認知行動療法と運動指導を通じて
精神科疾患へアプローチ
Mo寺クリニック尾山台
(世田谷区/尾山台駅)
最終更新日:2025/09/10


- 保険診療
メンタルに不調や問題を感じているとき、相談する先として挙げられるのが精神科・心療内科のクリニック。とはいえ、精神科を受診することにハードルの高さを感じてしまったり、精神科疾患に広く用いられている薬物治療に不安を覚える人も少なくないはず。「Mo寺クリニック尾山台」の寺尾基洋院長は、心の不調をできるだけ早期に発見・治療するため、相談しやすいクリニックづくりをめざしている。認知行動療法を取り入れ、薬物療法に頼らない選択肢を提案。また、予防のための生活習慣見直しを重視し、クリニック内に運動指導のためのトレーニング設備も整えている。今回は寺尾院長に、認知行動療法や運動指導について、また同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。
(取材日2025年8月21日)
目次
カウンセリングや運動指導を導入。メンタルの不調は、生活習慣病と同じく日々の予防が大切
- Q認知行動療法とはどのようなものでしょうか?
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A
▲診察の際は、話しやすい雰囲気づくりを大切にしている
うつ病やパニック障害、不安障害などの方によく用いられるカウンセリングの一つです。ある物事が起きた時に、その事実を悲観的に受け止める癖がついていると、生産的な行動をするのがおっくうになり、そのことでさらに悲観的になる悪循環が生まれやすくなります。そうした受け止め方の癖を変えていくためのアプローチが認知行動療法です。この方法では認知・行動・感情・体の反応という4つの枠組みで考えますが、このうち比較的変化を促しやすい認知と行動に焦点を当て、認知の面では物事の考え方の変容をめざし、行動の面では起き上がる、外に出るなど、それまでと違うアクションを実際に起こすことで気分を変えていくことをめざします。
- Q運動指導とはどのようなことを行っているのでしょうか?
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A
▲院内にトレーニングスペースを用意する
運動は体の状態と深く関わっていますが、運動を通じて自分の体だけでなく心の状態と向き合っていくための方法です。運動をすることで気分がすっきりする経験をしたことがある人は多いと思いますが、実際に運動を通して脈拍が上がることへの耐性をつけたりしながら、気持ちの安定につなげていけたらと思っています。当院では専門のトレーナーと一緒にストレッチや器具を使ったトレーニングを行い、姿勢や呼吸、さらに食事のアドバイスなども行っています。
- Qクリニック内にトレーニング設備があるのは珍しいですね。
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A
▲患者に合わせて、無理のない範囲での運動指導を実施
整形外科などには運動施設がよくありますが、確かに精神科のクリニックでは珍しいかもしれません。ただ、メンタルの改善や予防を考える上で、運動指導が選択肢として当たり前に存在する時代になっていかなければいけないと思いますし、運動へのハードルを低くするためにもクリニック内に設備を導入しました。当院では専門のトレーナーとマンツーマンで運動を行うことができます。トレーニングをするというと、ハードな運動をさせられるのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、呼吸や姿勢の見直しやストレッチなどを中心に行います。また1回30分の始めやすい枠も設けていますので、お気軽に利用していただきたいですね。
- Qこちらのクリニックの治療方針について教えてください。
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A
▲「話す」ことから始まる治療
世界的に薬物療法がオーソドックスになっているのは事実ですし、私が勤務していた病院でも、薬物療法が必須である患者さんを多く診てきました。一方で、クリニックにはうつ病などにまで至っていない段階の方も多く来られます。その時点から薬物療法に慣れすぎたり依存したりしないためにも、当院では運動指導やカウンセリングの選択肢を示したいと考えています。また、診療には丁寧に説明することも大切ですので、特に初診ではなるべく時間をかけて話をするようにしています。必要に応じて薬物療法も行いますが、できる限り薬物に頼らない治療法や予防法をご提案して、早期発見・早期治療につなげたいですね。
- Q精神科を受診する適切なタイミングについて教えてください。
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A
▲「まずは、気軽にご訪問ください」と語る寺尾院長
人間は誰でも悩みを抱えているものですが、夜も悩んでしまって眠れなかったり、朝になってもスッキリしなかったりといった不調が現れたくらいの段階でも、相談に来ていただいて良いと思います。また、身近な人には悩みを相談しづらいけれど、クリニックの人間ならば、普段関わりがない他人だからこそ話しやすいということもあるでしょう。話すことで楽になるかもしれないですし、診療を受けて診断・評価してもらうことで安心できるという面もあると思います。何日も寝つけない、ご飯が食べられない、趣味が全然楽しくなくなったなど、強い症状が出ている場合はもちろんですが、その手前の段階でも気軽に来てほしいですね。