酒井 雄規 院長の独自取材記事
サカイ歯科クリニック
(丹羽郡大口町/柏森駅)
最終更新日:2024/12/24

柏森駅から車で約5分。3階建ての黒っぽいタイル張りの建物の1階にあるのが「サカイ歯科クリニック」だ。院長の酒井雄規(さかい・ゆうき)先生は丹羽郡大口町出身。「地元の方たちがお口のことで困らないようにサポートしたい」という思いを持って、2024年に開業した。歯を失う原因の大部分を占める歯周病の治療と予防歯科に注力し、「不自由なく噛めること」をゴールにして治療に臨む。酒井院長は複数の選択肢から患者自身が治療法を選択するインフォームドチョイスを重視。患者の希望を聞いて、一緒に適切で納得できる治療を選んでいくスタイルだ。一つ一つの質問に丁寧に受け答えする酒井院長に、めざすクリニック像や注力している治療など幅広く聞いた。
(取材日2024年10月11日)
地元の口腔の健康をずっと守れる歯科医院をめざす
なぜこのエリアでご開業されたのですか?

私はこの大口町出身で、高校生までこの町で過ごしました。この辺りは名古屋駅から電車で20分程度なので、ベッドタウンとして若いご夫婦が増えているエリアです。もともと父が整骨院を営んでいた建物を改装して、歯科医院にしました。鉄筋コンクリートの建物なので作り替えるのは大変でしたが、どうしても作りたかった歯周病コンサルティング用の個室もなんとか作ることができました。歯周病治療に注力しているので、治療のモチベーションを保ち、途中での離脱を防ぐためにも患者さんとゆっくりお話しできる部屋が欲しかったんですよ。
地元でご開業するに至った経緯をお聞かせください。
勤務医時代をずっと過ごした関東地方や人口の多い名古屋市内で開業することも考えたのですが、「デンタルIQが高い関東の歯科医療を地元で実践したら、患者さんに喜んでもらえるのではないか」ということに興味がありました。生まれ育った大口町に貢献できればとも思っていたので、こちらで開業することにしたんです。まだ開業して間もないのでどうなるのかはわかりませんが、デンタルIQが進んだ関東で学んだ歯科医療を地域に貢献していきたいですね。そのため、今回採用したスタッフにも歯周病検査に関しては、外部の先生を招いてしっかりとレクチャーしました。当クリニックは歯周病治療に注力しているのですが、検査方法が全員同じでないと結果がバラバラになってしまいます。歯周病治療において、検査方法を統一するのはとても重要です。これからもスタッフのスキルアップのためにセミナーや院内実習でも良いので、何かしら行っていきたいですね。
これからどんな歯科医院をめざされていますか?

当クリニックでは、患者さんが治療方法を自己決定できることをとても大事にしています。例えば、歯を失った時の治療法が入れ歯しかなかったら、患者さんの選択肢は1つしかありません。それで仕方なく入れ歯を選んだとしても、きっと患者さんは満足しないでしょう。そのため、当クリニックではこちらからインプラント治療やブリッジなどの選択肢もあるとお伝えして、その上で選んでいただくようにしています。あとは地元で開業したので、この地域の方が生活する上でお口の中で困らないようになるのを一番に望んでいます。この地域の方が年齢を重ねても、不自由なく噛めるサポートができる歯科医院でありたいですね。
染め出しと検査結果を毎回フィードバックし次に生かす
クリニックに特徴はありますか?

特徴は歯周病治療に注力していて、検査もかなり詳しく行うことです。検査結果をもとに口腔内の状態を説明し、カウンセリングを行って、治療方針を決めてからようやく治療に入っていく流れです。実際、緊急性が高くない場合は最初から治療しないことが多く、初診では検査と説明をさせていただきます。長いと初診から3回くらい説明やカウンセリングで終わる方もいるくらい丁寧に行うのが特徴です。他には、すべてのチェアに文字が書けるガラスの板が設置しています。そこにイラストや言葉を書いて、患者さんに説明するようにしています。事前に用意した画像を使うと、話す内容が同じになってしまいますが、イラストを描いている時間に患者さんとお話しできますし、患者さんもその間にいろいろ考えられるのではないでしょうか。
注力している歯周病治療と予防歯科について教えてください。
やはり歯科医師になったからには歯を残したいという意思があります。歯周病は歯を失う原因の大部分を占めるので、治療に注力しています。歯周病があると、かぶせ物やインプラントなど良いものを入れても長持ちしないので、歯周病自体が悪だと考えているのです。そして歯周病治療で欠かせないのが、自宅でのセルフケアです。予防歯科においても大切なので、当クリニックでは、磨き残しの染め出しを毎回実施します。通院のたびに行うことで、その患者さんの歯磨きが苦手な箇所がわかるので、併せて歯磨き指導も行っています。患者さんには毎回検査の結果を取ってお配りしているので、歯周ポケットの数値が下がっていくのをゲーム感覚で楽しんでいただけたらなと思います。歯周病治療では患者さんのモチベーションをキープするのが難しいのですが、毎回染め出しと検査を行いながら、患者さんと二人三脚で治療しています。
患者さんと接する時は、どんなことを大切にされていますか?

「患者さんが今、何を必要としてるんだろう」というのは、診察中に深く考えています。表情を注意深く見ていると、私が今言ったことに納得していないな、なんてこともわかるんですよ。患者さんと接する時は、その人がどう感じているのかを考えて希望をくみ取りながら、治療計画の提案を行っています。結局、歯科治療は「不自由なく噛める」ことが最終的なゴールです。登山に例えると頂上までさまざまなルートがあるので、どこから登っていくか。山頂まで登れない方は、どこまで登るのかを考えながらお話しします。また、最初に治療方針をすべて決めずに、患者さんの希望を聞きながら治療計画に取り込んでいきます。最初にすべてを決めてしまうと、途中でルートを変えられなくなってしまうので、「不自由なく噛める」というゴールまで患者さんと一緒に歩んでいくのが私の理想の治療です。
「不自由なく噛める」をゴールに設定し患者と歩む
歯科医師の仕事のどんなところに魅力ややりがいを感じますか?

患者さんに「ありがとう」「食事が楽しい」と、言われることに喜びを感じます。やりがいは歯科治療が簡単ではないところでしょうか。昔は自分の頭の中で思い描いた理想の治療を患者さんに提供できたら、満足してもらえると思っていたのですが、実際はそれではうまくいきません。自分が適切だと思う治療を提供するのではなく、患者さんの希望に沿ったより良い治療を施して、患者さんに満足してもらいながらゴールをめざすのは難しいと今でも思います。
勤務医時代にはどのような経験をされてきたのでしょうか?
研修医の時に歯周病に興味を持ったので、研修後は働きながら歯周病について専門的に学べる神奈川県のクリニックで勤務しました。その後は、インプラント治療や矯正歯科の勉強をしたいと思い、他の歯科医院でも経験を積みました。開業前に勤めていた歯科医院では、インプラント治療や歯列矯正を教えてもらっただけでなく、歯科医師としての考え方も身につけられ、良い経験になったと思っています。私の患者さんの希望をしっかりと聞くスタイルは、前の歯科医院で働いたからこそできあがったものなのです。広く学びたいと思って積んできた経験が、結果として開業した今に生かされていると感じています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

当院が注力している歯周病は、昨今成人の80%以上がかかっているともいわれています。定期検診で通われている方も、一度歯周病の検査をしてご自身の口腔内の状態を把握してみてください。もちろん歯周病でなければ、今までどおり定期検診に通えば良いのですし、歯周病だった場合には適切な治療を行えば改善が見込めることも多々あります。また、私たちは「歯を残すこと」を使命としていますが、「不自由なく噛めること」がゴールだと思っています。例えば、もうグラグラで抜くしかない歯を無理やり残しても、きちんと噛めません。私も「このグラグラの歯を残したいです」と言われても、「頑張って残しましょう」とはやはりお答えできません。そういった場合は、他のもので補う方向で話をさせてもらいます。幅広い治療の選択肢の中から、より良い治療方法を一緒に考えていきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万8000円以上 マウスピース型装置を用いた矯正/55万円以上 セラミック治療/4万9000円以上
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。