生活習慣病や心・血管系の合併症を防ぐ
睡眠時無呼吸症候群の治療
今泉クリニック
(大阪市北区/天神橋筋六丁目駅)
最終更新日:2025/08/13


- 保険診療
睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、熟睡感がない、日中、眠気に襲われるといった症状が特徴的な疾患である。生活の質を低下させるとともに、心臓や脳に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中などにつながる可能性もある。精神的な睡眠障害と間違える人もいるが、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸障害が主な原因であり、生活習慣病との関連が強い疾患だ。「今泉クリニック」の今泉昌男院長は、健診や人間ドックに関する経験、知識、実務能力を有し、生活習慣病の管理と並行して睡眠時無呼吸症候群の治療を行っている。そんな今泉院長に、睡眠時無呼吸症候群と精神的な睡眠障害の違い、原因、検査や治療などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年7月24日)
目次
精神的な睡眠障害とは原因が異なる睡眠時無呼吸症候群は、全人的医療をめざすクリニックで生活習慣の改善を
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?
-
A
▲いびきや日中の眠気に要注意
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠障害の一つで、睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする疾患です。睡眠中に十分な酸素が供給されないため、日中、強い眠気や頭痛が出現したり、睡眠中にいびきをかいたりします。十分な睡眠が取れず、日中に倦怠感や意欲低下などの不調が出現する不眠症や、日中、過度の眠気に繰り返し襲われるナルコレプシーと間違える人もいますが、それらとはメカニズムが異なります。不眠症は入眠や寝つきに関する精神的な問題が中心ですが、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸障害が主な原因です。従って、両者の治療方法は異なります。当院では睡眠時無呼吸症候群の治療に対応しています。
- Q自覚症状はありますか?
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A
▲放置すると心臓や脳に負担も。早期に受診が推奨される
睡眠時のいびきは、睡眠時無呼吸症候群を見分ける重要な指標です。ほとんどの睡眠時無呼吸症候群は、空気の通り道である気道が狭くなる、もしくはふさがってしまうことによって起こるからです。ほかにも「寝苦しい」「呼吸が止まったり乱れたりする」「寝汗をかく」「夜中に何度も目が覚める」「夜間頻尿」といった症状には要注意です。また、起床時は「口の中が乾いている」「熟睡感がない」「頭痛」、日中には「強い眠気」「倦怠感」「集中力の低下」といった症状が見られます。放置すると心臓や脳に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながる可能性があるため、これらの症状が気になったら早めに医療機関を受診してください。
- Q原因は何でしょうか?
-
A
▲生活習慣病と密接に関わり、糖尿病になるリスクも増えるという
睡眠時無呼吸症候群は、肥満・高血圧・糖尿病などの生活習慣病と密接に関係しています。生活習慣病が睡眠時無呼吸症候群を悪化させる一方、睡眠時無呼吸症候群もまた生活習慣病を悪化させるのです。そのため、両者を並行して治療することが重要です。例えば肥満の方は、体重が10%増えるごとに睡眠中の無呼吸は32%増加するというデータがあります。また、無呼吸の状態から呼吸が再開する際、覚醒反応によって交感神経が高まるため、血圧が上昇し、高血圧の原因になります。さらに、睡眠時無呼吸症候群の患者は、一般の人に比べて糖尿病になるリスクが1.62倍高いという報告もあります。
- Q睡眠時無呼吸症候群では、どのような検査や治療を行うのですか?
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A
▲睡眠中のスムーズな呼吸を助けるCPAPを使用し継続的な治療を
まずは、自宅で小さな機械を手首に巻き就寝し、睡眠の状態を測定する簡易検査を行います。これによって睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、睡眠中の脳波、呼吸、心電図、いびき、血液中の酸素飽和濃度などを、より精密に測定します。治療として一般的なのは、鼻に装着したマスクから空気を送り込んで気道を広げ、睡眠中のスムーズな呼吸を助けるCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。そのほかにマウスピースを装着して就寝する方法もあります。鼻中隔湾曲症などが原因の場合は、外科的処置で改善を図ります。
- Qこちらでは生活習慣病の治療も並行して受けられるそうですね。
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A
▲生活習慣の指導も併せ、心から安心できる全人的医療を
生活習慣病は、運動不足や不適切な食生活、過度な飲酒、喫煙やストレスなど、習慣や環境が深く関与し、これらが積み重なることで発症します。それを早期に発見することで、睡眠時無呼吸症候群はもちろん、さまざまな疾患を予防することができると考えています。当院では、一定レベル以上の健診・人間ドック・総合健診・検診に関する経験、知識、実務能力を有した医師がエビデンスに基づき、生活習慣病を管理しています。睡眠時無呼吸症候群との関連を重視し、両者を並行して治療することで改善を図っているんです。