寺尾 健 院長の独自取材記事
つだぬま頭痛・脳神経外科クリニック
(習志野市/津田沼駅)
最終更新日:2025/04/08

津田沼駅より徒歩2分の「つだぬま頭痛・脳神経外科クリニック」は、地域では少ない頭痛専門のクリニック。内装は光過敏を起こしにくい緑を基調とし、照明も暗めに設定されている。さらに、匂いによる刺激を与えないよう人工香料のアロマは使わないという徹底ぶりだ。頭痛に悩む多くの患者を救うため、寺尾健院長は一人ひとりに寄り添い、知識や経験を生かした治療を行う。脳神経外科になじみがなくハードルの高さを感じる人も多いことから、「頭痛は専門の医療機関にかかるべき病気」と積極的な受診を呼びかける。そんな診療への情熱を燃やす寺尾院長に、同院の強みや連携体制、患者に対する姿勢などを聞いた。
(取材日2025年3月10日)
頭痛は受診すべき病気。怖がらず専門家を頼ってほしい
診療内容について伺います。

当院では頭痛を中心に、物忘れや脳卒中後のフォローアップを含めた脳神経疾患の診療に対応しています。頭痛は慢性的に起こる一次性頭痛と脳疾患が原因の二次性頭痛に大別されますが、主に診ているのは一次性頭痛。命に関わる病気でなくとも日常に支障を来す要因であるため、地域でも少ない頭痛専門のクリニック、頭痛の専門家として介入し、患者さんのQOL向上をめざしています。開業してみて感じたのは、頭痛持ちの患者さんが想像以上に多いこと。さらに、頭痛でお困りでも受診先がわからず、市販薬を飲んでやり過ごしている方も大勢いらっしゃることに気づきました。「頭痛は医者にかかるもの」というイメージをお持ちでないかもしれませんが、本来頭痛は受診すべき病気です。市販薬も飲みすぎると薬物使用過多による頭痛を誘発する恐れがありますので、ぜひ気軽にお越しいただければと思います。
一次性頭痛の診療で大切にしていることを教えてください。
診療では問診が重要なので、コミュニケーションは大切にしています。頭痛は目に見えない症状であり、本人にしか痛みはわかりません。さらに同じ痛みでも感じ方は人それぞれだからこそ、共通の尺度を使った会話を意識しています。加えて、脳に問題がないかを常に確認するために積極的な検査も欠かせません。検査結果はガイドラインなどの資料もお見せして、診断の根拠をきちんと提示しながらご説明します。その後、患者さんのお困り事や意向を踏まえて治療法を相談・決定しています。また片頭痛には、痛みがある発作期と痛みが落ち着いている発作間欠期が存在します。発作間欠期でも光や匂いに敏感、人混みが苦手といった症状はあり、周囲の理解が十分に得られにくいのも問題です。そのため当院では、まずご本人に自身の頭痛についてご理解いただき、その上で「発作期・発作間欠期ともに楽に過ごせること」を基準に治療を組み立てています。
治療は具体的にどのようなものですか?

治療は薬物療法が基本です。急性期の薬に加え、各タイプの頭痛に対する予防療法としても多種類の薬があるため、一人ひとりの状況に適したものを患者さんと一緒に考えます。頭痛薬はここ数年でめざましく進歩しており、特に片頭痛は早期の受診・治療によって良好な経過をめざせます。脳神経外科と聞くと怖い、入りにくいと思われるかもしれませんが、決して怖い所ではありません。一度でもお越しいただければアイデアが出せますので、よろしければ頭痛専門クリニックの扉をノックしてみてください。そのほか、当院では生活習慣の改善をめざした指導も行っています。実は私も片頭痛持ちでしたので、当時は勉強して自分の体でいろいろなものを試しました。その結果、良いと思ったものなども診療の際に役立てています。
患者の人生を扱う覚悟で、連携力を生かした医療を提供
物忘れの診療や脳卒中後のフォローアップについても伺います。

物忘れの診療では、質問を通して認知機能に障害がないかを調べる検査やMRI検査によってスクリーニングを実施します。治療は主に薬物療法です。また、脳卒中や脳梗塞などの治療を終え、当院で経過観察ができる場合は後遺症も含めて診療が可能です。薬の選択・変更時における微調整は専門家だからこそ行える部分があり、手術経験のある外科医師ならではの観点からフォローできる点も強みといえますね。そして生活習慣病は脳卒中のリスクとなるため、当院では血圧・血糖値の管理をはじめとした生活習慣病の診療にも取り組んでいます。必要に応じて、前職の津田沼中央総合病院を紹介できる体制もあり、連携力を生かした幅広いサービス提供に努めています。
強固な病診連携を図っているんですね。
津田沼中央総合病院は当院から歩いてすぐの場所にあり、こちらに開業したのも、病院とのスムーズな連携を考えてのことでした。現在も週に1回診療のお手伝いをしに行っており、深くつながりが残っています。各科の先生とも知り合いなのでお互いに患者さんのご紹介もしやすく、さまざまな面で助かっていますね。
診療で心がけていることは何ですか?

医師が押しつける医療ではなく、患者さんに情報を提供した上で個人の状況に合わせた治療方針を相談し、一緒に決める医療を心がけています。シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)ですね。また、私はかつて師匠に「手術するときは患者さんの人生を手術する気であたるように」という教えを受けました。現在注力している頭痛治療も、患者さんの人生を扱っているのと同じです。診療において、患者さんは選手で私たちはコーチ。そんな思いのもと、責任を持って皆さんと向き合っています。ただ、そうした医療は私だけでは不可能で、患者さんから多くの話を引き出してくれる看護師や事務スタッフがいて初めて成り立ちます。他職種の仕事は診療介助ではなく「診療」であり、チーム全員で診療するのが当院のスタイルです。
困っている顔が笑顔に変わる瞬間が何よりの喜び
医師をめざし、開業するまでの経緯を教えてください。

脳神経外科を専攻したのは、手術によって病気を治療できることへの憧れと、脳にアプローチできるという専門性に惹かれたのが理由です。勤務医時代は複数の病院に勤務し、脳卒中や頭部外傷などの一刻を争う症例を数多く経験しました。一方で頭痛の診療にも携わり、日常で困っている人を助けることにも興味が湧いて、せっかく専門的に学んだのだからと開業医の道を選びました。
どんなときにやりがいを感じますか?
つらそうな表情をしていた患者さんが笑顔で来てくれるようになる。そんな喜ばしい変化にやりがいを感じています。勤務医時代に対応した患者さんが、後に外来でお元気な顔を見せてくださったのが最高にうれしかったですね。20年前にお会いして以来、ずっとお付き合いが続いている方もいるんですよ。また、当院では大人の方だけでなくお子さんも来院されるのですが、休んでいた学校に通えるようになったというお話を聞くと、やはりうれしいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

つい話し込んでしまう分、待ち時間が発生してしまっている状況ですので、今後は診療の効率化を図ってまいります。なるべく多くの患者さんを診て、頭痛の負担を軽くできたら何よりです。うまく頭痛と付き合えずお困り事が解消されないのなら、専門のクリニックに行ってみるのは一つの有用な選択肢だと考えています。頭痛のスペシャリストは膨大な知識・経験があり、研究会などで先端の頭痛治療も学んでいるため、引き出しの数は多いでしょう。当院も、特に片頭痛に関しては多岐にわたる治療をご提供できる体制があり、薬も種類豊富にご用意しています。たかが頭痛、されど頭痛ですので、お悩みがあればぜひ遠慮せずご相談ください。