入院せずに低侵襲で行う
前立腺肥大症の日帰り手術
かとう前立腺クリニック東京
(中央区/神田駅)
最終更新日:2024/12/20


- 保険診療
尿の出にくさや頻尿、残尿感など、男性の排尿に関するトラブルの原因となる前立腺肥大症。加齢に伴って症状は現れやすくなるが、手術となると二の足を踏んでしまう人も多いだろう。しかし、前立腺肥大症は日帰りの手術で治療することが可能だという。「かとう前立腺クリニック東京」の加藤忍院長によれば、「前立腺肥大症の手術を日帰りで、それも低侵襲の手術方法で行える選択肢は多くなっています」という。実際に前立腺肥大症の手術にはどのような方法があり、どのようなステップを踏んで治療していくのだろうか。前立腺肥大症の手術を長年専門としてきた加藤院長に、前立腺肥大症の基本的な特徴や、手術方法の種類、術後に気をつけるべきことなど、具体的に話を聞いた。
(取材日2024年11月19日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q前立腺肥大症とはどのような病気ですか?
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A
男性の膀胱の下あたりにある、前立腺というクルミほどの大きさの臓器が、加齢とともに肥大する疾患です。前立腺の肥大により膀胱に負担がかかり、その結果、尿の出が悪くなる、頻尿になる、残尿感があるなどの症状が起きます。80歳くらいになるとほとんどの男性が肥大症になり、そのうち約4人に1人が排尿時の症状に悩まされているといわれています。頻尿で夜中に複数回起きてしまう、急激に我慢できないほどの尿意に襲われるなど、社会生活に支障が出る症状があれば、放置せずに泌尿器科への相談をお勧めします。
- Q前立腺肥大症の日帰り手術について教えてください。
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A
当院の日帰り手術で行う手術方法は、レーザー手術とMIST(ミニマルインベーシブサージカルセラフィー)です。レーザー手術では経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核手術(HoLEP)や、接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)、MISTでは経尿道的前立腺吊り上げ術(PUL)や、経尿道的水蒸気治療(WAVE)といった選択肢があります。いずれも従来の電気メス手術よりも傷が小規模な低侵襲で行えるので、患者さんの手術後の回復も早くなることが見込まれます。手術後には広いスペースをとったリカバリールームでしっかり休んでいただき、状態が安定してからご帰宅いただきます。
- Q手術後に気をつけるべきことはありますか?
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A
手術後の1ヵ月ほどは、ランニングや階段を駆け上がるなどの運動、熱い湯船に浸かることは避けたほうがいいでしょう。シャワーでの入浴は大丈夫です。この時期は、飲酒も同様に控えたほうが良いですね。また、性生活についても従前どおりに戻すのは術後1ヵ月ほどたってからが良いでしょう。このように、手術後一定の期間は気をつけるべきことがあることを頭に入れておいていただけると良いですね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1診察と検査
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前立腺肥大症の症状の程度などについて問診や検査を行う。国際前立腺症状スコアや過活動膀胱スコアを用いた問診票による評価、他の病気の既往歴や手術歴なども確認する。また、エコー検査で前立腺の形態などを確認するほか、尿流検査や残尿検査などを行い、手術が必要かどうかを精査する。
- 2手術の説明
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手術が必要となった場合は説明日に、どの手術方法が適しているのか詳しい説明を受け、手術方法を選択する。この際、手術後に血尿が出る期間の目安のほか、尿路感染症や尿道狭窄、膀胱頸部硬化症のリスク、また手術方法次第で生じる逆行性射精のリスクなど、術後に起こり得る症状の可能性についての説明もしっかりされる。
- 3手術
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手術当日は来院して15分ほどで手術室に入る。手術そのものの時間は、MIST手術で10~15分、レーザー手術では1時間~1時間半ほどだそうだ。手術後はリカバリールームで3~4時間ほど休息し、麻酔からの回復を待って、状態が安定したら帰宅となる。
- 4手術翌日の診察
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手術翌日の受診では、体調の確認のほか、血尿の程度などをチェック。また、カテーテルを抜去し、貧血の程度などを確認するための血液検査が行われる。
- 5定期通院で術後の経過を確認
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手術から1週間後に来院して、排尿の状態や血尿の程度などを確認する。その後、1ヵ月後、3ヵ月後と定期的に受診して経過を観察。目安として3ヵ月が経過すると症状の安定が期待できるため、この時期までの経過観察が特に大切だという。