篠原 潤 院長の独自取材記事
じゅんあかちゃんこどもクリニック
(大阪市天王寺区/桃谷駅)
最終更新日:2025/01/14

天王寺区の五条通沿いのビルの2階にある「じゅんあかちゃんこどもクリニック」。大学病院で未熟児や新生児の診療に関わってきた篠原潤院長が開業したクリニックだ。その名に「あかちゃん」を掲げることからもわかるように、子どもだけでなく新生児はもちろん、早産児や基礎疾患のある子どもにも対応しており、小さな命のサポートをめざす。自身も2児の子育てに奮闘する篠原院長は「子育ては喜びと不安が共存するもの。私が親として感じていること、また医師としてたくさんの子どもたちから学んだもの、その両方を地域の皆さんに還元できれば」と朗らかに笑う。明るい院内も広い駐輪場も、すべては地域の親子のため。多くの想いが詰まったクリニックで開業に至った経緯や今後の展望など話を聞かせてもらった。
(取材日2024年12月20日)
病気と闘ってきたからこそできる診療をしたい
まずはクリニック開業までの経緯について聞かせてください。

大学卒業後は長年大学病院で未熟児や新生児の診療に携わってきました。一方、大学病院在籍中も大学病院の関連病院での診療に携わり、感染症や日々の困りごとを中心とした、お子さんによくある疾患の診療に携わりました。ただ、定期的な診察ではなかったため、自分が診療をしたお子さんに何かあったときに次も自分が診ることができない状況でした。日々充実しており、緊急対応など命を救うための現場に立ち会うことは素晴らしいと常日頃感じてはいたのですが、開業前は自分が処方した薬を飲んだ子がその後どんな経過をたどっていったのか詳しく知ることはほとんどありません。経験を重ねて、余裕が出てくるにつれて「その後、あの子はどうなったかな?」と気になることが増えていきました。そんなことを考えているうちに、長く一人の患者さんに携わることができるクリニックでの診療がしたいと思うようになり、その気持ちが募って今回開業に至りました。
小児科医を志したのはなぜですか?
父が小児科医だったこと、私自身が小児喘息で入退院を繰り返していたことが大きな理由だと思います。喘息発作を起こして苦しい時に父が処置をしてくれたこともあり、当時の大きな安心感を今でも覚えています。また入院していた病院でも、皆さんに本当に良くしていただきました。その頃の記憶が自分にとってはとても大きくて、「次は自分が誰かを助けられるようになりたい」と医師を志しました。小児科を選んだのは子どもが好きだったことと、自分が病気と闘ってきたからこそ病気の子やその家族の気持ちがわかると思ったからです。病弱だった私だからこそできる診療をこれからしていけたらと思います。
クリニックの特徴について聞かせてください。

先ほどお話ししたとおり、私は赤ちゃんの診療に長年携わってきましたので、生後数日しかたっていないような新生児の対応ができるのが特徴だと思います。多くの場合、出産した病院に新生児期の赤ちゃんの相談をされるかと思いますが、出産した病院が遠い場合には気軽に受診・相談することは難しいのではないかと思います。特に暑い・寒い、感染症がはやっているなどの時期には、新生児を連れて遠くまで出かけたくない方も多いのではないでしょうか。また、兄姉も連れての遠出は大変です。当院では、新生児特有の症状に対しても詳しく対応できますし、病院に比べれば受診のハードルも低いと思いますので、気軽に利用していただければと思います。
新生児や早産児、基礎疾患のある子どもの初期対応も
新生児の場合、どんなことを相談できるのですか?

生まれたばかりの赤ちゃんって小さくて愛おしくて、だからこそ心配なものだと思います。特にそれが初めてのお子さんならなおのことでしょう。例えば、小さな発疹一つだって気になると思います。そんな時、当院のことを思い出してもらえたらなと思います。便秘が気になる、ミルクを飲んでいない気がする、泣いてばかりいる、黄疸が強くなってきた、おへそがじゅくじゅくしている、鼻詰まりがひどいなど、どんなことだって大丈夫です。また、早産で生まれたお子さんや基礎疾患のあるお子さんの初期対応もたくさん経験してきました。新生児特有の症状も適切に対応して、必要に応じて専門機関とも連携しますので、安心して何でも相談してください。
赤ちゃん連れでも来院しやすいように、院内にも工夫がされていますね。
当院は2階にあり、階段を登らなくていいように専用のエレベーターを完備しています。院内はベビーカーでも移動できる十分なスペースを確保しました。授乳室もあり、トイレではおむつも変えられます。またクリニック内での感染は誰もが心配するところだと思いますので、発熱者など症状のある患者さん専用の待合室を2室備え、専用のトイレも準備しました。診察室も2部屋あり、動線も別に確保しています。また幼稚園・保育園帰りにも気軽に寄っていただけるように、自転車移動のママさん・パパさんがサッと自転車を止めて移動がしやすいよう駐輪場を広めに取っています。私も子育てをしていて実感するのですが、小さな子どもを連れて移動するのはとっても大変です。少しでもその負担を減らせたらなと思っています。
さまざまな工夫を凝らしているのですね。

血液検査の結果もすぐに出ますので診察時にすぐに説明ができ、インフルエンザやマイコプラズマ、溶連菌、アデノウイルスなどの感染症も高い精度で検出できるよう体制を整えているため早期に治療をスタートすることができます。また小さなお子さんの酸素量を体への負担に配慮して測るための装置もありますので、喘息などの呼吸器疾患の診断や経過観察も可能です。さらに、鼻水や痰を取り除くための吸引器、呼吸器疾患の治療に使用する吸入器も完備しています。当院には、助産師が在籍していますので、子育てや授乳に関する相談にも対応できます。里帰り出産から自宅に戻ってきたら、産院が遠くて不安という場合もあるかと思います。病気じゃない些細な相談でも大丈夫ですので、遠慮なく相談していただけたらと思います。
コミュニケーションを大切に健康と発育のサポートを
診療の際に心がけていることはありますか?

小児科はお子さんを診ると同時に連れてきてくれた親御さんとのコミュニケーションも重要になる診療科です。ですから、お子さんにも親御さんにも真摯に向き合うことを大切にしています。例えばお子さんに対しては、どんなに小さな赤ちゃんであっても、まずお名前を呼んで声をかけてから診察をさせてもらいます。また、診察室に入ってくる様子をよく観察し、病状の把握に努めています。そして、連れてきてくださった親御さんの言葉に耳を傾けること。小さな子どもたちは元気そうにしていても、後から急変することが珍しくありません。大変な毎日の中で連れてきてくれたのですから、病気の見逃しがないように、常に細部にまで目を配り、親御さんの心配にも寄り添うよう心がけています。
親御さんとのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
自分のつらさを上手に話せない小さな子にとって、親御さんの「何かおかしい」は命綱なのですよ。発熱もなく、咳もしていなかったとしても、親御さんが「いつもより元気がない」ということもあるかと思います。誰よりも長い時間一緒にいて、愛情を持って育てている人にしかわからない小さな信号は絶対にあります。だからこそ、ちょっとした異変でも気軽に相談してほしいですし、相談できるような関係を築いていきたいと思います。子どもたちは親の様子をよく見て感じ取っています。親が不安そうにしていたら、その不安は子どもたちにも伝染してしまう。それは赤ちゃんでも同じこと。子どもたちが安心して伸び伸び暮らせるよう、皆さんの子育てをサポートしていきたいです。
今後の展望や地域の方々にメッセージをお願いします。

地域の皆さんが、わが子の健康や発育のことで悩まないで済むようにサポートしていきたいと思っています。今は少子化の時代で、ご両親と離れて働きながら子育てしているご家庭も多いと思います。そう考えると、受診はなかなかのハードルだと思います。しかし、私たちはそのハードルをできるだけ低くしていきたい。そのための体制を、今後はますます整えていけたらと思っています。病気のことはもちろん、予防接種、乳幼児検診、発達に関する相談、アレルギーのこと、少し大きくなれば思春期のこと等、気になることがあれば何でも相談してもらえればうれしいです。また、クリニックのことに関しても「もう少しこうだったら便利だな」と感じることがあれば、ぜひ聞かせてください。