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本 将昂 院長の独自取材記事

よりそうこころの在宅クリニック

(尼崎市/園田駅)

最終更新日:2026/03/24

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック main

阪急神戸本線・園田駅南口から徒歩10分の「よりそうこころの在宅クリニック」。精神科および内科を標榜する同院の特徴は、訪問診療に注力している点。心身のさまざまな悩みを抱え通院が困難な患者のもとへ医師自ら出向き、世代を問わず幅広く医療を届けている。院長の本将昂(もと・まさたか)先生は京都大学を卒業後、各地の病院やクリニックで研鑽を積み、同院を開業。患者本人だけでなく家族の介護負担にも目を配り、双方が無理なく過ごせる着地点を一緒に探す姿勢を大切にしている。あえて私服で診察に臨むそのたたずまいも押しつけがましさがなく、患者に寄り添う誠実さが伝わってくる。今回は同院が特に力を入れる在宅精神医療にかける思いや今後の展望を聞いた。

(取材日2026年2月27日)

「必ず良くする」覚悟で、精神科の訪問診療の道へ

医師を志されたきっかけを教えてください。

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック1

父が大阪市淀川区で心療内科クリニックを運営しておりまして、幼い頃からその背中を見て育ちました。家庭環境に加え、周囲にも医学の道を志す仲間が多かったこともあり、ごく自然な流れで医師をめざすようになりました。ただ、最初から精神科を専門にしようと決めていたわけではないんです。初期研修では消化器内科や外科にものめり込み、月日を忘れるほど夢中になった時期もありましたね。けれど、ふと振り返った時「このまま走り続けて良いのだろうか」という思いが湧いてきまして。ちょうどそのタイミングで精神科を専門的に学ぶようになり、患者さんの心に深く向き合う面白さに引き込まれました。あの時期に一度立ち止まったことが、今の自分の出発点になっています。

精神科医としての原点となったご経験について詳しくお聞かせください。

「大阪赤十字病院」で研修生として過ごした日々が、私にとっての原点です。当時の部長には今も師事しておりまして、その先生からいただいた言葉で深く心に残っているものがあります。「患者さんに『絶対良くなるよ』とは言えない。けれど『必ず良くする』という覚悟の姿勢は相手に伝わる。だからそれを常に持ち続けなさい」と。安易な約束はしない、けれど覚悟は揺るがない。この教えは今も診療にあたる時には胸に置いています。もう一つ大きかったのが、司法精神医学との出合いです。精神疾患のある方の判断能力を鑑定する場に同席する分野なのですが、善悪の判断基準や衝動性をどう見極めるかという考え方を学びました。これらの経験が、日々の診療を支える大きな土台になっています。

クリニックを立ち上げられた背景にはどのような思いがありましたか?

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック2

訪問診療を行うクリニックは数多くありますが、精神科に注力している所は少ないのが現状です。そのため、精神科の外来では「ご本人を一度連れてきてください」とお伝えするしかない場面が少なくありません。でも、連れてこられないからこそ、ご家族は相談に来ているわけですよね。どこに頼れば良いかわからないまま孤立しているケースが、実はたくさん存在しているんです。警察や救急でも対応が難しく、医療につながれない方が構造的に生まれてしまう……。そうした方々に医療を届けるには、こちらから出向くしかありません。一人ひとりにしっかり向き合いたいという思いも重なり、精神科の訪問診療クリニックというかたちでの開業を決めました。

本人も家族も安心できる着地点を探して

こちらでは、どのような患者さんを診ていますか?

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック3

多いのは認知症の高齢者の方です。一人暮らしで金銭管理が難しくなっているケースや、成年後見人の手続きが必要な方もいらっしゃいます。引きこもりのお子さんをどうやってサポートすれば良いのかわからないというご家族からの相談も多いですね。統合失調症やうつ病で通院が難しく、ご自宅で過ごされている方に継続的に医療を届けることも当院の大きな役割です。年齢は10歳以下のお子さんから90代の方まで幅広く、個人のお宅を中心に訪問しています。尼崎市のほか伊丹市や豊中市、吹田市からも市役所を通じてご依頼をいただいていますし、オンラインでのご相談も受けつけています。

そうした方々の診療にあたり、心がけていることはありますか?

まず、言葉の使い方にはとても気を配っています。同じ内容を伝えるにしても、表現一つで受け取り方は大きく変わりますから。それと、私は普段から私服で診察しています。ご自宅というリラックスした環境で、緊張感やプレッシャーを与えずに話を聞けるのは訪問診療ならではの利点です。もう一つ大切にしているのは、ご本人だけでなくご家族の声にもしっかり耳を傾けることです。例えば症状を和らげるために薬を増やせば、介護するご家族の負担が増えてしまうこともあります。そういうときは「本人も楽で、家族も楽な着地点」を一緒に探すようにしています。訪問看護師や訪問介護士などの多職種とも連携しながら、どこをめざすのがベストかを相談して進めていきます。

日々の診療を支えるチーム体制について教えてください。

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック4

当院には看護師と心理士のみが在籍していて、いわゆる医療事務の専任スタッフはおりません。最初の電話対応から医療の知識を持つスタッフが応じますので、患者さんの安心感につながればと思います。また、私が精神科、本隆央副院長が内科を専門としており、精神疾患だけでなく生活習慣病などの内科的な診療もクリニック内で連携できる体制です。私の父が運営する心療内科クリニックとも連携しています。なお、訪問診療は費用が高いのではとご心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、自立支援医療制度を活用することで自己負担が軽減される場合もありますので、お気軽にご相談いただければと思います。

治療のその先へ、社会復帰の「目的地」をつくる

他に取り組んでいることはありますか?

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック5

病気が良くなることと社会に復帰できることには、実は大きな差があります。症状が落ち着いた方に「散歩してみましょう」と提案しても、目的がなければなかなか続きません。それは病気でない方でも同じだと思います。だったら、目的地を自分がつくろうと考えています。まずは、顔なじみのスタッフがいる場所に「通う」こと自体を一つの訓練にしていただければと思っています。パニック障害で交通機関が使えない方など、さまざまな患者さんが将来的に自立できるよう、看護師や心理士も新たに配置してサポートしていきたいです。

今後、力を入れていきたいことについてお聞かせください。

精神科に特化した訪問診療というものを、もっと広く知っていただきたいという思いがあります。同じ志を持つ先生が各地に増えていけば、それぞれの地域にとって大きなプラスになるはずです。治療で症状の改善をめざすだけでなく、その先の社会復帰につなげるための福祉的な取り組みにもさらに力を注いでいきたいと考えています。そのためにも、多忙な日々の中でも体力と気力は大切にしていて、私自身の生活に週2回のパーソナルトレーニングを取り入れるようにしました。リラックスする時間も大切にしていて、仕事を終えた後に少し良いワインを飲みながら家でゆっくり過ごす時間が、今の一番の息抜きです。心身を整えながら、患者さん一人ひとりとしっかり向き合い続けられる医師でありたいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

本将昂院長 よりそうこころの在宅クリニック6

精神科の訪問診療という選択肢自体を知らないまま、ご本人もご家族もお一人で悩み続けているケースは決して少なくありません。なかなか医療にかかれずに困っているという方は、どうかまず一度ご相談いただけたらと思います。訪問できる範囲であれば、私たちはできる限り力になりたいと考えています。最初の一歩を踏み出すのは勇気がいることかもしれませんが、その一歩が暮らしを変えるきっかけになればという想いで診療にあたっています。ご本人でもご家族でも構いませんので、一人で抱え込まずに気軽にご相談ください。