畑 幸作 院長の独自取材記事
ひろしま内視鏡内科クリニック
(広島市南区/広島駅)
最終更新日:2024/12/11

広島駅南口の大規模再開発に伴いリニューアルされているエールエールA館7階に新規開業した「ひろしま内視鏡内科クリニック」。大学病院や基幹病院の消化器内科で内視鏡検査の豊富な経験を持つ畑幸作院長は「患者さんにもっと楽な気持ちで内視鏡検査を受けてもらえるように」との思いから開業を決めたという、同院では鎮静剤を使い痛みや苦痛が少ない検査に努めており、トイレつき個室の前処置室やリカバリーコーナーも設けている。また早くから保険適応のAI機能搭載の内視鏡を導入しており、畑院長とAIの2つの目で病変を見逃さず早期発見・早期治療に努めている。爽やかで明るい笑顔が印象的な畑院長に、内視鏡検査の方法や診察時に心がけていることなど、語ってもらった。
(取材日2024年11月11日)
鎮静剤を使って痛みや苦痛の少ない内視鏡検査を
すてきなクリニックですね。なぜこの場所に開業を決めたのですか?

内視鏡検査をたくさんの人に受けていただきたいという思いで開業を決意しました。内視鏡検査は、多くの人が痛い・つらいというイメージを持っているため、胃がんや大腸がんの早期発見・早期治療が本来の目的なのに、胃やおなかが痛くなってから仕方なく受ける方が多いと思います。ですが、最近では、鎮静剤を用いた検査が増え、当院の検査も眠ったような状態で苦痛や嘔吐反射をほとんど感じることなく受けることができるよう鎮静剤を使用できます。ただ、鎮静剤を使うと検査の当日は基本的に車や自転車の運転を控えなくてはいけないので、駅周辺など公共交通機関の便利な場所という条件で開業場所を探していました。ちょうどこのビルのリニューアルのタイミングでご紹介いただき、ここなら皆さんが来院しやすいと思い決めました。
内視鏡検査に注力されているとのことですが、消化器内科に進まれたきっかけをお聞かせください。
昔、野球で肩を壊した時にお医者さんにお世話になり「こうやって困っている人を助けたい」と思ったのがきっかけだったと思います。医師になるには2年間研修医期間を過ごし、その時に興味のある科をいろいろ周り、何科のドクターになるのかを決めていくのですが、僕はその時点ではまだ全然進路が定まっていなくて。手を動かすことが好きだったので、手技を扱う外科が良いかなくらいの思いだったんです。ですが、消化器内科で初期研修をした時に、内視鏡に出会ったんですよね。内視鏡検査を行うのは技術もいりますし、がんを見つけるという診断の上に治療もできるということにとても魅力を感じました。ですからこの道に進んだ理由は「内視鏡が好き」ということですね(笑)。
診察時に心がけていることはありますか?

しっかりと説明をすることを心がけています。結果説明では画像を示しながら「ここにポリープがあって、それを取りましたよ」とわかりやすく伝えるようにしています。また、検査前にはこの検査を受けたほうが良いかどうかを丁寧に説明し、患者さんが納得して検査を受けられるようにしています。患者さんが多くなると時間に追われてしまうことはありますが、そういう時でも説明を省かないように気をつけていますね。体の中のことは、患者さん自身が自分の目で見ることができないので不安ですよね。ですから、検査結果に異常がなくても「異常なしです」で終わらせず、画像を示し細かいところまで説明します。また取ったポリープはたとえ小さくても病理検査に出し、患者さんの不安を取り除くようにしています。
保険適応のAI機能搭載の内視鏡導入で、精密な検査を
胃の内視鏡検査はどのように行うのですか?

当院で使っている胃カメラは、鼻からも口からも対応可能な細い管を使っています。ですから鼻からを希望される患者さんは鼻からもできますが、鎮静剤を使って行う場合は、その細い管のカメラで口から行います。というのも、鼻の奥の空間の広さは個人差があり、鼻から内視鏡を入れて鼻血が出て困ったというお話も聞くんですよね。僕も鼻の奥が狭いため、鼻からカメラを入れたらすごく痛かったという経験があるので、鎮静剤を使うなら口からのほうが良いかと思います。また、当院の場合、胃と大腸の内視鏡の検査を同日に行うことができますので、忙しくてなかな休みが取れないという方もご相談ください。
大腸内視鏡検査時にポリープも切除できるのですか?
当院では、大腸内視鏡検査中にポリープが見つかったときは、可能な限りその場でポリープ切除を行います。検査と治療が同時にできるということが、当院の特徴であり強みです。以前はポリープ切除は入院したり、検査とは別日にしたりすることが多かったのですが、今は技術の進歩とともに安全性にもこだわれるので、日帰りで検査と治療を行い、なるべく入院はしないという流れになっていますね。大腸の内側は痛みを感じる神経が通ってないのでポリープ切除後も痛みはないと思いますが、検査時は空気を入れ腸を広げて見るため、それが少しつらいと感じる方はいるかもしれません。ですが、それもどんどん進歩していて、今は多くのクリニックで二酸化炭素ガスを使っているので、おなかの張りもだいぶ楽になったと思います。
AI機能搭載の内視鏡を導入されているのですね。

はい、当院は広島県内でも早くから保険適応のAI機能搭載の内視鏡を導入したクリニックだと思います。これは、カメラを奥まで入れて粘膜を見ている時に、ポリープがあるとピコーンという音がしてその場所が光り「ここにポリープがあるかもしれないですよ」とAIが教えてくれる機器です。AIが示した場所が100%ポリープというわけではありませんが、少しでも疑わしければ画面が黄色く光って教えてくれるので、そこを気をつけて見ることができます。AIがなくてももちろん検査はできますが、僕とAIの2つの目で見ることで、より精密な検査ができると思います。小さくてわかりづらい物もAIが教えてくれたことによって、よくよく見にいったらポリープだったということも考えられ、診断の助けになります。
早期発見で内視鏡検査とがん治療が同時に行える場合も
大腸がんは増えているのですか?

そうですね。胃がんはピロリ菌除菌が進んでいますが、大腸がんは増えています。ですが、大腸がんは、例えポリープががんであっても、小さいうちに対処できれば、体に負担が少ない処置でがんの治療の完結が望めます。がんと聞くと大きな手術になるのではないか、抗がん剤治療をするのではないかと心配になると思いますが、初期の大腸がんの場合、大腸内視鏡でしっかりポリープを切除できれば、それで治療完了もめざせます。だからこそ早期発見・早期治療が重要なんです。大げさな言い方をすれば、もし毎年大腸内視鏡検査を行っていれば、大腸がんになることは防げなくても、大腸がんで命を落とすことはほとんどないだろうと考えられます。ですから、検査の重要性を啓発していくことも大事だと思います。
こちらのクリニックは女性医師による内視鏡検査も受けられるそうですね。
内視鏡検査では、いかに若い世代の方々にも受けてもらえるようにするかが課題の1つになっています。健診で便潜血を指摘された人が、その後大腸内視鏡を受けに行ったかどうかを調べたデーターによると、驚くことに半分以上の人が受けていないんです。なぜ内視鏡検査を受けに行かなかったのかを調べたアンケートでは、多くの女性が「恥ずかしいから」という理由を挙げています。ですから、当院では女性医師が週2日勤務しており、女性の方にも受けやすい体制を整えています。女性医師を希望される方は、予約時に遠慮なく言ってください。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まだ開院1年目なのでこれからですが、当院で内視鏡検査を受けた人が「楽に受けられたから」「説明がわかりやすかったから」といった感じで、また次も当院で受けたいと思ってもらえるようなクリニックにしていきたいですね。それから、院名に内視鏡とついているので、内視鏡の患者さんしか診ないのかなと思われがちですが、風邪など一般的な内科の患者さんの診察も行っています。最近は、仕事帰りに高血圧やコレステロールの薬を処方してほしいと相談にいらっしゃる方も増えてきました。駅前の利便性が良い場所にあり、土曜の午後も診察をしているので、来院しやすいと思います。内視鏡検査に限らず体に不調を感じたら、気軽に相談してください。