森島 靖行 院長の独自取材記事
森島小児科 宇都宮
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2025/01/10

訪れた子どもが楽しい気持ちになるような内装が目を惹く「森島小児科 宇都宮」。1907年の開業以来、小児科の医師として代々地域の健康を守ってきた家系の4代目である森島靖行院長が開業した、子どもにも親にも優しい工夫が満載のクリニックだ。森島院長はユーモアにあふれた親しみやすい医師。ホームページに顔写真ではなく自身に似せて作ったブロックのおもちゃを載せ、遊び心でと笑う姿からもその人柄がうかがえる。そして患者も自然体で森島院長に接し、気軽に質問や相談をしているという。患者目線で真の受診しやすさを考え、都度医院づくりに反映している森島院長に、具体的な取り組みや小児科医師として注力したい分野、診療のやりがいなどについて聞いた。
(取材日2024年11月21日)
気持ちに余裕を持ち、安心して通える小児科をめざして
かわいらしい内装や、受診しやすそうな設備が魅力的ですね。

子どもたちがリラックスして過ごせるよう、内装は苗字の「森島」にちなんで森をイメージしました。診察室はベビーカーのまま入れるバリアフリー設計で、床材も傷つきにくい素材を使用しています。お子さんの転倒時のリスクを考え、上げ床にすることで衝撃吸収できるよう工夫しました。当院では、医療モール内の医院と共同の駐車場をご用意していますので、最大30台分の車を停められます。運転初心者の方にとってもゆとりあるスペースが確保されていますので乗り降りしやすく、ご来院からご帰宅までのストレスは比較的少ないでしょう。また感染症対策として24時間換気システムを導入しているほか、院内を感染症ゾーンと非感染症ゾーンに二分し、待合室と診察室をそれぞれ設けています。また、処置室を広めにしているのは、新型コロナウイルス感染症のまん延時、動線を臨機応変に変更するための空間が必要だと感じたので、広々としたスペースを整えました。
親御さんの受診しやすさも大切にされているそうですね。
お子さんが朝に急に熱を出すと、親御さんは職場や園に連絡して、クリニックを探してと本当に大変です。そうした負担をなるべく減らすこともコンセプトの一つに掲げ、当院では医療DXを推進しています。一例として、24時間アクセス可能な予約システムを導入し、時間帯予約の枠を事前分・当日分でそれぞれ設けています。さらに、お子さんを抱っこしながら院内で問診票を書くのも一苦労だろうと思い、問診も事前にウェブ上で済ませられるようにしました。すべての項目を埋めなくても構いませんし、内容も自由記載。親御さんの時間とお人柄によって幅を持たせた問診になっていますので、10行くらいしっかり書いても、「いつから咳がある」程度でも、「後で話します」でも大丈夫です。
親御さんに寄り添った医院づくりを考えられたきっかけは?

勤務医時代に「かかりやすい」とは何かをずっと考え続けていたからかもしれませんね。先ほどお話しした予約一つとっても、順番予約だといつ診てもらえるかわからず、親御さんが時間を持て余してしまう可能性があります。当日の予約枠も、設けていないと突発的な不調で受診したい患者さんに十分な対応ができません。これまで多くの患者さんの声に耳を傾け、もっとこうしたほうが良いと感じたことを書きとめ、上司や同僚の先生方にも細かなアドバイスをいただいたものが今日の当院の運営につながっています。毎日大変な中で頑張っている親御さんと一緒に子育てをするような気持ちで、私も日々目の前の診察に取り組んでいます。
保護者の立場に立ち「かかりやすさ」を追求
診療内容について教えてください。

当院は新生児をはじめ幅広い年齢のお子さんに対応できるクリニックであり、小児科診療全般を受けつけています。その中で注力しているのは、乳幼児健診と予防接種。私は勤務医時代に染色体疾患などの遺伝性疾患の診療を専門としてきましたので、知識と経験に基づいた健診を行えると考えています。大人の健康診断と違い、生まれつきの病気を発見するのが乳幼児健診の本来の目的です。親御さんがお子さんの体をより早く理解し、今後の医療につなげるためにも、専門家としてお手伝いしたいですね。あと、私は開業するまでの約10年間、父の医院で診療を行ってきました。その最中に新型コロナウイルス感染症の流行期に突入し、あれこれと思案しながら対応してきた当時のノウハウをもとに風邪の外来にも取り組んでいます。
現在も風邪の外来に注力しているのはなぜですか?
新型コロナウイルス感染症が流行した際、患者さんが車の中にいる状態で診察を行うなど、イレギュラーな対応が当たり前でした。そして現在も、このような診療スタイルを続けざるを得ない医院も少なくありません。同時に「熱がなければ感染症ではない」という風潮ができてしまったようにも個人的に感じ、ある種の危機感を覚えています。だからこそ今回の感染症流行から学びや気づきを当院の診療に落とし込み、本来の形で風邪をしっかり診たいと考えています。当院では新型コロナウイルス感染症やインフルエンザでないものを「ただの風邪」と一括りにせず、丁寧な検査と診察を行い、風邪の種類や今後どのように悪化する可能性があるかなどを意識しながら診断しています。医院の造りも受診時の安全性を考慮していますので、お子さんの体調が悪い時はぜひ頼っていただきたいと思います。
スタッフさんのお人柄やご経験も伺います。

当院には、小児科病棟やNICUの勤務経験者に加え、ICUや保育士経験がある看護師が在籍しています。受付も経験のあるスタッフなので、医療DXや電話への対応も申し分ありません。忙しさでつい笑顔を忘れてしまいそうになる場面でも、全員が笑顔を絶やさず仕事にあたってくれていてありがたいですね。なおかつ、待合室でのお子さんの様子や診察室の混み具合など、あらゆる状況を踏まえてフレキシブルに動いてくれるところも自慢ですね。これはスタッフたちの主体者意識が高く、トラブルが起きた時にはきちんと振り返り、「こうすればもっとスピーディーに対応できる」など常にチームワークのために改善策を模索してきたたまものでしょう。
何でも話せる医師として末永く地域に貢献したい
フレンドリーな先生ですが、親御さんやお子さんとはどのように接されているのですか?

遠慮せず質問できる雰囲気づくりは大切にしていますが、どうやら皆さん自分には話しやすいようで、特に何か意識せずともよく相談に来てくださいます。ある程度長く通っていても医師に対して躊躇してしまう親御さんも多いと聞きますが、当院の患者さんはまったくそんなことはなく、むしろ反論だって日常茶飯事(笑)。本当にありがたいことです。お子さんに対して心がけているのは、目を見ることのみですね。そもそも患者さんは子どもであり、変に子ども扱いすることもないというスタンスです。ただお子さんに不快な思いをさせたり、医療機関嫌いになってほしくない気持ちは強く、しっかりコミュニケーションを取る中で信頼関係を構築したいと考えています。
小児科の大変さや、やりがいはどんなところにありますか?
小さい子は自分で症状などを表現できませんので、全身をじっくり診察して情報を得なければならない点が大変なところですね。さらに会話ができる年齢の子でも、痛い場所などを正確に言えないケースが多く、いずれも適切な診断のために丁寧な診察は不可欠です。やりがいは、やはり患者さんと非常に長くお付き合いできる点に尽きます。100年以上続く小児科の4代目ともなると、昔の患者さんがご高齢になっていたりするんです。世代をまたいで診療を担当できるのは小児科ならではの醍醐味だと思いますし、一家の健康を守り、未来につなげることが地域貢献にも結びつくと信じています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんの満足度をさらに向上させるべく、今後も予約システムなどをアップデートしながら「かかりやすい医院」として当院を成長させたいと考えています。将来的にはお子さんだけでなく親御さんも診たいと考え、準備を進めていますので今しばらくお待ちください。そして当院では、どんな症状やお悩みも受け入れています。診療範囲も幅広く、乳幼児健診や予防接種のほかにアレルギーの診察も可能です。お子さんはアレルギーのような症状が出る場合が多く、インターネットで調べると有象無象の情報に不安なことも出てくると思いますので、ぜひ直接来ていただきたいですね。「こんなことで受診してもいいのだろうか」と思わずに、何かあれば気軽にお越しください。