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古屋 奈々子 院長の独自取材記事

石山なな歯科

(札幌市南区/真駒内駅)

最終更新日:2025/03/11

古屋奈々子院長 石山なな歯科 main

2024年11月、札幌市南区石山にオープンした「石山なな歯科」。院長を務める古屋奈々子(こや・ななこ)先生は、訪問歯科診療をメインに多くの診療経験を積んだ後、前身である「船本歯科クリニック」を引き継ぐ形で同院を開業。歯を残すことを重視し、できるだけ歯を削らない・抜かない治療を心がける古屋院長。「歯科医院を、虫歯になってから行く場所ではなく、虫歯にならないために行く場所と考えてもらえたらうれしいですね」と優しく語る。今後は、口腔機能が衰えるオーラルフレイルの予防などに一層力を入れ、地域の人々の口腔機能を向上させ、健康寿命の延伸に寄与したいと考えているそうだ。プライベートでは2児の母として育児にも奮闘する古屋院長に、歯科医師をめざしたきっかけや診療時の心がけ、今後の展望などさまざまな話を聞いた。

(取材日2024年12月20日)

患者一人ひとりに寄り添い、尊厳を守ることを大切に

まずは歯科医師をめざしたきっかけやご経歴をお聞かせください。

古屋奈々子院長 石山なな歯科1

高校生の頃、歯科検診で子どもへのネグレクトが察知されることもあるという話を聞いたことがきっかけです。もともと子どもが好きで、子どもと関わる仕事をしたかったのですが、その話を聞いて、歯科でも問題を抱える子どもたちを助けられることを知り、歯科医師をめざすようになりました。父が自宅で歯科医院を開業していたので、歯科医師が身近な職業だったというのもありますね。歯学部卒業後は歯周病治療について学びました。歯周病のケアに関しては主に歯科衛生士が担当するため、学ぶ機会があまりないだろうと考えたからです。その後は訪問歯科診療に大きなやりがいを見いだし、10年近く訪問歯科診療の分野で経験を積みました。

訪問歯科診療のどんな面にやりがいを感じられたのですか?

訪問歯科診療ではご高齢の方や身体障害のある方を診ることが多いのですが、そうした患者さんと接することが楽しいですね。「ありがとう」と感謝の言葉をいただけるとうれしくなるんです。訪問歯科診療では通常の外来とは違った対応が求められる場面も多々あります。例えば、患者さんがむせやすいなど、治療中にあまり水を使えないケースもあり、その場合は誤嚥性肺炎を引き起こさないためにも水の使用を最小限にし、少しずつ少しずつ治療を進めるよう工夫します。また通常なら抜歯が必要なケースでも、できるだけ歯を残すようにも努めていますね。「今おいしく食べられること」が重要だと考えているからです。加えて、認知症であっても寝たきりであっても、患者さんの尊厳を守るように心がけています。

訪問歯科診療での長年の経験を経て、2024年11月に開業されたのですね。

古屋奈々子院長 石山なな歯科2

実は訪問歯科診療に主に携わる中、週に1回、札幌市内の歯科医院で外来診療もしていたんです。その歯科医院の院長先生から、「船本歯科クリニックが閉院することになり、後継者を探しているのでやってみないか」と声をかけられ、開業に踏みきりました。私が引き継いでから、外観とともに、院内の天井や照明、床などもリニューアルしました。当院でも引き続き、訪問歯科診療も行っています。持ち運び可能なユニットも備えていますので、訪問先でも精密な診療を提供できます。歯科医師になって2年目から訪問歯科診療に携わっているのですが、当時からずっと診ている患者さんもいますね。「開業後も先生にお願いします」と言ってくださって。ありがたいことに長くサポートさせていただいています。

できるだけ歯を削らない・抜かない治療を心がける

現在、どんな患者さんが多く来院されていますか?

古屋奈々子院長 石山なな歯科3

ご高齢の患者さんの割合が多いですね。ご高齢の方の場合、加齢により口腔機能が衰えた状態を指すオーラルフレイルや、口腔機能低下症を予防することが大切です。オーラルフレイルが進むと、全身の機能が低下する、つまり全身がフレイルになる可能性があるからです。訪問歯科診療で診ていた患者さんの多くは要介護状態で、そうなる前に予防することの大切さを痛感していました。健康な状態で生活できる健康寿命を長くし、要介護状態の期間をできる限り短くできるようサポートしたいです。そのため当院では、唾液量や噛む力など口腔機能を調べるための機材も備えています。「パ」「タ」「カ」を発音して口の運動機能を評価する機器も導入していますし、今後、飲み込みと密接に関わりがある舌の力を測定する機器の導入も予定しています。

子どもの患者さんについてはいかがですか?

子どもの患者さんも少しずつ増えてきています。私が近隣の小学校の学校歯科医を担当させていただいていることも関係しているのかもしれません。娘が入学した小学校ということもあり、学校歯科医を引き受させていただいたんです。高校生の頃に抱いていた、「歯科を通じて問題を抱える子どもを助けたい」という願いがようやくかなった感じですね。実際、歯科健診をしていると、お口の状態が良くないお子さんもいらっしゃいます。もちろん、お口の状態が悪いというだけでネグレクトに該当するわけではありません。あくまでもネグレクトが疑われるサインの一つと捉え、学校に報告するようにしています。

診療の際にはどんなことを心がけていますか?

古屋奈々子院長 石山なな歯科4

できるだけ歯を削らない・抜かない治療を心がけています。以前勤めていた歯科医院の院長先生の影響は大きいですね。虫歯だからといって必ず削る必要があるわけではありません。削らすにフッ素を塗布して再石灰化を促すこともできます。それで、まず光学式う蝕検出装置という機器を使って、虫歯の進行度合いを測定し、削る必要があるかどうかを見極めます。削る必要がなければ削りません。その場合、歯磨きなどをきちんと行うことも大切。きちんとケアできるよう患者さんを指導いたします。お子さんであれば、保護者の方に指導した上で、「自分で自分のお口は守るんだよ」と優しく話すようにしていますね。当院では定期的なメンテナンスにより、普段からお口の中をきれいに保つようサポートすることを重視しています。

痛くなる前から、習い事感覚で定期的に受診してほしい

なるべく歯を残すよう努めていらっしゃるのですね。

古屋奈々子院長 石山なな歯科5

歯は食べるために欠かせない器官です。また、ご高齢の方の場合は歯がないと踏ん張りが利かないため、転倒しやすくなります。歯を失うと認知症のリスクが高まるとも言われています。ですから、できるだけ歯を削らない・抜かない治療を心がけています。もちろんご高齢の方などの治療で、抜いたほうがいいケースもあります。その場合、「抜いたほうが食事がしやすくなりますよ」など、丁寧に説明するよう心がけていますね。ただ、中には最後の1本を大切にされている方もいますので、患者さんが抜きたくないのであれば、その意思を尊重します。適切な治療方法をきちんと提示しますが、最終的には患者さんの選択を尊重。ご希望に合わせて何ができるかを考え、その中で最善を尽くします。

クリニックの今後の展望を教えてください。

ご高齢の方の場合はオーラルフレイルや口腔機能低下症を予防することに、お子さんの場合はお口の機能が十分に発達していない口腔機能発達不全症の治療に力を入れて取り組んでいきたいですね。対処方法は共通している部分も多く、主にお口周りの筋力トレーニングを行います。お口の機能が健康寿命にまで影響することを多くの方に知っていただきたいですね。当院がめざすのは、地域の皆さまの口腔機能を向上させて、健康寿命を延ばしていくこと。この地域を「長生きできる街」にしていくことに、少しでも貢献できたら幸いです。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

古屋奈々子院長 石山なな歯科6

歯科医院のことを、「虫歯になってから行く場所」とお考えの方が多いかもしれません。そうではなく、「虫歯にならないために行く場所」と考えてもらえたらうれしいですね。特にお子さんの場合、虫歯になる前から歯科を受診してフッ素塗布を行うことが大切。虫歯になってからではなく「なる前」に、できれば3ヵ月に1回くらいの頻度でフッ素塗布にいらしていただきたいですね。フッ素を塗るだけなら、お子さんの負担も少なくて済みます。また、お口が開いたままの「お口ポカン」の状態のお子さんも増えてきました。その状態だと風邪を引きやすく、歯並びにも影響するため、早めに改善する必要があります。問題が生じる前から、習い事感覚で定期的に歯科を受診していただければ幸いです。

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