山本 智久 院長の独自取材記事
山本医院
(宇治市/向島駅)
最終更新日:2024/10/18
近鉄京都線向島駅から徒歩約10分の「山本医院」。駐車場もあり、電車でも車でも訪れやすい同院は2024年8月に開院したばかり。グレーとホワイトを基調に、ブルーをアクセントにした院内は清潔感あふれる雰囲気だ。同院の山本智久院長は、外科出身。豊富なキャリアを生かし、外傷などの外科診療から発熱・風邪などの内科診療、特定健診・がん検診・予防接種まで、幅広い診療を受けつける。「小さなクリニックでも、できる限りのことがしたい」という院長のこだわりは、AI搭載のCTや、発熱患者のための個別診察室といった設備導入にうかがえる。「患者さんと話す時は丁寧に接することを心がけている」という山本院長は、生まれも育ちも京都府宇治市。「行けば、なんとかしてくれる」、そんな町のかかりつけ医として、地域貢献をめざす。
(取材日2024年9月20日)
生まれ育った宇治市で開業。地域医療で地元に貢献
京都府宇治市を開業の地に選ばれたきっかけを教えてください。
生まれも育ちも宇治市で、仕事で大阪などに出ることはあっても、ずっとこの町で暮らしてきました。宇治市は田舎でもなく、かといって都会でもなく、大きな公園もあって、たいへん過ごしやすい町です。しかしながら、人口減少や高齢化が進んでいる現実もあります。そういった将来的なことも考えて開業を決めたのですが、地域医療に貢献するならやはり慣れ親しんだ地元がいいと思ったんです。
開業にあたり、こだわって導入された設備などがあれば教えてください。
まず、AI機能搭載のCTを設置しました。大学病院での勤務医時代、血液検査とエックス線だけでは診断がつかない場合に、一歩踏み込んだ検査としてCTを取り入れていたんです。例えば同じ腹痛でも、その原因が虫垂炎なのか、尿管結石なのか、腸炎なのか、CT画像を見ればある程度判断できます。AI機能搭載のCTは、従来のCTに比べて低被ばくで検査が可能で画像も鮮明です。個人の小さなクリニックには珍しい大型機器ですが、CTによって当院で診断がつけられると、大きな病院や専門病院に行かなくても、当院で治療までを完結できる可能性が高くなります。当院を頼ってくださる患者さんのために、できる限りのことはしたいという思いで導入を決断しました。
診察室の造りなどに、こだわりはありますか?
咳や発熱などで周りに気遣い受診を遠慮される方や、受診することで他の病気をもらうんじゃないかという不安のある方の両方に安心して受診してもらえる環境を整えたいと考えました。当院は発熱・風邪症状の患者さんを診察するために専用の診察室を設けています。定期通院をされる方やご高齢の患者さんにも安心して診察を受けていただけるよう、通常の待合室や診察室とは出入り口を別にし、導線も分けています。発熱患者さんの診療には診察枠に限りがあるので、事前予約をお勧めしています。
外科から内科まで、幅広く対応できることが強み
宇治市は古くから開業されているクリニックも多い地域ですね。他のクリニックとの違いは何でしょうか?
外科から内科まで、幅広く診療できることですね。個人のクリニックは内科や整形外科など、専門に特化したクリニックが多い印象です。しかし当院は、院長の私がもともと外科の医師であることから、発熱・風邪症状や、高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や発熱・風邪症状といった一般的な内科診療だけでなく、ケガなどの外傷やできものなどに対する一般外科診療にも対応できます。具体的には、切り傷・やけど・打撲・うおのめ・たこなどの処置はもちろん、痔の注射治療や、局所麻酔による傷の縫合処置、粉瘤など皮膚の良性腫瘍切除の小外科手術も院内で可能です。対応できる疾患が多いことが、当院の強みではないかと自負しています。
なぜ外科から内科まで、幅広い診療が可能なのでしょうか?
私は外科の医師として、消化器の良性・悪性疾患の手術や、一般外科・救急診療などに長らく従事してきました。また、大学病院では膵臓がん・胆道がんなど、診断が難しく予後の悪い難治がんの手術・治療・緩和ケアにあたったほか、一般病院では総合診療科・整形外科・一般内科・訪問診療などに幅広く従事し、生活習慣病や慢性疾患の治療も経験しました。今後はこれまでのがん診療の経験を生かして緩和ケアにも注力していきたいと思っています。さまざまな事情を持つ患者さんに、それぞれ適切な医療を提供することで、これまで身につけてきたことを還元できればと思います。もちろん、小児科・婦人科・精神科といった専門外の領域もありますし、専門性の高い治療が必要な場合は、紹介状を書くといった対応もします。「とりあえず行ったら、なんとかしてくれる」と安心してもらえるような、町のかかりつけ医をめざしています。
他にも、地域のかかりつけ医として窓口になる取り組みがあれば教えてください。
宇治市と京都市の特定健診・がん検診の受付や、インフルエンザワクチン・新型コロナワクチン接種の予約受付も開始しました。ケガや病気の人だけでなく、健康な人にも当院を訪れていただくきっかけにしていただきたいですね。
患者には礼儀を持って丁寧に接することがモットー
開院して約2ヵ月ですが、どのような症状の患者さんが多いですか?
発熱症状に対応する外来を構えているので、風邪や熱などの患者さんが多いですね。また高齢者が多い地域なので、高血圧症・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病の患者さんも多いです。地域にお住まいの皆さんに「遠くの病院まで行くのは大変だから、近くで診てもらえて助かる」と喜んでいただけていたらうれしいです。また、ケガの患者さんも少しずつではありますが増えてきました。そもそも切り傷などのケガをクリニックで治療する、といった考え方はあまり一般的でないのかもしれません。しかし軽い痛みや小さな傷口でも放置すると感染症などを引き起こし、治癒に時間がかかったり、重篤な症状につながったりする可能性もあります。ケガを治療するためにクリニックに行く習慣が、少しずつ浸透していくことを願っています。
患者とやりとりをする上で、院長が心がけられていることを教えてください。
患者さんには丁寧に接することを心がけています。「医師」と「患者」の立場だけで見ると、患者さん側が医師に気を使う場面も多いかと思います。しかし患者さんは、私よりも年齢的に人生の先輩であることも多々あります。「敬語ではなく、フランクに話すほうが患者さんと打ち解けられる」という意見もありますが、やはり少し違和感があって、私には敬語で対応するほうがしっくりくるんです。私が敬語だと、フレンドリーさにはやや欠けるのかもしれませんが……。どんなに長い付き合いの患者さんでも、若い患者さんでも関係なく、まずは「どうされましたか」と丁寧に話すことを大切にしていますね。
最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
「困ったことがあったら、とりあえず来てください」と伝えたいですね。外科を主軸としてさまざまな診療科で治療にあたってきた経験を生かし、適切な医療を提供することで、患者さんやその家族が幸せになる手助けを、地元宇治市から行っていきたいと思っています。