「痛くない、怖くない」をめざす
鎮静剤を用いた大腸内視鏡検査
ひろしま内視鏡内科クリニック
(広島市南区/広島駅)
最終更新日:2025/02/21
- 保険診療
大腸内視鏡検査と聞いて多くの人が抱くのが「痛い」「怖い」といったイメージだ。検査が大腸がんの早期発見につながることはわかっていても、「内視鏡検査は恥ずかしいから」と、受診をためらう人が多い。「ひろしま内視鏡内科クリニック」では、できるだけ患者の負担の少ない検査をめざし、さまざまな工夫を凝らしている。下剤服用後にはトイレつき個室で過ごすことができ、鎮静剤を使って検査を受けることが可能だ。検査着もガウンのような厚めの素材で丈も長めにすることで女性に配慮。畑幸作院長は、「痛くない、怖くない検査をめざし、患者さんに『また受けたい』と思ってもらえたらうれしいです」と話す。定期的な大腸内視鏡検査を推進する畑院長に、検査前後の説明の心がけや患者に配慮した設備について聞いた。
(取材日2025年1月21日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査はどのような人が受けるべきでしょうか?
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A
おなかに不調がある方や、健康診断で精密検査を勧められた方に受けてほしいです。自覚症状としては、血便がある方はもちろんですが、普段から下痢や便秘など、おなかに気になる症状がある方が対象となります。検査の最大の目的は、大腸がんの早期発見ですから、検査の結果、何もなければそれでいいのです。「ただの便秘だから大丈夫」と安易に自己判断せず、気になる症状や少しでも不安がある方はまずは受診してみてください。腸の中は体の外からは見えないので、私たちドクターでも検査してみないとわかりません。小さなポリープを放っておくと大腸がんになる恐れがあるので、初期のうちに見つけて切除することが大切です。
- Q大腸内視鏡検査は苦しいイメージがあります。実際はどうですか?
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A
そうですね。実際には患者さんのおなかの手術歴の有無などによって個人差があります。もちろん検査を担当するドクターの技量によっても苦痛の程度は変わってきますし、皆が皆、必ずしも苦しい思いをするわけではありません。なお、当院では鎮静剤を使用しており、眠ったような状態で検査を受けることが可能です。特に大腸内視鏡検査が初めての患者さんは不安に感じると思いますが、検査を受けてもらうには、検査の苦しいイメージを払拭することが大切です。あとは検査前に飲む下剤に苦手意識のある方が多いですが、最近はかなり飲みやすくなってきています。検査のハードルも下がっているので、過度に心配せずにまずは相談してほしいですね。
- Q検査にはどのくらいの時間がかかりますか?
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A
検査当日は、全体の所要時間として半日程度を想定しておいてください。内訳としては、下剤を服用してから腸の中が完全に空っぽになるまでに3〜4時間かかります。検査自体はポリープがあっても30分程度で終了します。検査で鎮静剤を使用した場合は、意識がはっきりするまで15〜30分程度リカバリールームで過ごしていただきます。その後、検査結果をご説明する流れです。半日で済む検査ですので、多忙な社会人の方でも気軽に受けていただけると思います。検査時間の長短は、患者さんによって多少異なりますが、目安は半日程度です。検査後の休憩は個室を用意していますから、ほかの患者さんを気にせずリラックスしてもらえると思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と事前説明で検査への不安を丁寧に取り除く
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問診は、診察室で自覚症状や検査希望の有無を確認するところからスタート。腹部の不調のほか、大腸内視鏡検査や下剤服用の経験についても詳しくヒアリングしていく。検査に必要な情報や患者の希望を確認しながら、医師が検査の必要性を判断。検査に不安を抱く患者には、検査の意義やがんの早期発見の大切さを伝え、判断の材料を提供する。大腸内視鏡検査は後日実施のため、問診時には下剤の飲み方や検査当日の流れを丁寧に説明。
- 2下剤の服用は自宅か院内かを選択
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検査当日には腸内を空にして検査に臨むため下剤を服用する。自宅で服用するか院内で服用するかは患者が選べる。自宅の場合は事前説明時に渡された下剤を服用し、腸内を空にした後に来院。院内で服用の場合は、朝9時半に来院しトイレ付きの個室で検査まで待機する。待機中はタブレット型端末が貸し出される。検査前日から下剤の服用を指示するクリニックもあるが、同院では患者の負担軽減をめざし、服用を検査当日のみとしている。
- 3ズボンタイプの検査着に着替えたら検査開始
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上下セパレートの検査着は、女性に配慮して厚めの素材でズボンも長めにしているという。着替えた後は人によって塗り薬の鎮静剤を使用し、いよいよ検査開始だ。内視鏡を慎重に挿入し、ポリープの有無など確認。ポリープに特殊な光を当てることで表面の構造を観察し内視鏡使用適用の判断を行い、適用の場合はその場で切除する。自覚症状で血便があれば、その原因が痔なのか、大腸がんなのかを特定する上でも内視鏡検査は有用だ。
- 4検査後の休憩はリカバリールームで
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検査後は無理に起こされることなく、検査台のままリカバリールームへ移動する。リカバリーチェアはカーテンで仕切れるようになっており、ほかの患者を気にすることなく休める。鎮静剤が切れるまで、個人差はあるが15分程度の休憩が必要だ。ふらつきが残っていないかどうかを看護師が確認し、必要があれば休憩時間を延長して対応。休憩が終わると、私服に着替え、最後に検査の結果の説明を受けるため診察室へと移動する。
- 5画像を見ながら検査結果の説明を受ける
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結果報告では患者の納得感を大切にしているという畑院長。ポリープが見つかった場合は、その画像を見ながら、位置や大きさ、良性と悪性いずれの可能性があるのかなど詳しく説明。今後の経過観察や追加検査の必要性も伝え、重要なポイントは、患者が家に持ち帰って確認できるようレポートにまとめている。提携する総合病院で治療が必要となる場合は、丁寧な説明と観察の上、病院でのスムーズな診療につなげる。

