「外れない」入れ歯をめざす
インプラントオーバーデンチャー
やました歯科・矯正歯科
(泉南市/樽井駅)
最終更新日:2025/01/24


- 自由診療
失った歯を補う手段としてインプラント治療が一般化しつつある中で、欠損した歯の数が多いなど、入れ歯による治療が適するケースはまだまだ存在する。しかし、うまく噛めない、外れやすいといったさまざまな理由から、入れ歯に対して否定的なイメージを持つ人が少なくないのもまた現実だろう。そうした中で気になるのが、インプラントによって入れ歯を固定させるインプラントオーバーデンチャーと呼ばれる手法。いったいどのような特徴やメリットがあるのか、今回は入れ歯とインプラントの双方に対応する「やました歯科・矯正歯科」の山下裕介院長の解説で、治療の意義や流れをじっくりと追ってみた。
(取材日2024年12月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qインプラントオーバーデンチャーとは、どのような治療法ですか?
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A
インプラントオーバーデンチャーはIODとも略され、顎の骨に埋入したインプラント体を土台として入れ歯を固定する方法です。例えば失った歯が多数に及ぶケースでは、そのすべてをインプラント体と人工歯で補うのは侵襲的にもコスト的にも現実的とはいえません。そうなると総入れ歯か、あるいはそれに近いサイズの入れ歯を選択することになりますが、その一つとして存在するのがインプラントオーバーデンチャーです。残った歯や歯茎の粘膜で支える従来の入れ歯と比較すると安定性が望め、強い力で噛んでも不意に外れるようなことが起きにくいです。必要となるインプラント体も欠損歯の数より少なく、埋入本数を抑えられることも特徴です。
- Qどのような人に適しているでしょうか?
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A
通常の入れ歯であっても、きちんと作製して調整すれば十分に機能を果たすことは可能です。しかし中には噛む力が強く、従来の入れ歯では対応が難しい方もおられるでしょう。こうしたケースで選択するのがインプラントオーバーデンチャー。既存の入れ歯にどうしても不満のある方、ご高齢になって大量のインプラント手術を避けたい方、入れ歯に強い荷重がかかるスポーツを普段からされている方などに適した治療法です。ただしインプラント手術を伴うため、顎の骨が不足している場合は先に骨造成を行うなど、適応には一定の条件が必要です。誰にでも簡単にお勧めできる治療法ではありませんので、歯科医師とよく相談した上で検討することが重要です。
- Qメリットやデメリット、注意点などを教えてください。
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A
一番のメリットは噛み心地の安定が望めるので、ずれたり外れたりしにくく快適な食事につながること。また、床と呼ばれる入れ歯の土台が小さいので異物感が少ないことも特徴です。一方のデメリットとしては、手術が必要で自費診療となること、対応できる歯科が少ないことなどが挙げられます。インプラントオーバーデンチャーを提供する歯科医師は、インプラントと入れ歯の双方に精通していることが重要だと考えます。使っているうちに入れ歯が割れたりガタついたり、インプラント体が揺れたりしないためにも、しっかりとした知識や技術力のある歯科医院で受けることが10年後、20年後まで良好な状態を保つ最大のポイントといえるでしょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1適応などの検査を行い治療計画を立案
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インプラントオーバーデンチャーを希望する場合、まず行うのが治療の適応条件を満たしているかどうかの精査。基本となるのは歯科用CTによるデータ収集で、口の中の状態やインプラント体を埋入する顎の骨の量などを入念に調べた上で治療方針が立てられる。万一骨が不足している場合はインプラント体の埋入に先立って骨造成手術を行う必要があるため、歯科医師の説明をしっかりと聞いて治療に臨むことが重要だ。
- 2仮の入れ歯で確認後、インプラント手術を実施
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条件が整えば最初にプロビジョナルデンチャー、あるいはパイロットデンチャーと呼ばれる仮の入れ歯を作製して口の中に装着。インプラントを入れる場所などを見極めた上で手術がスタートする。インプラントオーバーデンチャーに必要とされるインプラントの本数は、下顎2本、上顎4本が基本。下顎の場合は2本同時に、上顎の場合は術後も既存の入れ歯を使えるように、前後左右のいずれか2本ずつ埋入手術を行うことも可能だという。
- 3型採りを行い入れ歯を作製
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インプラント体を骨にしっかりと結合させるためには4〜6週間が必要。確認ができた時点で慎重に型採りを行い、入れ歯の作製に移る。同院では人工歯の部分には主に硬質レジンが用いられ、カラーも10色以上が用意されているという。比較的自由に色を選べることも特徴だそう。
- 4完成した入れ歯を装着し、噛み合わせなどを調整
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入れ歯が完成すれば、いよいよ口の中に装着。インプラント体上部のアバットメントと呼ばれるパーツと入れ歯との連結は非常に繊細なため、最終的な連結部の取りつけ作業は口の中で慎重に行われる。その後、ガタつきなどの問題がないか、きちんと噛み合わせができているかといったフィッティングを入念に確認。1週間以内をめどに沈み込みなどを再度チェックし調整を図る。
- 5定期チェックとメンテナンスでトラブルを予防
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治療後に欠かせないのが歯科での定期的なメンテナンス。少なくとも半年に1回は治療を受けた歯科を受診し、入れ歯の摩耗状態や歯茎の変化などをチェックする必要がある。特にインプラントオーバーデンチャーの場合は埋入したインプラント体があらゆる負荷を受け止めているため、トラブルに気づきにくいのが特徴。自宅でも常に入れ歯や口の中を清潔に保ち、思わぬ問題の発生を防いでいくことが何より大切だという。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラントオーバーデンチャー/110万円~、骨造成/33万円~、インプラント治療/49万5000円~