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梅本 愛子 院長の独自取材記事

うめもとクリニック

(大阪市北区/大阪天満宮駅)

最終更新日:2024/11/07

梅本愛子院長 うめもとクリニック main

大阪メトロ谷町線の南森町駅、JR東西線の大阪天満宮駅の両駅からすぐの場所にある「うめもとクリニック」を訪ねた。院長の梅本愛子先生の経歴はユニークで、大学院を卒業後公衆衛生医師として大阪府に入職。保健所でも勤務し、その後は心の健康づくり対策官として、国民の心の健康のために働いた。その後、精神科医となり大阪府立精神医療センター(現・大阪精神医療センター)で長く臨床キャリアを積み、「心の病に悩むすべての人に、自分のなりたい自分になって少しでも楽しいと思える人生を送っていただきたい」と願って今年9月に開院した。そんな梅本先生に、クリニックの強みから薬を処方する際心がけていること、サポート体制などについて聞いた。

(取材日2024年10月2日)

その人らしい人生をサポートするために開院

まずは、開院に至った経緯から伺ってもよろしいでしょうか。

梅本愛子院長 うめもとクリニック1

私は開院するまでの24年間、精神科単科の公立の病院で長く勤務医をしてきました。その中で、心の病や問題は人との関わりの中で回復をめざせるものである、ということを痛感いたしました。特に最後の10年間はケースワーカーさんや臨床心理士さん、作業療法士さん、看護師さんたちとチームを組んで患者さんを診てきました。その経験はたいへん有意義で、私自身も充実感を得ることができましたし、培ってきた技術や知識を今度は地元に還元していきたい、と思ったことがきっかけです。くしくもここ南森町は私が生まれ育った場所にほど近く、よく見知った場所ですし、交通の便も良く少し離れた地域からでも通院していただきやすい所です。クリニックを開院したことで、時間にとらわれることも少なくなりました。土曜、日曜の診察に対応している他、平日の夜の遅い時間帯でも患者さんを診て差し上げられることも、うれしく感じているところです。

今年9月に開院されたばかりですが、患者層や印象はいかがですか?

職場や学校での問題など、日常生活の中でのお困り事でお越しになる方が多いという印象です。そのため、当院ではじっくりお話を聞いて診療に入ることが多いです。メンタルクリニック、精神科というところは、「怖い」と思っている方はまだまだ多いと感じます。何をされるかわからない、薬漬けにされるかもしれない、というイメージがおありのようですが、もう少し気軽に来ていただけたらなあ、と思っています。院内設計にも配慮していまして、できるだけプライバシーを守りつつ、リラックスしていただける空間に、と考えました。

先生の診療に対する信条、心がけていることについても教えてください。

梅本愛子院長 うめもとクリニック2

何ができるだろうか、ということを常に考えるように心がけています。ですので、患者さんが働けなくなった時にどんな支援があるのか、といった、医師だけでは気づけない部分についても、知識のアップデートは欠かさないように心がけています。また、各行政にはさまざまなサポート制度があります。訪問看護の方にちょっと入っていただいて、病気の部分を少し支えていただくとか、ホームヘルパーさんに家事や買い物を手伝ってもらって負担を少し減らすことも可能です。これまでの知見を生かして「こういう制度を使いませんか?」というご案内もしていければと思っています。

住民の悩みに接して、精神科医になることを決意

クリニックでの治療はどのように進められるのでしょうか。

梅本愛子院長 うめもとクリニック3

必要最低限のお薬は処方します。眠れないという方には睡眠を促すお薬を、いらいらするという方には気持ちの安定につながるお薬を、西洋薬がちょっとという方には漢方薬も処方しています。当院では採血も行っていて、お薬が体に悪く影響していないかを観察しながら、調整もしています。また当院では患者さんの生活環境を整えるために、地域の訪問看護ステーションとも密に連携を取っています。行政にもこれまで私が築いてきた顔が見えるネットワークがありますので、それらを生かせることは強みだと思います。

先生のご経歴を教えてください。

関西医科大学の出身で、卒業時は精神科医になるつもりはありませんでした。今でいう緩和ケアの分野に進みたかったのですが、当時はまだそういう概念が日本になかったんです。そこで、幅広くいろいろな患者さんに関われる科ということで、放射線科で2年間勉強しました。その後、関西医科大学の大学院に進学して、医学をもう一度勉強しようと思い、公衆衛生学へ進みました。遺伝子に関わる検査や技術の研究をし、学位も取得。教授に「大阪府庁で働いてはどうか」と勧められたことがきっかけで、大阪府の環境保健福祉部へ入職することになりました。公衆衛生医師として2つの保健所に通いながら、住民の方々の健康相談に応じたり、子どもたちの発達に関わる仕事などもしていました。

そういうご経歴から、なぜ精神科医になられたのでしょう?

梅本愛子院長 うめもとクリニック4

地域で生活する精神障害者の方のお宅を訪問したり、心と体の不調からいろいろな悩みを抱え、「どうすれば良いかわからない」という相談に対応しているうちに、「これは、私が精神科医になったほうが早いな」と感じました。保健所で行えるのは相談業務だけですので、「注射を打ってあげたい」とか「お薬を処方したい」と思ってもできません。自分がその対応をできるようになれば、地域の方が困っていらっしゃることを何とかサポートできる、と考えて精神科医になることを決めました。そこから大阪精神医療センターへ移り、縁があって総合病院である大阪医療センターでも勉強させていただく機会を得ました。大阪精神医療センターは、大阪府の依存症治療拠点機関でしてそこで副センター長も務めました。今もこの2つの病院とは連携があります。

依存症の治療にも注力。伴走者となって支える

お薬の処方については、難しい部分もあるそうですね。

梅本愛子院長 うめもとクリニック5

はい。精神科のお薬を飲むということに抵抗感を持たれる方は、やはり多いです。ですから、当院ではお薬の最初の導入に可能な限り時間をかけています。まずこういうお薬があって、こういう効能が期待できますがどうしますか、とお伝えして、ご本人に納得いただいた上で治療をスタートします。場合によっては、「ご家族さんとも相談して考えてください。その上でどういうお薬が良いか一緒に相談しながら、決めていきましょう」とご提案することもあります。そして服用した次の来院時には「飲んでみてどうでしたか?」と必ず伺います。そうして状況を確認する中で、患者さんが「飲み続けたいです」とおっしゃってくださったら、良いご提案ができて良かった、信頼をいただけたんだと感じうれしく思いますね。ご家族の方も、お身内が薬を飲むことには不安を感じるという方も多いので、ご理解いただけるように、ご家族への説明も大切にしています。

こちらでは依存症の治療にも注力されているそうですね。

はい。まだ準備中ですが、今年の末か来年初めぐらいから、ギャンブル依存症・アルコール依存症の方への勉強会を始めていきたいと思っています。待合室を広くして、可動できる椅子をたくさん置いているのも、そのためです。依存症というのは、依存している物、事、人というものが、その人の生活の優先順位の中の一番になってしまい、本来したいこと、しなければならないことがわからなくなってしまう状態です。その事や物、人が自分を乗っ取っていくという感じですね。一人で治せるものではなく、伴走する人が必ず必要だと思います。その伴走者の一人として私たち医師やスタッフがいますし、自分が悩んでいることを実は他の人も同じように悩んでいるとか、回復につながった方がこんなふうに回復のための糸口を見つけた、ということがわかると、真っ暗闇に明かりがポンと灯る、というような感覚になると思います。

読者へのメッセージをお願いします。

梅本愛子院長 うめもとクリニック6

来院される方皆さんの生活が安定し、自分のなりたい自分になって、楽しいと思える人生を送っていただきたいな、と思って当院を開院いたしました。診療にあたってはお薬も用いて、確かな治療と、その後のサポートもさせていただきたいので、納得いただけるよう可能な限り時間を取りたいと思っております。私はこれまで専門の病院で多くの臨床経験を積んでまいりましたし、行政とのつながりも持ってきました。その中で「人の役に立ちたい」「何とかできないか」と考える、私と同じ思いを持つ仲間もできました。その人たちと一緒に、皆さんを支援し、伴走していきたいと考えています。どうぞ気軽に来院してください。

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