中島 優 院長の独自取材記事
旗の台駅前KT歯科・矯正歯科クリニック
(品川区/旗の台駅)
最終更新日:2024/09/11

旗の台駅からすぐのクリニックモール内にある「旗の台駅前KT歯科・矯正歯科クリニック」は、2024年7月に開院。関東を中心に33の歯科医院を運営する医療法人社団佑健会のグループ院として、複数の歯科医師が専門性を追求しながらチームで診療に取り組んでいる。歯周病治療に注力する中島優院長は、「歯周病予防」と「歯周病治療」の違いを患者に伝えるとともに、院長自らが総合的な視点で診査、診断し、一人ひとりの患者に適した治療法を提案している。院長就任前には世界各国の歯科医院を巡り、広い視野で歯科について探求、歯周病に関するテーマと合わせたブログでの情報発信にも余念がない。親しみやすい笑顔とわかりやすい言葉、歯科医療に対する真摯な姿勢が印象的な中島院長に、歯科医院の特徴や専門の歯周病について詳しく聞いた。
(取材日2024年8月29日)
歯間ブラシを活用し歯周病への根本アプローチをめざす
院長就任までのご経歴と経緯について教えてください。

東京歯科大学を卒業後、地元の大阪に戻り、3年間大阪府内の複数の歯科医院で歯周病を基盤とした総合歯科治療に取り組みました。歯科医師になって4年目になろうとする頃、大学の先輩で当医療法人の理事長からお声をかけていただいたことが院長就任のきっかけです。実は、院長就任前に、4ヵ月間海外の歯科医院を周りながら世界旅行をしていました。その関係で院長就任が8月になり、途中から参加させていただいたかたちです。僕は以前から、歯周病治療のスタンダードを確立したいと考えていて、大学卒業後からそのための取り組みをしていました。前職でも歯周病の治療をさせていただくことが条件でしたが、10年、20年と稼働している歯科医院で、新たな試みを導入するのはなかなか難しく、やはり一から取り組みたいという思いがありました。ちょうどその頃、理事長が「一から歯科医院をつくっていいよ」と言ってくださり、今に至ります。
先生の診療方針を実現できる歯科医院なのですね。
歯周病治療をベースとした一般の診療をしながら、専門的な治療や難しい治療に関しては、33ある佑健会グループの歯科医院と連携しています。連携によって、矯正歯科、インプラント、口腔外科など、各分野専門の歯科医師が対応することができるので、患者さんには安心していただけると思います。マイクロスコープ、歯科用CT、口腔内スキャナーなど、矯正歯科の先生にすぐに相談できるデジタルツールもそろえています。また、歯科医院のディスプレイなどは、患者さんに歯周病治療に興味を持っていただけるようなシステムにこだわっています。歯周病治療には、必要な機材はあまりありませんが、患者さんを導くための「導線」をスタッフと一緒につくっています。
こちらの歯周病治療の特徴を教えてください。

当院では、患者さんの口腔内の管理を僕がすべて行っています。一般的な歯科医院では、虫歯は歯科医師が、歯周病は歯科衛生士が担当するというケースが多いと思いますが、当院では僕がまず口の中の管理をしつつ、インプラントや矯正などの治療とコラボレーションします。歯周病に関しても、すべて僕が検査し、治療するというのが当院の診療方針ですね。日本には歯科医院の数が多いにもかかわらず、歯周病は増え続けています。ということは、歯科医師は歯周病をしっかり治療していないのではないかと思うわけです。予防歯科の重要性はよくいわれますが、歯茎にばい菌が着くと2日で炎症が始まります。ですから、もし本当に歯科医院で歯周病を予防しようと思ったら、2日に1度歯科医院に行く必要があるということになります。歯周病治療という観点では、患者さんに歯磨きの仕方を指導することも正しいアプローチと考えています。
叔父から学んだ「歯をなくさないことの大切さ」
先生が歯周病を専門に選ばれたきっかけは?

僕の叔父がインプラント治療の臨床教授で、歯周病をベースとしたインプラント治療に携わっています。今、インプラント歯周炎という病気が増えていて、社会問題にもなっていますよね。インプラントは歯周病の治療ではなく、欠損した歯を補うための治療です。つまり、歯がなくなった原因の根本を治療するものではないということですね。ですから、歯の磨き方がわからないままインプラント治療を行うと、誰もがインプラント歯周炎、つまり歯周病になってしまいます。僕は歯科医師になってすぐの頃から「歯を残すことがどれだけ大事か」という診療を叔父からずっと習ってきました。
診療で大切にしていることは何でしょう?
患者さんのお話をしっかり聞くことですね。大学を卒業すると、多くの歯科医師は虫歯治療の練習をしたり、インプラント治療の練習をしたりしますが、歯周病治療の練習はほとんどしません。なぜかというと、例えば虫歯の治療であればマネキンや歯科医師同士で練習できますが、歯周病は生活習慣病のように、患者さんと話をしてやり方を説明し、患者さんに通ってもらうことが大事になるからです。歯周病の治療は、通いやすい歯科医院づくりから始まっています。歯周病について練習機会もないまま歯科医師になってしまうと、歯科衛生士や患者さんに教えることもない。それが今の日本の歯科医療業界の課題ですし、そういったところを解決していきたいというのが僕のめざすところです。
歯周病治療は対話が大事なのですね。

歯周病治療は、歯科医院でクリーニングすることではありません。歯科医院で行う歯の掃除は予防歯科です。車で例えるなら、予防歯科は洗車、歯周病治療は車検です。大切なのは患者さんの歯茎を診て、何もないなら「何もありませんよ」と伝えること、それでいいのだと思います。開院から1ヵ月が経過しましたが、ご自身が歯周病だと自覚して来られる方はほとんどいらっしゃらないですね。歯間ブラシを通して血が出たら、それは歯周病の初期症状です。当院では、できるだけシンプルに「歯間ブラシも大切です。1週間続ければ血が止まることも望めますよ」とお伝えするようにしています。患者さんにわかる言葉で、医学的に正しいことを伝えることを大切にしています。
歯周病治療の第一歩は通いやすさとコミュニケーション
海外の歯科医院を見て回られたそうですが、海外と日本の歯科事情は異なりますか?

スウェーデンのように歯科医療費が安い国もありますが、基本的に欧米では保険外の自由診療になります。ですから、歯周病になると抜歯してしまうことが多いようですね。1回歯科医院に行くだけで数万円かかるので、何か気になるというだけでは歯科医院に行けませんし、神経の治療やかぶせ物の治療をするだけでインプラント治療と同じぐらいの費用がかかります。日本では気軽に歯科医院に行けて、歯周病のことや歯間ブラシの正しい使い方を教えてもらうことで改善も期待できます。ですから、歯科医院にアクセスしやすい日本の環境はとても良いと思いますね。日本人は歯に対する意識が低いといわれますが、それも歯科医療従事者が歯磨きを教えることで解決できるのではないかと思います。
先生は歯周病に関する情報発信にも尽力されているとか。
ブログで歯周病治療について情報発信しています。そこでも書いていますが、歯周病治療の根本は正しい歯磨きであり、そのためには歯間ブラシが必須です。なぜなら、歯周病は歯と歯の間、つまり歯間ブラシで磨くエリアから始まるからです。歯間ブラシが何かわからない、やり方がわからない、やってはいても使い方が間違っているなど、これまで僕が診てきた患者さんで、完璧にできている人はほとんどいません。当院では歯間ブラシの正しい使い方をその場でしっかり説明します。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯茎から出血の症状があったら、まずは歯科医院へ足を運んでください。「何が歯周病治療の軸になるのか」に興味がある方もぜひ来てください。歯間ブラシは歯周病治療に絶対に必要なものですが、使ったことがない人もいると思います。40代、50代になると、おそらく歯周病の症状が出ていると思いますので、歯間ブラシを使ったことのない人は一度話を聞きに来ていただきたいと思います。歯科医院は気楽に来てもらえる雰囲気が大切だと思っているので、居心地の良い空間で歯磨きの話を聞く中、患者さんがお口の中に関心を持ち、健康観が高まってくれたらいいですね。正しい歯磨きの確立を最優先にしているので、いきなり治療を始めるということはありません。思い立ったら歯周病のことを聞きに来てもらえる、そんな通いやすい歯科医院をめざしていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/125万9000円~、インプラント治療/52万2100円~