鏡検査でピロリ菌が見つかり除菌治療を行った場合でも、感染による胃がんリスクはゼロにはならないため、年に1度の定期的な検査が重要。大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合も年に1度再検査を。