幸田なおき院長の独自取材記事

辻堂矯正歯科

(藤沢市／辻堂駅)

最終更新日：2024/12/04

2024年9月に開院したばかりの「辻堂矯正歯科」は、辻堂駅そばの好立地に位置する歯列矯正専門のクリニック。幸田なおき院長は都内のクリニックで院長を務めてきた他、開院に先立ちフランス留学も経験するなど、矯正歯科分野の経験が豊富だ。「きれいは健康の上にしか成り立たない」を信念に、機能性と審美性を重視している。当たり前のことを丁寧に、一人ひとりの患者に合わせた治療を提案する。幸田院長のこれまでの経歴や診療方針、今後の展望について詳しく話を聞いた。

（取材日2024年9月12日）

念願だった「海の町の歯科医院」
当たり前のことを丁寧に、幅広い治療に対応
老若男女が気軽に訪れるクリニックに

念願だった「海の町の歯科医院」

辻堂に開院したきっかけは何でしたか？

海が好きで、サーフィンが趣味で、海沿いの町でお仕事をしたいと思っていました。サーフィン友達が湘南エリアの中でもこの地域に連れてきてくれ、辻堂に流れる時間や町の雰囲気に一目惚れしました。この地で矯正歯科をされている先生方にご了承いただき、開業することになりました。ある夕べに、ボードを自転車に乗せたサーファーとすれ違った時、改めてここで開業して良かったなと思いました。当院があるビルの他階の方や町内会・商店会の方にも優しくしていただいています。

立地や内装のこだわりを教えてください。

フランス留学時に訪れたクリニックやパリ郊外の建築家の自邸を参考に、駅から近いコンパクトな空間でも必要十分な先進設備をそろえ、南仏のようなたたずまいの内装を行いました。化粧室の壁は、出身である岐阜県のタイルを貼っています。南東角の診療室は自然光が差し込み明るく、もう1つの診療室は駅が見え、北側の空が開けています。待合室は窓向きにカウンターを設置し、患者さん同士の目が合わないように造りました。空や辻堂の町並みを見てお待ちいただけます。

歯科医師をめざしたのはなぜですか？

なりたい職業が見つからず、中学の頃にはやったカリスマ美容師という言葉に感化され、理美容の世界をめざしました。しかし、美容学校の学費が高く断念することに。資格が取れる大学がいいと医療系に進みました。「きれい」や「かっこいい」に携われる分野なので、入学時に漠然と矯正歯科学を専攻したいと思ってはいましたが、歯科医学を学んでいくうちに他分野にも興味が湧きました。卒業後は今の医療の現場を感じたいと思い、一般歯科、歯科口腔外科、麻酔科を幅広く平等に学べるカリキュラムが整っていた慶応義塾大学病院での研修を選択しました。

さまざまな分野を学んだ上で、矯正歯科の道に進まれたのですね。

見学だけではまったく理解できない分野が歯科矯正学でした。矯正は、診断時のレントゲン分析値をもとに骨の硬さや噛む力、歯根の長さや歯根膜の表面積に加えてワイヤーとブラケット装置の摩擦なども考慮し、歯を動かす力の調整を行います。小児矯正では、その子の成長も予測しながら治療を行います。どんなに装置が進化しても、その装置を扱う歯科医師が毎回考えてアプローチしなければ矯正治療は成り立たないという部分に、漠然と憧れを描き、大きなやりがいを感じました。大学院では歯根膜に発現する歯の移動に関わる新規遺伝子の研究に携わりました。

当たり前のことを丁寧に、幅広い治療に対応

昨年フランス留学もご経験されたそうですね。

コロナ禍にふと、開業前にアジア人とは異なる骨格を持つ人々の矯正治療を学びたいと思い、国際線運航が再開したらまた留学に行きたいと考えました。多様な人種がいそうなパリを留学先に決め、ほんの少しフランス語を学び向かいました。現地では英語も使いながらフランス語に少しずつなじんでいきました。さまざまなご縁でパリだけでなく、北仏や南仏のクリニックも見学し、多彩な民族が住むフランスの治療を体感しました。日本では矯正歯科はハードルが高いと感じている方も多いと思いますが、フランスでは18歳までは矯正治療に保険が適応されますので、矯正歯科が広く国民に浸透していると感じました。

海外で症例を学ばれた経験は、こちらでの診療にどう生きるのでしょうか？

日本人の骨格は顔が横に広く、奥行きが浅い。歯のがたつきが多く、抜歯矯正するケースも多いです。一方で西洋人は顔が細長く、奥行きのある骨格です。歯を抜かずに治療が望める症例も結構ありますね。今後日本も多様化が進み、従来の日本人標準値が必ずしも正しいとはいえない時代が来ると思うので、さまざまな人種の矯正を学んだ経験は大きいと思います。理想とされる標準値のみにとらわれずに、その人に合った噛み合わせを求めていきたいです。

治療のモットーを教えてください。

一番は「当たり前のことを丁寧に」していきたいです。矯正歯科は裏道がない学問で、難しい症例ほど小さなことからコツコツと着実に手がけていかなければなりません。歯が速く動くように過度に強い力を用いてもうまくいかない、そのくらい矯正はズルができない学問です。きちんとした噛み合わせに導けてこそきれいな歯並びが安定するので、終わりなき臨床の道、追い求めていきたいですね。また、地域の方々に温かく迎え入れていただけたのは、先にこの地にいらっしゃる先生方のおかげですので、先輩方が積み上げてこられた歯科への信頼を崩さぬよう、自己研鑽いたします。

矯正歯科の中でも得意な分野は何でしょうか？

表側のワイヤー矯正はもちろん、私は裏側矯正専門の歯科医院で学んだ経験もあることから、装置の選択に幅広く対応が可能です。最初はワイヤーを用いて、途中からマウスピース型装置に切り替えていくような方法も得意です。マウスピース型装置は今後の発展が見込まれますが、現段階ではまだ適応できる症例に限りがあります。「マウスピース型装置を一日中装着するのは難しい、でもワイヤーが表側で目立つのも嫌だな」と悩む場合に、裏側矯正をご選択いただく方が最近は増えております。また、口腔外科で学んだ経験を生かして、永久歯が骨に埋もれている「埋伏歯」をけん引し矯正治療を行ったり、予後が見込めない奥歯（大臼歯）を抜歯して親知らず（智歯）を並べて噛ませることをめざす、といった難症例にも対応しています。

老若男女が気軽に訪れるクリニックに

小児矯正についてはどのようにお考えですか？

子どもの歯列矯正については、あまり焦らずに7～9歳くらいまで待って始めてもいいと思います。乳歯の反対咬合が気になっていた方でも、成長に伴って永久歯は意外ときれいな向きで生えてくることもあります。子どもは、体や口の中の成長に従って歯並びが改善することもあるので焦る必要はないというのが私の方針です。しかし、少数ですが5〜6歳頃でも歯列矯正が必要となる場合がありますので、気になる方はご相談いただければと思います。

海外での経験や語学を生かしての診療も得意だそうですね。

歯列矯正は実は転院がすごく難しいのです。海外からの短期滞在などの間に矯正治療の継続を受け入れられるクリニックがあればと考えました。南仏の見学先のクリニックの患者さんの診察を昨年日本で受けたこともあります。これまで賜った多くの出会いに感謝し、英語圏やフランスなど、海外で矯正を受けている方のお役にも立ちたいです。

今後どのようなクリニックにしていきたいですか？

年齢や性別関係なく気軽にご来院いただける明るいクリニックにしたいです。矯正歯科は子どもと若い女性というイメージを変えたいので、紳士用のお手洗いも用意しました。当院はLGBTフレンドリーです。また、せっかくこの地に開業したので、サーファーの歯もきれいに導いて差し上げたいです。年齢を重ねると気になる歯の黄ばみやクリーニングだけでもお気軽にご相談くださいね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

いくつになっても「きれい、かわいい、かっこいい」は、言われるとうれしい言葉ですよね。でもそれは基本的には健康という土台の上にしか成り立ちません。矯正はその土台を整えます。噛み合わせと歯並びが改善すれば生活の質の向上につながり、口元のコンプレックスが少なくなると、自然と歯を見せて笑う機会も増えていくことと思います。歯並びが気になる方はもちろん、歯のお困り事があれば、お気軽にご相談ください。矯正範囲外の当院で治療が及ばない難症例に関しては、近隣の歯科医院と連携するなど、この海の町辻堂で私ができることを一つずつ積み上げていきたいと思います。多くの人との出会いやお力添えがあって開院することができました。診療を通して地域の皆さまや国内外の今までお世話になった人々に恩返しをしていきたいです。