眞柴 寿枝 院長の独自取材記事
眞柴消化器内科クリニック
(松山市/久米駅)
最終更新日:2024/11/01

「眞柴消化器内科クリニック」は、松山赤十字病院の胆膵内科部長として多くの患者を診てきた眞柴寿枝先生が、2024年11月1日に開業する。消化器内科を専門とするクリニックとして、内科の一般的な診療に加え、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、胆嚢などの消化器全般の診療に対応する。大学や大学院では肝臓を専門とし、特にC型肝炎の治療や研究に取り組んできた眞柴院長は、消化器分野のスペシャリストとして培った専門知識と経験を生かした診療を提供していきたいという。「関わるすべての人が笑顔になれる場所にしたい」という思いが詰まった院内には、白と木目を基調とした明るく開放的な空間が広がる。地域の基幹病院とも連携しつつ、気軽に訪れられるクリニックにしていきたいという眞柴院長に、開業を決めた経緯や同院の特徴を聞いた。
(取材日2024年10月11日)
関わる人みんなが笑顔になれる場所を
今回、どのような経緯で開業を決められたのでしょうか?

40代の10年間、松山赤十字病院の胆肝膵内科で働いたのですが、やはり基幹病院には基幹病院としての役割があるため、外来でゆっくり一人ひとりとお話しするというのがかないにくい環境なんです。病院としては「体調に違和感があるとき気軽に相談できる場所を」ということで基本的には患者さんそれぞれが地域のクリニックでかかりつけ医を持つことを推奨しているのですが、残りの医師人生を考えたとき、かかりつけ医として地域の方々と医療機関をつなぐ窓口的な役割を私も担いたいと思ったのが開業の理由です。勤務先の先生たちを中心にさまざまな方に相談し、2年ほどの期間を経てついにこの場所で開業させていただくことになりました。院内の動線など細かい部分にもこれまでの勤務経験を生かせていると思います。
内装のコンセプトや設備について教えてください。
内装のコンセプトは「明るく開放的な空間」です。建物に入ったとき、患者さんも明るい気持ちになれたら良いなという思いから、特に待合スペースには大きな窓をたくさん配置し、天井も高くして可能な限り開放的な空間に見えるよう設計していただきました。ホームページに掲載している写真を見た方に「ちょっと行ってみようかな」くらいの軽い気持ちで来ていただけるような建物になったのではないかと思います。お支払いについても可能な限りストレスフリーにしたいと思い、現金はもちろん各種クレジットカード、電子マネー、バーコード決済などのキャッシュレス決済にも対応できるようにしています。設備については、内視鏡検査やエックス線、腹部エコーなど基本的な内科の検査と消化器の検査はできるよう一通りそろえています。
ロゴマークもスタイリッシュでおしゃれですね。

はい、ロゴマークもとても気に入っているんですよ。建物の見た目もそうですが、家とは違い病院やクリニックはそれなりに無機質さのある存在なので、やわらかさや温かさだけではないスタイリッシュな要素も入れたかったんです。ロゴに関しては、何度か目にしたら覚えていただけるようなシンプルさも大事にしました。あとは外観や内装のイメージにも合うようなものでお願いしますということで、デザイナーさんが頑張ってくださいました。実はロゴの形は当院の頭文字の「M」の形になっているんですよ。
患者一人ひとりとのコミュニケーションを大切に
先生が医師を志したきっかけを教えてください。

3歳くらいの時に入退院を繰り返していた時期があったのですが、その頃からずっと医師になりたいと思っていました。当時の私の周りには、女の子で「医師になりたい」と言っている子が他にいなかったこともあり、周りから笑われた時期もありましたが、医師になりたい気持ちはまったく変わらなかったですね。大学・大学院では肝臓を専攻し、免疫治療について研究しました。当時はC型肝炎の治療法が確立されていなかったこともあり肝臓関連の患者さんが多かったこと、そして研究者は多い一方で、その専門知識を一般社会で患者さんに提供している医師が少ないと感じたことも、肝臓を専攻しようと思った理由として大きいです。
印象深い患者さんとのエピソードをお聞かせください。
印象深い患者さんはたくさんいますが、やはり一番最初に接した患者さんのことは強く印象に残っていますね。その方はとても重症の患者さんだったのですが、年齢は当時研修医だった私と同じくらいでした。患者さんの気分が落ち込んでいるときは励ましたり、逆に私がつらいときは気遣ってくれたりなど……患者さんの病状が悪く入院期間も長かったこともあり、毎日会いに行っていろんな話をしていたんです。医師としてのキャリアを積む上で、初めの頃に、慢性的な病気のある若い患者さんに出会ったことで、患者さんとのコミュニケーションを学んだように思います。長く医師をやっていると「私、お姉さんも先生に診てもらったんですよ」と話してくださる患者さんもいたりして、狭い地域だからということもあると思いますが、覚えてもらっているんだなと感じ、うれしくなります。
お忙しい毎日だと思いますがリフレッシュ法はありますか?

最近は開業の準備に明け暮れていたのですが、家に犬と猫がいるので毎日その子たちに癒やされています。犬と猫が2匹ずついるのですが、猫は構われすぎると嫌なようであまり遊んではくれませんね……。犬は2匹とも常に遊んでモードなので、それはそれで大変なのですが日々癒やしをもらっています。あとはSNSサイトで昔の映像を見たりもしています。一度見始めると止まらなくなるほど面白いです。胆管膵内科の分野は私と同世代の患者さんも多いので、思わぬ拍子に「あの頃の懐かしい話」となり、盛り上がることもあるんですよね。
きちんと健診を受けることで肝臓をケアしてほしい
診療ではどのようなことを心がけていきたいですか?

患者さんに快適に受診していただくこと、というのはもちろんなのですが、私も含めスタッフみんなが楽しく仕事ができる環境にすることも大事にしたいですね。お取り引きのある業者さんも含め、「あそこに行くのが楽しみだ」と思ってもらえたら良いなと考えています。患者さんは体に何らかの不安を抱えて来院されると思うので、100%楽しい気持ちでというわけにはいかないと思いますが、診察室から私と患者さんの笑い声が漏れ出てくるくらいにはしたいですね。
今後、どのようなクリニックにしていきたいですか?
まずは、風邪などのよくある急性疾患や、生活習慣病などの慢性疾患まで、地域の皆さんのかかりつけ医として日常的に来ていただけるようなクリニックにしていきたいと考えています。また「消化器内科クリニック」ということで、おなかの痛みや胸焼け、下痢など体に違和感があったり、健康診断で異常を指摘されたりした方にもまずは来ていただいて相談できる場所になれたらと思っています。中でも肝臓については、ウイルス性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝疾患など、これまでに培った専門知識や経験を生かして診療させていただきますので「肝臓のことで悩んでいるけれどどこに行けばいいかわからない」という場合も早めにご相談いただけるとうれしいです。またどんな疾患であっても、診察や検査をした上でさらに詳しく調べる必要がある場合は、責任を持って専門機関にご紹介させていただきます。
読者の皆さんにメッセージをお願いします。

私が研修医だった頃と比較すると、肝臓に関する研究や治療も格段と進化しており、C型肝炎の場合は抗ウイルス薬などの適切な治療を受けることによって完治もめざせるとされています。「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓ですが、不調を放っておくと肝硬変や肝がんを発症するリスクが高まることにつながりますし、体の状態が気になっている方が早い段階で相談できる場所として当院が機能できればと考えています。「ちゃんと健診を受けることこそが肝臓のケアにつながる」、略して「ちゃん・けん・かん」ということで、健診結果などで気になる箇所が見つかった際には、このフレーズを思い出して早めにご相談ください。もちろん風邪で熱が出たときなど一般内科としての受診でもお気軽にご来院ください。皆さんが笑顔になれる空間を用意してお待ちしています。