小川 慎也 院長の独自取材記事
おがわ整形外科クリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2024/12/23

「訪れたすべての人が笑顔になる優しいクリニック」をコンセプトに掲げ、2024年11月に松江市内に開業した「おがわ整形外科クリニック」。院長の小川慎也先生は、もともと薬剤師として大学で薬学の研究をしていたが、その後医学部に再入学し医師になったという一風変わった経歴の持ち主だ。同院は、院長の専門である脊椎疾患の診療をはじめ整形外科全般の診療に対応。また、リハビリテーションや予防にも注力しているのが特徴だ。インタビューでは、なぜ薬剤師をやめてまで医師を志したのかというところから話を聞いたが、話が進むにつれ、先生の人とのつながりを重んじる心や、患者同様にスタッフを大切にしていることなど先生自身の優しい人柄をうかがい知ることができた。院内の明るい雰囲気は決して真新しい設備だけによるものではないだろう。
(取材日2024年11月26日)
患者と深く関わる医療をめざし、薬学から医学の道へ
開業までの経緯をお聞かせください。

私はもともと薬剤師として大学院で薬学の研究をしていたんです。兄が医療従事者でしたので、自分も何らかのかたちで医療の仕事に携わりたいと思ったのが薬剤師をめざしたきっかけでした。しかし、そうした中で次第に臨床への思いが強くなり、研究職よりも医師として目の前の患者さんをサポートして差し上げたいという気持ちが強くなっていったんですね。それであらためて医学部を受験し直し、医師をめざすことにしました。開業にあたっては、私の出身地であるこの場所にご縁をいただくことができ、うれしく思っています。地域の皆さまの頼れるかかりつけ医となり、皆さまの「健康長寿に貢献する」というのが私たちのめざす目標です。
なぜ整形外科の道を選ばれたのですか? ご専門の領域についてもお聞かせください。
整形外科の医師になろうと思ったのは、初期研修であちこちの診療科を巡っていた時に、整形外科にいらした先生が良い方々で仲良くさせていただいたことがきっかけとなりました。また、整形外科特有のダイナミックな手術に魅了されたという点も大きかったですね。大学で専門的に学んだのは、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアといった脊椎疾患と、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの頸椎疾患で、脊椎の手術も数多く担当させていただきました。とはいえ、その後、救急科外来のある総合病院で外傷などさまざまな疾患の治療にあたりましたので、整形外科全般の疾患について広く研鑽を積んできたと自負しております。
どのような患者さんがおみえになっていますか?

ご高齢の方を中心に、50代、60代の方も多くお越しくださっています。主訴としては、腰や肩の痛みを訴える患者さんが多いですね。四十肩、五十肩などといわれますが、加齢に伴って肩関節周囲に炎症が起きてしまい、肩の疼痛や肩関節の可動域制限などが見られるようになり、困っていらっしゃる方が少なくありません。また、当院ではスポーツをしている若い方のけがにも対応しています。当院にはスポーツ外傷について詳しい理学療法士が在籍していますので、そうした際にこまやかな対応ができる点は当院の診療の特色の一つではないでしょうか。近隣にお住まいの方はもちろん、地域にお勤めの方々がストレスなく通院できるよう、駐車場は32台分完備しており、院内は完全バリアフリー設計となっています。予約をしていただければ待ち時間の短縮になりますが、急な外傷などにも対応できるよう、予約外の患者さんも受けつけていますのでご安心ください。
リハビリテーションや予防医療にも力を注ぐ
広々としたリハビリテーションルームがありますね。

これまでさまざまな疾患の治療にあたる中で、リハビリテーションや予防も非常に重要だと考えるようになりました。フレイルやサルコペニアという言葉をご存じでしょうか。どちらも高齢者の健康に関する言葉ですが、フレイルは加齢によって心身が弱ってしまうこと、サルコペニアは筋肉量が減少し筋力が低下してしまうことで、けがや病気につながるだけでなく患者さんの生活の質を著しく落としかねないものとして、国も力を入れて取り組み始めているものです。そうした状況になって苦しんでしまう前にどうにかしたいというのが「健康長寿」を掲げる当院がめざすところなんですね。そのため、当院では170平方メートルのゆとりあるリハビリテーションルームに先進のリハビリテーション機器を多数導入し、疼痛の軽減や治癒促進をめざすだけでなく、予防のためのエクササイズを取り入れるなどして病気にならない体づくりに注力しています。
診療において心がけていることをお聞かせください。
患者さんの多くはご自分の体のことを知りたいと思っていらっしゃると思うんです。その思いに応えるために、難しい医学用語はできるだけかみ砕いて易しい言葉にしてご説明したり、エックス線写真をお見せしながら視覚的にもわかりやすくお伝えしたりするなどの工夫をしています。その結果、患者さん自身が積極的にリハビリテーションに向き合ってくださるようになることが期待できますし、治療のモチベーションアップにつながるのではないかと考えています。また、リハビリテーションの際も適宜診察を行い、状況や経過をしっかりと把握し、必要があれば理学療法士と相談をしながら調整をしていくようにしています。
スタッフの仲の良さが自慢だそうですね。

当院は、「訪れたすべての人が笑顔になる優しいクリニック」を掲げ、開業しました。しかし、患者さんに優しく寄り添うためには、まず、私たちスタッフがハッピーでいなければならないと思うんです。ギスギスとした人間関係の中では良いチーム医療は望めませんし、患者さんにも悪い雰囲気が伝わってしまうと思うんですね。それで、誰とでも仲良くできる方に来てほしいという思いは当初からあったのですが、たいへん恵まれたことにそのような人ばかり集まってくれたので、院長としてとても救われています。リハビリテーションにあたる理学療法士も、皆気さくで物腰やわらかです。そんなおおらかな雰囲気の中で日々診療していますので、患者さんにはぜひリラックスしてお越しいただき、気軽にご相談いただければと思います。
健康長寿をめざし、気軽に受診できるクリニックへ
クリニックの今後の展望についてお聞かせください。

当院は皆さまの「健康長寿」をめざしていますので、将来それを実感していただけるよう力を尽くしたいと思っています。また、取り組みの成果をその都度少しずつでも実感していただけるよう工夫していきたいですね。フレイルやサルコペニアを予防するためにも、診察時には患者さんの生活状況などをよく伺い、体を動かせるときにはしっかり動いていただくようお伝えするなど、折に触れてお声がけしていくことも重要だと思っています。
お忙しい毎日かと思いますが、小川先生のご趣味やプライベートの過ごし方についてもお伺いしたいです。
趣味は釣りです。船を予約して、島根半島の沖合のカンナカという漁場まで海釣りに行くことが多いですね。友人と行くこともあれば1人で行くこともあります。最初の頃は船酔いして大変だったんですが、今はもう平気になりました。夏はイカ、冬ならブリなどが釣れるんですよ。子どもがおいしいと言ってよく食べてくれるので釣りがいがあるのですが、私は魚をさばけないので、調理はもっぱら妻にしてもらっています。ただ、手ぶらで帰ってくることもあるので2人ともあまり期待はしていないんじゃないでしょうか(笑)。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

加齢による疾患は気づかないうちに進行していることがあります。特に高齢女性に多く見られる骨粗しょう症は、骨折するまで自覚がないことが多い疾患です。骨密度が減少することによって、ちょっとした転倒で骨折しがちで、大腿骨を骨折して寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。当院では簡単に骨密度を測ることができますので、65歳を越えたらぜひ骨密度の測定にいらしていただければと思います。また、脊柱管狭窄症の患者さんが増加傾向にありますが、足のしびれなどがあればなるべく早く受診してください。私の一番得意とする分野でもありますので、お力になれれば幸いです。当院は決して敷居の高いクリニックではありません。皆さまが笑顔でご帰宅できるようスタッフ一同心を込めて診療にあたらせていただきますので、どうぞお気軽にお越しください。