50歳を過ぎたら一度骨密度検査を
女性に多い骨粗しょう症
ベイサイド南船橋整形外科
(船橋市/南船橋駅)
最終更新日:2025/01/15
- 保険診療
最近、よく聞くようになった「いつのまにか骨折」。これは骨粗しょう症によって骨がもろくなり知らない間に背骨が骨折していたことを表す言葉。このように骨粗しょう症は、自覚症状がないままに進行するのが特徴だ。ふと足がよろけて手をついたら手首を骨折し、検査したら骨粗しょう症が進んでいたということも。骨粗しょう症の検査、治療に力を入れている「ベイサイド南船橋整形外科」の岩下哲院長は「骨粗しょう症は高齢女性の病気というイメージが強いですが、閉経を迎えた頃から少しずつ進行していきます。60歳になったら必ず骨密度検査を受けましょう。できれば50代に一度検査を受けておくとさらに良いですね」と話す。岩下院長に骨粗しょう症について詳しく聞いた。
(取材日2024年12月24日)
目次
将来寝たきりになるリスクもあるため早期からの予防が重要
- Q骨粗しょう症はどのような人がなりやすいですか。
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A
骨粗しょう症は圧倒的に女性、特に50代以降の女性がなりやすい疾患です。女性の場合、閉経後に、骨の形成を促進する働きを持つエストロゲンの分泌が減少していくため、骨代謝のバランスがくずれて骨がもろくなっていきます。また、食生活のバランスが悪くカルシウムやビタミンD、ビタミンKなど骨を作る栄養成分が不足している人や、普段あまり運動していない人、外出せず紫外線を浴びていない人などもなりやすいです。また、ステロイド系の薬を服用、吸引している人もなりやすいので注意してください。男性の場合は70代から80代になるとなりやすくなります。
- Q骨粗しょう症はどのような症状が出るのでしょうか。
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A
骨粗しょう症は特に目立った自覚症状がないままに進行していきます。腰痛があったり骨折したりした時に検査をしたら、初めて骨粗しょう症になっていることがわかるというケースがとても多いです。60代くらいで日常活動を活発に行っている人は、転んだ時やよろけた時、体を支えようと手が先に出ますので、その際、手首を骨折するケースが多いです。70代以上になると転んだ時に大腿骨を骨折するケースが多いです。また、猫背になっている人は背骨の圧迫骨折が起きている場合もあります。重度に進行している場合は、寝返りを打っただけで骨折する人もいます。そのため、進行していく前に早めに対応していくことが大切です。
- Q検査せずに放置しておくとどんなリスクがありますか。
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A
検査を受けずにいると骨粗しょう症がどんどん進行し、今お話ししたような骨折の危険性が高くなります。最も重大なのが大腿骨の骨折です。大腿骨を骨折すると安静が必要になりそのまま寝たきりになることも考えられます。寝たきりになると肺炎を起こしやすく、肺炎による死亡リスクも高くなります。また、体のさまざまな機能が低下する場合もあります。そのため、早期に手術をして離床を促す必要があります。ただ、手術後にリハビリテーションを行っても、歩く力が弱くなる、階段が上がれないなど、骨折前と比べると運動機能能力が低下してしまいます。骨粗しょう症はこのような多様なリスクがある病気であることを知っていただきたいですね。
- Q検査はどのように行うのですか。
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A
当院ではDEXA法による骨密度検査を行っています。DEXA法は、2種類の異なるエックス線を照射して骨密度を測る方法で、精度の高い検査法として推奨されています。50歳を過ぎたら一度骨密度を調べて、その時の骨の状態を確認しておくとよいでしょう。60歳を過ぎると5人に1人は骨粗しょう症になっていると言われていますので、必ず受けるようにしましょう。骨密度検査にかかる時間は5分から10分程度なので気軽に受けていただきたいですね。骨密度が若年平均値の70%未満の場合、骨粗しょう症と診断され、症状やライフスタイルなどによって治療方法を選択します。
- Q予防のために気をつけることはありますか。
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A
骨粗しょう症の予防には生活習慣の改善が大切です。まず食生活では、カルシウムについては皆さんよく知っていると思いますが、他にもビタミンD、ビタミンKなどの骨の形成に関与する栄養素が必要です。当院では、患者さんにはそれらの食材について詳しく書かれているパンフレットをお渡してご自宅で実践してもらえるようにしています。また、骨に刺激を与える運動としてウォーキングをお勧めしています。紫外線を適度に浴びることも必要ですので、屋外で30分くらいウォーキングするとよいでしょう。