大庭 章史 院長の独自取材記事
おおば内科クリニック
(京都市下京区/西大路駅)
最終更新日:2025/05/20

西大路通りに面した医療モールの1階にある「おおば内科クリニック」。同院の院長を務めるのは、大庭章史先生。滋賀医科大学卒業後、京都市立病院で血液内科医師としてキャリアを積み、訪問診療のクリニックなどでの勤務を経て2024年12月に開業した。幼少期に自身が病気を経験したことから医療に興味を持ったという大庭先生は、「患者さんにとって気軽に相談ができる身近な存在でありたい」と穏やかに語る。患者本人だけでなく家族のことまで気にかける診療を心がけているといい、生活習慣病などの診療を通じて健康寿命の延伸に貢献したいという。そんな大庭先生に、診療に対する思いを詳しく聞いた。
(取材日2025年3月14日)
「身近な医療の相談役」として患者に寄り添う
開業までの経緯を教えてください。

子どもの頃に自分自身が病気を経験したことで医療が身近になり、医師をめざすようになりました。滋賀医科大学卒業後、京都市立病院に勤務し、10年ほどは血液内科医として研鑽を積みました。それからは、病院での週に1回の血液専門の外来を続けながら、地域のクリニックで外来診療や訪問診療など、町の内科医として学ばせていただきました。そして、長く地域の方を支えていきたい、もっと身近な距離で患者さんを診ていきたいと思い、2024年12月に開業しました。医師となり結婚するまでの間、この地域に住んでいたことから土地勘があり、なにより、京都市立病院で診ていた患者さんを引き続き診ることができるので、この地で開業できたことをうれしく思っています。
日々の診療の中でこれまでの経験が生きていると感じる場面はありますか。
もともと「地域の人に寄り添う町のお医者さんになりたい」と思っていた私ですが、研修医時代に出会った血液内科に強く惹かれました。血液の病気は命に直結する場合も多く、また、治療に抗がん剤や免疫抑制剤などを使用するため、さまざまな臓器に影響が出てしまいます。これらに対応するには、当然、全身を診る力が必要ですし、その方の人生にまで寄り添った治療を患者さんと乗り越えていくには、強固な信頼関係も必要となってきます。今は初心に戻りクリニックで生活習慣病などの一般内科診療を中心にしていますが、血液内科医として身に着けたスキルは今も診療の土台になっています。貧血や血小板の異常、リンパ節の腫れなど、血液に関わる相談にも対応していますので、お困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
診療で大切にしていることを教えてください。

患者さんの話をしっかり聞くことを大切にしており、診察の際には「最後に何か気になることはありませんか?」と必ずお聞きしています。小さな不安や疑問が実は異常を知らせる重要なサインであることが多いので、どんなことでも気軽に話していただけるように心がけています。また、患者さん本人だけでなく、ご家族のことにも気を配り、その方の生活全体をサポートできるようにしています。患者さんにとって身近な存在でありたいと思っていますので、少しでも気になることがあれば、ぜひ悩まずにご相談ください。
生活習慣病の改善を通じて健康寿命の延伸をめざす
どのような症状で患者さんが来院されますか。

高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病を抱える方、発熱している方、咳が長引いている方など、さまざまな症状の患者さんが来院されています。また、「ぶつけた記憶がないのにあざができた」「リンパ節が腫れている」「貧血が気になる」といった症状から血液の病気を心配され、遠方から来られる方もいらっしゃいます。最近では、健康診断で異常を指摘されて来院される方も多いですね。近隣の先生方からのご紹介も増えてきており、地域医療の一翼を担えていることに喜びを感じています。
特に生活習慣病の治療に力を入れているそうですね。
はい。地域の内科クリニックですから、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の管理や発熱のような急な体調不良への対応が重要と考えています。当院では健康診断や、血液検査、心電図検査など各種検査にも対応しております。また、漢方にも関心があり東洋医学的なアプローチも取り入れています。さらに、睡眠時無呼吸症候群の治療にも力を入れており、問診や検査を通じて、適切な診断と治療を行っています。睡眠時無呼吸は生活習慣病との関連も深く、放置すると高血圧や心疾患などのリスクが高まるため、早期の対応が大切です。患者さん一人ひとりの症状や体質に合わせて、総合的な視点から生活全般にわたるアドバイスを行い、生活習慣病の予防と改善を通じて、患者さんが健康で豊かな生活を送れるようサポートしていきたいと考えています。
なぜ生活習慣病に力を入れているのですか?

生活習慣病は、早期に適切な管理を行うことで将来の深刻な合併症を防ぎ質の高い生活を維持することができるからです。初期の生活習慣病は自覚症状がなく健康診断で偶然見つかる場合が少なくありません。せっかく健康診断を受けて異常が見つかっても、特に症状がない場合はどうしても放置しがちですが、そうすると、知らないうちに病気が進行し重大な結果を招くことがあります。また、生活習慣病以外の病気においても、早期に対応することで、大事にならずに済むことが数多くあります。健康を守るためには早期発見・早期治療が重要です。健康診断でひっかかったり、何か気になる症状があれば、ぜひ早めにご相談いただきたいですね。
すべての人に多面的な豊かさを実現できる場所に
院内対策にも力を入れているとお伺いしました。

当院では、すべての患者さんが安心して受診できるよう感染対策を徹底しています。免疫が低下する疾患の患者さんにも配慮し、発熱などの症状がある方と接触しないよう動線を時間帯ではなく空間で分けることを工夫しました。隔離室は一般の待合室からは見えにくく、プライバシーの確保をしており、予約優先制を導入することで患者さんの来院時間を分散させ、院内が密にならないようにしています。もちろん予約がなくても診察させていただきますが、どうしても待ち時間が長くなる傾向があるので、可能な範囲で事前の予約や問い合わせをお願いしています。
スタッフの皆さんについて教えてください。
スタッフは患者さんへの声かけや気配りを大切にし、事前の問診やカルテ入力を行うことで待ち時間の短縮にも取り組んでくれています。私は、当院を患者さんの健康面を気遣う場所であるとともに、スタッフにとっても、やりがいや充実感を持って働いていただけるような場所にしたいと思っています。そして、最終的にはクリニックに関わるすべての方々が豊かな人生を送っていただけるようなお手伝いができれば幸せです。
今後の展望についてお聞かせください。

地域の皆さんにとって、気軽に相談できる「かかりつけ医」として、信頼関係を築き日々の健康維持や病気予防、治療までを幅広くサポートしたいと考えています。時代とともに必要とされる医療も変化しますが、その変化に柔軟に対応し、患者さん一人ひとりの要望に応え続けていきたいと思っています。何かあった際には、すぐに相談できる身近な存在でありたいと思っておりますので、いつでも気軽にご来院ください。