丹正 幸佑 院長、丹正 絵理奈 副院長の独自取材記事
たんしょう内科腎臓内科皮膚科クリニック
(奈良市/富雄駅)
最終更新日:2024/09/30

奈良交通バス「鳥見町2丁目」バス停から徒歩1分。「たんしょう内科腎臓内科皮膚科クリニック」は、閑静な住宅街の一画にある。2024年の8月に開院。院長の丹正幸佑先生が腎臓内科と一般内科、妻である副院長の丹正絵理奈先生が皮膚科を担当する医師2人体制だ。30代のフレッシュな医師夫婦だが両者とも、前職は近畿大学奈良病院に在籍し、幅広い治療を経験している。「大学病院ではひどくなってから来院する患者さんを多く診てきました。予防に力を入れ、透析に至る患者さんを少しでも減らしたいです」と話す幸佑院長。絵理奈副院長は「地域の皆さんに気兼ねなく来ていただきたいですね」と話し、地域の腎臓疾患、皮膚疾患の患者に寄り添う考えだ。同院での診療について話を聞いた。
(取材日2024年8月28日)
腎臓内科、透析、皮膚科を専門としたクリニック
2024年8月に開院されたとのことで、いつ頃から独立をお考えでしたか?

【幸佑院長】研修医時代に、腎臓内科を専門に選んだ時から、将来的には独立したいと考えていました。自営業だった親の姿を見ながら、自分も独立して何かやってみたいと希望していたんです。そもそも、腎臓を専門とする開業医は少ないんですね。大きな病院に勤めていましたが、患者さんが腎臓内科に来院されるタイミングがかなり悪くなってからというケースが多く、もっと早めに予防すれば、悪化を先に延ばすことが望めたり、透析の患者さんを減らすことが期待できたりするのにと感じていました。そんな思いから、病気の初期の段階から患者さんに関わりたいと思い、開業に至りました。
【絵理奈副院長】私は父が開業医だったので、その影響で医師をめざしました。そして、機会があれば開業したいとも常々思っていたんです。大学病院に勤め、日本皮膚科学会皮膚科専門医の資格を習得した頃、夫の開業の意向を聞き、一緒にクリニックを立ち上げました。
患者さんはどういった方々ですか?
【幸佑院長】腎臓の病気は透析でいうと、男性が多いですね。当院では透析の患者さんの送迎を行っていますので、遠方からも来院いただいています。内科の外来には、高齢の女性の患者さんが多くいらっしゃっています。
【絵理奈副院長】皮膚科へは、お子さんをはじめお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い年齢層の方に来ていただいています。家族ぐるみで受診されることも多いですね。また、皮膚科はどこも混んでいて待ち時間が長いという印象があると思いますが、当院の皮膚科に関しては予約制にしていますので、あまりお待たせすることなく、患者さん一人ひとりにじっくり向き合える体制を整えています。
皮膚科の患者さんは、具体的にはどういった症状が多いですか?

【絵理奈副院長】お子さんではアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の方が多いです。この病気は長期的なコントロールが大切で、当院ではさまざまな薬を使ってのコントロールを図っていますので、アトピー性皮膚炎でお困りの方は来院していただきたいですね。また、ニキビに悩む10代、20代の患者さんもいらっしゃり、薬によるニキビ治療を提供しています。ニキビ専用の化粧品の紹介もしていますので、気兼ねなく通っていただければと思います。
腎臓の検査は当日に結果説明できるのが強み
ご専門を選ばれた理由を教えてください。

【幸佑院長】大学からずっと仲良くさせてもらっている先輩がいまして。研修医の時に、その先輩に腎臓についてたくさん教えてもらいました。腎臓疾患は、薬などで細かな調整が見込める点と、生活習慣病に深く関わるので、大きな病院でも生活習慣病の管理など、クリニックのような診療をしながら全身を診ることができる点におもしろさを感じました。透析だけではないと思ったのが、腎臓内科に決めた理由です。
【絵理奈副院長】皮膚は目に見えるので、患者さんにも治療の過程がわかりやすいという印象がありました。例えば、患者さんの皮膚状態を見て、治療の経過を一緒に共有できるのがいいですよね。それと、一般外来でも手術でも、さまざまな手技を学び身につけることができるので、そこにやりがいを感じました。
腎臓内科の治療で、こちらならではの特徴はありますか?
【幸佑院長】当院の特徴は、腎機能の検査をしたその日に、結果をすぐにお話しできることです。一般的には採血して後日に来院し結果を伝えることが多いと思いますが、当院は検査当日に、採血後30分ほどで結果説明ができる体制を取っていますので、薬の調整も当日に行えるのが強みですね。また、腎臓の病気は基本的に、糖尿病など生活習慣に関わる疾患が原因となるので、そこをしっかりコントロールするのが前提です。腎臓病について経験のある看護師、栄養士が在籍していますので、食事や生活面の専門的なアドバイスを行うことができるのも特徴の一つです。
プライベートについても少しお聞かせください。学生時代はどんなふうに過ごされましたか?

【幸佑院長】子どもの頃からずっと野球漬けで、中学まではスパルタで有名なクラブチームに所属し、周りにはプロをめざす仲間もいました。勉強も嫌いではなかったので、近畿大学の附属の中学・高校に進学し、医学部への進学コースに行きました。高校生になると進学コースでは毎日テストがあり、合格できなければ夜まで残らないといけないんです。私は野球がしたかったから、テストには必ず合格できるよう毎日頑張って勉強しました。結果的に、勉強の一番の原動力は野球だったと思います。野球をやっていなかったら、医師にはなれていなかったと思いますね。
【絵理奈副院長】私には姉がいて、小さい頃から姉のまねばかりしていました。医師をめざしたのは父の影響もありますが、最初は姉が医師をめざしたことがきっかけだったと思います。中学・高校と姉と同じ学校に進学し、その後は岡山の医科大学に進学しそこで6年を過ごしました。
地域で親しまれるクリニックに
お二人で開院されて1ヵ月たちましたが、今のお気持ちを聞かせてください。

【幸佑院長】先輩が、開業医は孤独だとよくおっしゃっていたのですが、私たちは2人なので悩みにも2人で向き合え良かったと思います。スタッフは女性が多く、妻が丁寧に気を配って話してくれるので、院内はうまく回っています。夜中など、ぱっと起きたら妻が机に向かって勉強していることもあり感心しています。子育てもある中で開業しましたが、ついてきてくれたことに感謝しています。
【絵理奈副院長】自分たちのクリニックを持つことは夢だったので、やりがいがありますし、責任も感じています。患者さんにご迷惑はかけられないので、万全の対応をしたいと思っています。そのために勉強してできることを増やしていくことが、楽しいと感じています。
これから力を入れていきたいことは何ですか?
【幸佑院長】腎臓病を患う患者さんの進行を抑えることに力を入れたいですね。栄養士、看護師もチームとなり食事や生活面でのサポートも積極的にしていきたいと思っています。腎臓が悪いことが心筋梗塞や脳梗塞などにもつながるといわれているので、全身の病気の予防のためにも早めの対処が必要だと考えています。また、透析に関しては従来の血液透析だけでなく、腹膜透析や腎移植も選択肢として相談に乗ることができます。
【絵理奈副院長】肌を見せるのに抵抗がある女性も、女性同士であればその抵抗感も少ないと思いますので、些細なことでも受診してほしいです。前職では一般皮膚科で、腫瘍の疑いのあるケースなどさまざまな症例を診てきました。その経験をベースに水虫やイボ、湿疹などから今後は美容にも力を入れていきますので、幅広い患者さんに来ていただきたいですね。
メッセージをお願いします。

【幸佑院長】腎臓疾患は自覚症状に乏しく、悪くならないと症状が出ないので、いかに早い段階で予防を始めるかが、将来の透析を減らす上でも大切です。また、症状はなくても腎臓が悪いと、心筋梗塞などの全身の疾患を発症するリスクも高くなります。予防から透析まで腎臓に関わることでしたら何でも相談に来ていただきたいですね。
【絵理奈副院長】今は月曜と木曜の午前中のみの診療ですが、いずれはもっと向き合って、患者さんと一緒に月日を重ねながら、地域に親しまれ、気兼ねなく通っていただけるクリニックにしていけたらと思っています。