身体機能の維持と回復をめざす
短時間型通所リハビリテーション
いわくらクリニック
(丹波篠山市/篠山口駅)
最終更新日:2025/08/04


- 保険診療
通所リハビリテーションは、「通所リハ」「デイケア」とも呼ばれる介護保険サービスの一つ。急性期リハビリを終えた後、介護老人保健施設、病院、診療所などに併設された施設に通い、身体機能の維持と向上を目的としたトレーニングに取り組む。高齢者が自立した日常生活を送るための重要なアプローチだ。中でも短い時間で効率的にリハビリが受けられ、生活機能の向上や維持が期待できるのが、短時間型の通所リハビリだ。2025年7月から短時間型通所リハビリをスタートさせた「いわくらクリニック」の岩倉亮院長は、自身のアスリート経験から、高齢者の生活シーンを試合に例え、動くための準備ができる環境づくりに力を尽くす。「楽しく」をコンセプトに工夫を凝らす同院の通所リハビリの流れをレポートした。
(取材日2025年7月15日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q短時間型通所リハビリの概要を教えてください。
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A
短時間型通所リハビリでは、運動機能を高め、より生活しやすい体づくりを目標に、約1~2時間リハビリを行います。対象となるのは、要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている方ですが、当院では、比較的介護度が低い方を対象にしています。要支援の方は週に1回、要介護の方は週2回が通所の目安。個別リハビリを取り入れ、個々の身体の状態に合わせたトレーニングを考案し、トレーナーとマンツーマンでリハビリを行います。短時間でリハビリだけ受けたい、退院後もリハビリを継続したい、医療保険の外来リハビリが終了になった、自分の体の状態を専門家に見てもらいリハビリを受けたいという方にお勧めです。
- Qこちらのクリニックで行う通所リハビリの特徴は何でしょう?
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A
当院には、マシンを使ったトレーニングとストレッチをはじめさまざまな運動ができる2つのリハビリ室があります。特徴的なのは、ロープ上を歩くアクティビティを用いて転倒予防のバランストレーニングを導入していること。不安定な状態の中で運動を促すと刺激が入り、転倒防止につながると考えています。また、生活に近い状態でリハビリに取り組めるよう、ストレッチを行う部屋には床に人工芝を敷いています。負荷をかけないストレッチマシンは、力のない高齢者からアスリートまで幅広く使っていただいています。「自ら体を動かして機能を高める」をコンセプトに、皆さんのモチベーションを上げるための環境づくりに注力しています。
- Q通所リハビリの重要性について教えてください。
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A
一般的に、整形外科疾患の運動器リハビリは150日が上限とされていますが、そこでリハビリを終えることができる人は少ないため、介護保険を使ったリハビリが大事になります。生きている限り、人はずっと動き続けなければいけないですから、リハビリのような運動の継続は重要です。しかし、「家でリハビリしてくださいね」と言ってもなかなかできないですから、医療者側がリハビリできる環境をつくる必要があります。高齢の方は、少し洗濯物が高いところに干せればうれしいですし、脚立に乗れれば喜び、低い作業のためにしゃがめれば作業が楽しい。そのちょっとした喜びを得るために、年齢を重ねても運動し続けることが大切です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1申込
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担当のケアマネジャーに通所リハビリに通いたい旨の要望を出し、クリニックへ連絡してもらう。実際に施設を確認したい場合は事前に見学へ出向く。その後、利用者、ケアマネジャー、クリニックスタッフで打ち合わせを行い、医師とトレーナーがリハビリに通う目的や具体的な進め方を決め、利用計画を作成。利用者からの同意を得れば、リハビリの内容や利用時の服装、履物などの注意事項なども含めた説明を受ける。
- 2診察と健康チェック
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リハビリの利用計画を作成する際には、同院では日本整形外科学会整形外科専門医が利用者の診断を行う。高齢者の場合、既往症を持っている人が多いため、リハビリ中に急変が起こらないよう事前の確認が重要。過去に罹患した病気やケガは忘れずに伝えよう。リハビリ開始前には、毎回、血圧や体温を測り、ヒアリングでその日の体調をチェックする。発熱や体調不良時の利用は避けることを心がけたい。
- 3個別リハビリ
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担当のトレーナーとマンツーマンで個別プログラムを実施。ベッド上でのリハビリやストレッチを促す施術は、クリニックだからこそできる対応の一つ。それぞれの体の状態に合わせたトレーニングをトレーナーとともに行った後、集団リハビリに移る。所要時間は10分~15分。その日の状況によって、個別リハビリと集団リハビリが前後することも。
- 4集団リハビリ
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1人のトレーナーが約10人を担当し、ストレッチやマシントレーニングを使ったサーキットトレーニングなどを行う。具体的には、筋肉増強のための筋トレマシンや柔軟性の向上を図るストレッチマシンを用いた運動、バランストレーニングなどが、スタッフ指導のもと実施される。トレーニング中は、介護士や看護師など補助スタッフが見守りや声かけなどのサポートを行うため、安心して取り組むことができる。
- 5リハビリ以外のレクリエーション
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リハビリ以外にも「楽しむ」ことを目的としたレクリエーションを実施。ボールを使ったゲームやコーンを用いたコースづくりなど、運動ではあるけれど「遊び」の要素が含まれた内容になっている。スタッフと一緒に体操するなどにぎやかな雰囲気の中で行われ、楽しみながらリハビリに取り組むことができる。また、社会交流のきっかけになるという一面も。すべてのメニューを終えた後は、約15分で帰宅準備を行う。