橋本 圭史 院長の独自取材記事
調布歯科・かおいく矯正歯科
(調布市/調布駅)
最終更新日:2025/03/12

2024年12月、京王線調布駅前にオープンした「調布歯科・かおいく矯正歯科」。院長の橋本圭史先生は、同院の前身となる「柳沢歯科」で根管治療の研鑽を積み、さらに根管治療となる前段階の歯髄を残す治療や精密な虫歯治療にも詳しい専門家だ。同院で歯を残すための治療に携わりながら、院長として他の歯科医師やスタッフ、柳沢哲秀理事長とともに一般歯科や矯正など幅広い診療に取り組む。専門性からの独自の視点や、ユニークな語り口も印象的だ。「将来を考え、歯を守るためにもっと虫歯治療に関心を持ってほしい」と熱く語る橋本院長。同院の診療の特徴や、治療に対する思いを聞いた。
(取材日2024年12月25日)
歯を残す治療と、口腔の発達を促す小児矯正を2本柱に
まず、こちらのクリニックの成り立ちを教えてください。

前身は、柳沢哲秀理事長のお父さんが約40年前に柴崎で開業された「柳沢歯科」です。一般歯科の他、柳沢理事長が専門的な根管治療を手がけ、遠方からも患者さんが多く来られていました。私は柳沢理事長の後輩にあたり、根管治療を学びたくて2020年から「柳沢歯科」に勤務していました。そろそろ医院を新しくしたいという話になった時に、この場所が見つかったので、移転して院名も一新することになりました。診療面では、保険診療の一般歯科、自由診療の根管治療や歯を残すための治療、そして、歯科医師の柳沢美文先生による「かおいく」を行う子どもから大人の矯正治療が中心です。保険診療においても、当院の専門性を生かして、なるべく歯を残せるような精度の高い治療を行っていることも特徴だと思います。
「かおいく」とは、どのような内容なのですか?
成長期の子どもは顎の成長が発達途上であるため、鼻呼吸を促し舌の位置を確保してしっかり呼吸ができるようにすると、顎も正しく成長して歯並びも自然に整い、集中力や運動能力にも影響するといわれています。子どもたちのためにアクティビティールームを設置し、口呼吸の改善を図り顎や顔、口腔機能の適切な発育を促すトレーニングを行っています。これが「かおいく」です。口呼吸の改善は、鼻詰まりの解消や体力をつけることを目的に行います。根管治療が必要となる重度の虫歯の場合、歯並びの悪さが虫歯の原因となっていたり、口呼吸が目立ったりします。虫歯を予防するためには、そもそもの歯並びや口腔の問題を解決することが必要だというのが当院の考え方です。大人の歯列矯正においても、見た目の歯並びを治すだけでなく、噛み合わせのバランス調整や虫歯リスクの軽減をめざした治療を心がけています。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?

もともと「柳沢歯科」に来られていた患者さんがほとんどそのまま来てくださっています。また、調布駅前という便利な所に移転したので、近隣はもちろん、新宿や八王子からも患者さんが来てくださるようになりました。地元も大切ですが、根管治療や小児矯正を求めて遠方からも患者さんが来てくださるので、調布駅前に移転したことは良かったと思います。当院では、診療時にマイクロスコープで撮った歯の画像を患者さんにもお見せしています。新しく来られた患者さんにも、「自分の歯をこんなに拡大して見たことがない」「自分の歯がよくわかった」と感じてほしいですね。マイクロスコープは丁寧に治療ができることがメリットですが、患者さんにとっても、患部や治療した所を見たり、虫歯の原因が磨き残しであることに気づけたりと、とても役立つのではないかと思っています。
患者を自分の家族や友人と思い、真摯な対応を心がける
院長に就任されるまでの経緯を教えてください。

歯学部に進んだのは、進路に悩んでいた時、歯科大学の教授だった祖父が、「歯科の世界も面白い」と勧めてくれたのがきっかけでした。祖父は、教授を退職した後も勤務医として診療を続けるなど、真面目で周囲から信頼されていました。私もそんな祖父を尊敬していたので、歯学部に進みました。卒業後、静岡県の「すずき歯科医院」に勤務して鈴木龍先生に出会い、歯科医師として人生が変わりました。「努力すれば実る、真面目に丁寧に治療すれば患者さんはわかってくれる」ということを教わり、患者さんと真摯に向き合うことの大切さを学びました。さらに根管治療を勉強したいと思ったので、「柳沢歯科」に勤務したわけです。また、根管治療を行う前段階の、なるべく神経を残すための治療や歯を削らない治療や審美面にも配慮した治療などについても専門的に学び、とにかく歯を残したいという方に、歯を残せる環境を提供できるようを学んできました。
診療をする上で、どのようなことを大切にしていますか?
素直に、自分の心にうそをつかないことです。自分の得意な治療・不得意な治療ははっきりと患者さんに伝えますし、例えばインプラント治療が必要な場合には、私自身が「インプラント治療がお得意な方」だと思う先生を紹介します。あえて、公私混同をするということを考えていますね。公私混同というのは、マニュアル的な対応の対局にあるものです。マニュアル的な対応は明確で優秀かもしれないけれど、冷たいこともあると思うんですよ。患者さんが「もし自分だったら、自分の家族や友人だったら、どうするか」と考えて、正直に、身内と同じような対応をしたいということです。院長としては、リーダーシップでまとめあげていくというより、他の歯科医師やスタッフと一緒に、目の前の患者さんを一人ひとり真摯に診ていくということを大切にしています。
プライベートな時間の過ごし方なども教えてください。

スポーツも好きですが、最近は、なるべく家族との時間を大切にするようにしています。料理が好きなので、妻においしい料理を食べてもらいたいのと、「お父さんの炒飯が食べたい」などと言ってもらえるように、妻の料理とかぶらない父親の得意料理というのを、5つぐらい作っておきたいと努力しています。
歯を守るために、小さな虫歯でも丁寧な治療を
歯科医師になり、残念だったことやうれしかったことなどを教えてください。

残念なことは、自分の真意が伝わらないときですね。自分が本来伝えようと思っていたのとは異なる意味に取られてしまったり、表現の仕方が親身になりすぎて違うように捉えられてしまったりするとショックですね。良かったことは、若い患者さんで、矯正装置を装着していたのに、新型コロナウイルスの流行で、歯科医院に通えず、虫歯がたくさんできてしまったという方がいました。その方は、虫歯が進行していて、いくつかの歯科で抜歯を勧められたそうですが、当院を頼って来てくださいました。私の診療技術でなんとかしてあげたいと思いましたね。
専門的な立場から、気になっていることはありますか?
歯を大切に思っていない方が、残念ながら多いことですね。体の他の部分はけがをしても回復しますが、歯は1度削ったら元には戻りません。なるべく歯を削らない・残すような治療を受けていただきたいと思っています。そして、虫歯治療は、簡単な治療ではないことを知ってほしいのです。本来はとても難しい治療なんです。ですから、当院の歯を残す治療では、小さな虫歯でも時間をかけて丁寧に治療を行います。だからこそ、将来的にも再発を防ぐことができ、歯を守ることができると思っています。初期の虫歯治療が大切であることが、もっと世の中に広まってほしいですね。歯が悪くなって、もう抜くしかないというときになって焦るのではなく、もっと手前の段階で、歯を残すことを考えた治療を受けていただけるよう、教えていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

お子さんの歯の健康を守れるのは、親御さんです。特に4歳~6歳ぐらいは、お子さんの顎や口腔機能にとって、とても大切な時期であることを知ってください。どの治療もそうですが、開始時期が早ければ早いほど低侵襲で治療費もかからず、かつ効果が期待できます。「かおいく」はそうした方法の一つです。当院と同じような取り組みをしている歯科医院も増えているので、親御さんにはお子さんの虫歯予防だけでなく、歯並びや口呼吸についても正しい知識を得てほしいと思います。大人の方も、これから30年、40年と自分の歯を使っていくわけですから、まずは自分の歯の現状を知り、歯を大切に守ることを考えてください。当院では、患者さん自身がマイクロスコープの画像で現状を知り、その上で必要な治療や予防を受けることができます。保険診療や自由診療など多くの選択肢を用意していますから、気軽にご相談いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは根管治療/前歯:11万円~、歯を残すための治療/歯髄保存療法:3万3000円~、小児矯正/I期治療:38万5000円~、成人矯正/ワイヤー矯正:88万円~