北原 信介 院長の独自取材記事
新城そよかぜ内科・呼吸器内科
(川崎市中原区/武蔵新城駅)
最終更新日:2025/05/14

JR南武線・武蔵新城駅を出て徒歩1分。ビルの4階に位置する「新城そよかぜ内科・呼吸器内科」は、臨床経験豊富な北原信介院長が診療を行うクリニックだ。淡いグリーンとクリーム色を基調とした院内は落ち着いた印象で、待合室もゆったりとしている。近隣に呼吸器内科を診るクリニックが少ないため、地元住民にとっては貴重なクリニックといえるだろう。開業前は呼吸器領域のがんの診療に携わってきた北原院長。「もっと患者さんにとって身近な場所で、病気の予防や早期発見に取り組みたいと思い開業しました」と優しく話す。咳などの呼吸器症状はつい放っておきがちだが、その裏には重大な病気が隠れているかもしれない。CTも導入して専門的な診療に注力する北原院長に、受診の目安や同院の特徴について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年4月18日)
CTも活用し、呼吸器疾患の早期発見・早期治療に注力
まずは開業に至ったきっかけを教えてください。

私はもともと群馬大学医学部附属病院などの急性期病院で、がんをはじめ呼吸器内科疾患の診療に携わっていました。ただ、そうした大規模病院に紹介されてくる方の病状はすでに進行していることも多く、どれだけ余命を延ばせるかという治療になることも少なくありません。そんな状況に対して、呼吸器内科医としてできることはないだろうかと考えた時、患者さんが最初にかかるクリニックで病気の予防や早期発見に取り組むことが一番ではないかと思ったのです。そこで、駅に近くて通いやすいこの場所で開業することを決めました。近隣に呼吸器内科を標榜するクリニックが少ないこともあり、専門的な診療で役割を果たせたらと思っています。
こちらにはどのような方が来院されますか?
多いのは、咳が止まらないと訴える患者さんですね。また、花粉症やハウスダストといった吸引系のアレルギーにお悩みの方もいらっしゃいます。他にも睡眠時無呼吸症候群など、呼吸器疾患全般を診ています。開業にあたっては、それぞれの症状について診断や治療に役立てるための検査機器も充実させました。また、風邪はもちろん、地域のかかりつけクリニックとして、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や一般内科診療も行っています。患者さんの年齢層は幅広いですが、特に40代くらいの働き世代の患者さんが多い印象ですね。
こちらはクリニックでありながら、CTを導入されているそうですね。

そうなんです。私の専門が肺がんということもあり、早期発見に有用なCTを導入しました。がんが疑われる患者さんをできる限り早く見つけ、大学病院などに紹介して早期治療につなげたい思いがあります。通常、設置するスペースや採算の問題もあり、クリニックで導入する所は少ないでしょう。もしCTを撮る必要があれば、まずは近隣の画像検査専門クリニックに予約を入れ、後日患者さんに検査を受けてもらい、検査結果が出た頃に再受診してもらい診断するという流れが多いと思います。その点、当院は院内ですぐに検査を行えますから、迅速に対応できるだけでなく、患者さんも1ヵ所でCT検査を受けられ、負担が少なくて済むメリットがあります。当院ではCTがある強みを生かし、市の健診で異常が見つかった方の二次検診や自費での肺がん検診も行っていますので、気になる方はぜひご相談ください。
丁寧な問診と聴診で病気の原因に迫る
診療の際はどんなことを大事にされていらっしゃいますか?

まずは問診で患者さんの話をしっかり伺うとともに、どこに原因があるのか聴診を丁寧に行うことを心がけています。呼吸器内科の医師にとって、「問診と聴診は診療の入り口」といわれるくらい大事なものです。患者さんが風邪をひいていて「咳が出る」と訴えた場合、咳の原因は本当に風邪だけなのか、それともアレルギーや感染症、肺がんといった別の症状も隠れているのかを見極めることは、初期の段階では難しいでしょう。ただし、風邪による咳は1週間程度で徐々に治まりますので、2週間、3週間と咳が続く場合は風邪以外の病気も考えられます。まずは問診や聴診で原因を探り、疑われる病気に対して治療を行うとともに、経過を診ていくことが大切です。
呼吸器内科の診療では、問診と聴診が基本となるのですね。
そうですね。生活習慣病のように血液検査や尿検査の数値で確定診断を行える病気とは異なり、呼吸器内科の病気は数値化して診断できない部分も多いのです。もちろん検査である程度わかることもありますが、いきなりすべての患者さんに検査をするのは適切ではないですから、まずは問診と聴診で一人ひとりの症状を見極めていくことが重要なのです。中には数週間どころか、数ヵ月から何年にもわたって咳が続いているという方や、夜中に咳が出て眠れないという方もいらっしゃいます。咳でエネルギーを消耗し体重が落ちてしまうこともありますので、決してそのままにはせず、専門の医師による診断を仰いでいただきたいですね。
患者側は受診時にどのようなことを伝えればいいのでしょうか?

症状の状態や経過を教えていただけたらと思います。例えば3週間以上続く咳であれば、いつから始まったのか、次第に悪化しているのか、それとも軽快してきているのか、また、その症状が出るきっかけがなかったか、といったことを伝えていただくと診断の際に役立ちます。また、長引く風邪だと思って咳症状に対する治療を繰り返している方は、その裏に重篤な疾患が隠れている場合もあるかもしれません。今までにも同じような症状が出たことがあったかや、その際の治療歴についてもぜひ教えていただければと思います。先ほどふれたとおり、呼吸器内科の病気はすぐに確定診断をつけることが困難なこともあり、一度の受診で病気や治療についてすべて患者さんにご理解いただくことは難しい面があると思っています。その分、説明を丁寧に繰り返すといったことを意識して、治療を継続していだけるように努めています。
多くの縁に支えられて得た経験を地域に還元したい
そもそも先生が呼吸器内科の道を選んだのはなぜですか?

アレルギーや感染症、がんなどさまざまな疾患を広く診られる診療科だからです。もともと大学時代の先輩とのご縁から、研修医の時に呼吸器内科の症例発表会などに参加させていただくといった経験を通じて、この科の特徴を知ることができました。「せっかく医師になったのだから、患者さんの命を直接助けるような医療を提供したい」と考えていたこともあり、外科ではなく内科分野であっても肺がんのような命に関わる病気の治療に携われることも大きかったですね。その思いを実現するため、勤務医時代には勤めていた大学病院に申し出て、国立がんセンターに2年間の国内留学をさせていただき、研鑽を積むこともできました。
今後の展望についてお聞かせください。
クリニックでの診断や治療のデータを蓄積し、将来的には発表できたらと考えています。データを他の先生方と共有していけば、より良い診療につながるはずです。実は、呼吸器を専門とする一部の医師の間では、「呼吸器疾患を通して体全体を診る」というプライマリケアを推進するためのネットワークが構築され始めています。クリニックでも専門的な診療が盛んに行われるようになってきた現状がありますので、そうしたネットワークにもいずれ加わっていきたいですね。そのためにも今は診療とともに、しっかりと勉強をするように努めています。疑問が生じたときは勉強会などで先生方からアドバイスをいただける機会もあり、モチベーション向上の源になっています。患者さんのために、まだまだやるべきことがたくさんあるとあらためて思う日々です。
最後に地域の方々へメッセージをお願いいたします。

もともと私の父が開業医をしていたことから、その仕事に取り組む姿勢に憧れて育ったことが私の原点です。医学部入学後も多くの方たちと出会い、助けてもらったり教えてもらったりしながら今に至ることができました。そうして得られたこれまでの経験を、地域の方々に還元していけたらと考えております。長引く咳や痰、息切れ、夜中のいびきなどの症状があれば、そのままにせずぜひ一度受診していただきたいです。お伝えしたとおり、必要に応じてCT検査も行える環境を整えており、肺がんが疑われる所見が見つかった場合は大学病院などへご紹介できます。気になる呼吸器の症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは肺がん検診/900円