歯科診療が怖いと感じる人へ
不安に対するさまざまな配慮や工夫
歯科ほんだクリニック
(大阪市東住吉区/針中野駅)
最終更新日:2025/02/12


- 保険診療
歯科医院を受診することに怖さや不安を感じる人は多いだろう。では、具体的に歯科診療の何に対して不安を感じているのか。怖さの理由を一つずつ取り除くことで受診へのハードルは低くなるはずだ。「歯医者さんが怖いという感情は、見えないことや痛みへの不安が原因になっていることが多いのではないでしょうか」と話すのは、「歯科ほんだクリニック」の本田秀太院長。「痛さへの不安」も歯科への恐怖心を引き起こすきっかけの一つだろう。これらのネガティブなイメージを払拭するための配慮や工夫に取り組む同院。病理学に精通し、痛みへの根本的な対応策を知る本田院長に、安心して受診してもらうための環境づくりや痛みに対する配慮と工夫について質問し、初診の流れをレポートした。
(取材日2025年1月28日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯科医院に行くのが怖い、不安と感じる理由は何でしょう?
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A
歯科を受診するのが怖い、不安だと感じるのは、「見えない」ことが原因ではないでしょうか。患者さんが治療中の口腔内を実際に見ることはできませんから、自分が見えないところで何をされているのかがわからないことで不安を感じるのだと思います。そこで、当院ではどういうことを行うのかを具体的に説明した上で治療を始めています。見えないところだからこそ、エックス線画像、写真、アニメーションソフトなどを使って、これから何をするのか、どういう流れで治療が進んでいくのかを丁寧に説明。患者さんが緊張しないような雰囲気づくり、治療中の声かけなども心がけ、コミュニケーションを大切にしながら不安の解消につなげています。
- Q痛みに対する配慮、軽減する工夫について教えてください。
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A
痛みを軽減するための工夫の一つとして、機器の充実があります。例えば、麻酔をする前に表面麻酔を使って、麻酔注射自体の痛みの軽減を図る、あるいは極力痛みを感じにくいように細い注射針を使うなどです。痛みには注射針だけでなく、麻酔の薬液も関係しています。体温と薬液の温度に差があると痛みを感じやすいので、薬液をなるべく体温と近い温度にしてから注射を打つ工夫もしています。針が入る時のスピードによっても感じ方が変わりますから、なるべくゆっくりとしたスピード、一定のスピードで打つことも大切です。表面麻酔の使用、細い針、電動の麻酔器などを導入することによって、ある程度の痛みを軽減することが期待できます。
- Q機器を導入するだけでは十分ではないのですね。
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A
多くの歯科医院で、痛み軽減のための機器は導入されていると思いますが、当院の場合は、私が病理学を学ぶ上で「痛みとはなんだ」ということを研究してきたことが生かされていると思います。痛みとは何かがわかるからこそ、どうすれば痛みの軽減を図れるのかがわかります。器具の充実だけでは痛みに配慮しているとはいえないと思いますし、痛みの根本的な概念がわかっているからこそ、そこにアプローチできるのだと思います。また、初診の患者さんが歯の痛みを訴えていれば、なぜその歯が痛いのかがわからないと適切な治療ができません。痛みの原因を見極める、その診断力は病理診断を勉強し、病理学を研究したからこそできることだと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1初診受付をして問診表を記入
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問診では、歯科医院での診療はいつぶりなのか、3ヵ月ぶりなのか、何年も受診していないのかなどを確認。それによってもある程度の予測や推察ができるのだという。何年も歯科医院に足が向いていなかったということがわかれば、歯科診療への不安があったなどの理由も考えられるため、カウンセリングでしっかり話を聞く、丁寧に説明するなどの対応へとつなげていくそうだ。
- 2カウンセリング
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カウンセリングでは歯科医師が患者の話をしっかりと聞くことがメイン。そのため、患者ができるだけ緊張せず話しやすい雰囲気づくりを心がけているという。「歯科医療の基本は人対人」という本田院長の観点から、口腔内だけでなく、話し方や受け答えなど、人としての患者の姿をしっかり見て、患者を知る姿勢でカウンセリングに臨んでいるそうだ。治療への希望や疑問点、不安な点などがあれば、遠慮せず伝えよう。
- 3検査・診断
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初診で行う診査、検査は、視診や打診はもちろんのこと、口腔全体のエックス線撮影や写真撮影などがある。必要があれば3次元のCT撮影や部分的なエックス線撮影も行う。また、歯肉のポケットの深さや歯の揺れなどの状態の検査も行う。これらは、診療チェアのパソコンで患者と共有して確認するという。必要な治療部分や詳しい説明に活用される。
- 4治療
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検査データをもとに適切な診断を行った後、治療の内容や実際の流れなどの説明を歯科医師がしっかり行ってから治療を開始。治療中は、「痛かったり不安を感じたら手を上げてください」などと伝えるほか、さまざまな器具が口の中に入るときも、その状況に合わせて声かけをしているそう。患者目線での気配りや配慮をしているという。
- 5メンテナンスのため継続来院
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治療が終わったら、適切な時期にメンテナンスのため継続して来院しよう。口腔内には無数の細菌がいるが、これらは常在菌で人の体には常に存在している。常在菌そのものが悪いわけではなく、数が増えすぎることによって悪影響を与えるため、数のコントロールが重要なのだという。診断・評価に加えて、常在菌が増えすぎないようにコントロールすることは、定期的なメンテナンスの目的の一つである。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。