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中逵 尚 院長の独自取材記事

泉州ホームケアクリニック

(和泉市/和泉府中駅)

最終更新日:2025/04/22

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック main

2024年12月1日にマンションの3階に開業した「泉州ホームケアクリニック」は、訪問診療を専門とするクリニック。和泉市出身の中逵尚院長が地域に貢献したいと独立。北海道や大阪のクリニックで在宅のチーム医療を学んできた中逵先生は、これまでの知見を泉州で生かすべく、患者やその家族の気持ちに寄り添いながら、日々地域医療に向き合っている。「医師らしくないと言われるとうれしい」と語る気さくな中逵先生に、在宅医療を選択した背景や診療時に心がけていること、クリニックのめざす地域連携などについて話を聞いた。

(取材日2025年3月18日)

患者の退院後に目を向けて在宅医療を意識

先生のご経歴を教えてください。

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック1

2009年に兵庫医科大学を卒業後、和泉市にある府中病院で研修医として医師生活をスタートしました。その後、同病院の総合診療科に入職。2015年には京都市立病院の感染症内科に従事しました。2018年からは北海道にあるいまいホームケアクリニック、大阪府内の熊取ファミリークリニックでそれぞれ3年間在宅医療に勤しみ、2024年12月に当院を開業しました。地域の中核病院である府中病院で救急対応や総合診療にやりがいを感じていましたが、感染症で悩む症例の相談に乗っていただける院外講師の先生の知見の広さに刺激され、心臓や消化器といった臓器別ではない、全身の変化に対応する幅広さに面白さを覚え、京都市立病院で感染症を学ぶ機会をいただきました。

そこから在宅医療に特化しようと思われたきっかけについて伺います。

HIVやマラリア、デング熱といった渡航医学など、一般病院では出会うことがない症例を経験し、学問としての面白さは感じていた一方で、感染症内科医として今後やっていけるか不安に感じていました。そんな中、ある患者さんのカンファレンスで、退院後のことは退院してから考えればいいとの発言を聞き、退院後に目が向かない態勢に疑問を抱くことがありました。患者さんの退院後に思いをはせる中で、在宅医療の存在を知り、北海道の在宅医療専門のクリニックのブログを読み、患者さんとこんなふうに関われる職場があるのかと興味を持ちました。すぐに連絡を取り、遠方でのまったく違う生活に迷いはありましたが妻にも背中を押され、3年間、北海道で学ぶ機会を得ました。診療報酬の仕組みから、多職種連携、病院で学んだ医療との違いなど、得られるものは多く、貴重な経験でした。今でも診療に悩んだときは相談に乗っていただいています。

そして大阪府へ戻られたんですね?

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック2

はい。研修後、独立開業に向けて準備を進めていましたが、とある在宅医療をしているクリニックで、医師を探しているというお話をいただきました。400人を超える患者さんを診ているクリニックだったため、「こんなに患者さんが多くてどうやって診療しているのだろう」と純粋に興味を持ちました。困っておられたことと、自分の力を試したいという思いも芽生え、引き継がせていただきました。北海道と大阪府では在宅医療の在り方にも違いがあり、学ぶことがたくさんありました。北海道では分業ができていたこともあり、夜間問わず自分で点滴なども対応していましたが、多くの患者さんに医師一人で対処する現場では、同じ対応は難しく、訪問看護師さんに処置や判断、説明をお願いすることが増えました。

介護される側にもする側にも寄り添うケア

「患者さんの退院後」に向き合うことは、ご自身に合っていましたか?

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック3

在宅医療の医師としての役割は、治療や処置だけでなく、患者さんの生活や社会的背景、ご家族との関係にも向き合うことが求められます。病気の話をすることよりも、普段どのように過ごしているかお話を聞くことの方が、近い距離間でお話ができるように思います。家の中に入るため、ご家族があまり外に見せたくない部分が見えてしまうこともありますが、そうしたある種の人間くささが垣間見える中で診療を行うことを苦に感じるお医者さんもいると思いますが、自分は苦手に感じません。また、介護をされているご家族が同席されている際には、病状説明と一緒に介護の負担も確認するように声がけしています。介護の大変さを理解した上で、負担を軽減できるようなアドバイスを心がけています。

診療で注力されていることはありますか?

患者さんには、医療の知識を持った孫と話すような感覚で接してもらえるように心がけています。「医者らしくないですね」と言われるほうがうれしいですね。在宅だと介護される側にも介護する側にも気苦労はあります。双方の気持ちをくみ取って、お互いが気遣いあえる関係をつくれるようにお話ししています。総合内科でさまざまな疾患を扱っていた名残から、自分ができることとできないことの境界を明確にし、必要に応じて専門の先生にご相談する事を意識しています。「泉州」という地名をクリニック名に掲げたのは、地域の医療資源を把握し、よりよい医療を提供するためです。単に広域をカバーするのではなく、フットワークを生かして、地域の水先案内人のような存在になれればと考えています。

在宅医療はどのようなスタイルで行っていますか?

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック4

基本的に医師1人と看護師1、2人で、月2回の訪問をベースに、ご自宅へ伺い、体調を確認しています。症状があらかじめ予想できる場合には、発熱の兆候があれば解熱剤や抗生剤、痛みがある場合は鎮痛剤をあらかじめ処方するなど、現場で対処できる準備をします。血液検査の結果や投薬の追加などは、訪問看護師と共有することで、状態変化時にスムーズに連携できるようにしています。急変時にも、ご連絡をいただければ往診に伺う他、訪問看護師に対応をお願いすることもあります。訪問診療は24時間365日の対応を要求され、それが障壁となってなかなか広まらない側面があるのですが、訪問看護師さんのご協力もあり、休日夜間の電話や往診対応は月に1、2回ほどで、そこまで多くないというような実感はあります。

泉州地域の患者の水先案内人に

印象深い患者さんはいらっしゃいますか?

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック5

そうですね。終末期の患者さんを対応しているときには、残された時間をどう過ごすのが最善か、同行の看護師さんや訪問看護師、ご家族と悩みながら決めたりするのですが、慢性期でじっくり見させてもらっている患者さんのほうが印象に残りやすいです。100歳を超えても元気で常に手を動かしているおばあちゃんやデイサービスに行くのが嫌でご家族を悩ませる患者さんなど、時にはすれ違いで、家族間で関係がこじれてしまうこともあり、患者さん本人にとっての最善が何か悩むこともあります。疾患や認知機能低下で、本人が意思を伝えられない場合、関わっている医療者で方針決定することもありますが、自分が患者さんだったら、どうしたいかをそれぞれの立場で話し合って決めることが多いです。病院とは違って、介護者がどういう思いで介護しているかも、大事な要素なので、本人の思いとバランスを取ることも必要なことだと感じています。

休日は何をして過ごしていらっしゃいますか?

子どもが3人いるので、休日はほとんど一緒に過ごしています。公園へ行ったり、自転車で出かけたりするのが好きで、自転車の前後に子どもを乗せて走ると、とても喜んでくれます。まだ甘えたい年頃なので可能な限り、時間をつくってあげられればと思います。また、ランニングが趣味で、先日も20kmのクロスカントリーに出場する機会があり、また挑戦したいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中逵尚院長 泉州ホームケアクリニック6

当院は外来を行っていない在宅診療に特化したクリニックになります。高齢化社会を受けて、在宅医療の推進がうたわれていますが、仕組みの複雑さ、24時間365日の対応、学ぶ機会の偏りなどから、地域差があると感じています。先だって、地域の医療資源を活用したい思いとともに、在宅医療を通じて学んだ患者さん家族が望む医療を知ろうとすること、それに少しでも近づけようとする意識を根づかせたいという思いを込めています。在宅はどちらかといえば、人生の最終段階に携わることが多いです。病気はままならないものですが、最期は納得できるものでありたい、その思いに共感していただける医療者と満足感の高いチーム医療を提供できることで、輪が広がれば良いなと考えています。これまで培ってきた知識や経験を生かし、泉州の在宅医療の水先案内人として、患者さんのお力になりたいと思っていますので、お気軽にお電話でご相談ください。

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