岩倉 亮 院長の独自取材記事
いわくらクリニック
(丹波篠山市/篠山口駅)
最終更新日:2025/07/15

篠山城跡近くの住宅街にたたずむ「いわくらクリニック」。院長の岩倉亮先生は、サッカーチームのチームドクターを務めた経験を持つ、整形外科のドクターだ。「一日でも早くピッチに立ちたい」と願う選手たちの姿を間近で見続け、早期回復をめざしてきた岩倉先生。そのまなざしは今、一般の患者にも同様に向けられている。「いつまでも健康に笑顔で過ごせるように」をモットーとする岩倉院長は、院内に整形外科と精神科を併設し、患者が前向きな気持ちで治療に取り組めるよう導いてきた。自身の地元・丹波地域へ恩返しをしたいという思いを胸に、身体と心の両面から地域住民を支える岩倉院長に、開業への思いや診療にかける意気込みを聞いた。
(取材日2025年6月28日)
患者の「治したい」に寄り添い、身体と心の双方を診る
こちらで開業されたきっかけを教えてください。

私の地元が隣の丹波市でして、この地域の方々に医療で貢献したいという思いがあったんです。ささやま医療センターにも約5年勤めていましたので、丹波篠山、丹波地域で開業しようと以前から決めていました。診療では、勤務医時代に培った「患者さんとしっかり向き合って治療を行う姿勢」を大切にしてきました。例えば、診察中は整形外科以外のことであっても、できる限りお話を丁寧にお聞きするよう心がけています。その他にも、車社会の地域性を考慮して駐車場は30台近く確保しました。80、90歳でも車で来院される方が多いので、通いやすい環境づくりも大切にしています。
サッカーチームのチームドクターもご経験されたそうですね。
はい。サッカーチームのチームドクターを務めさせていただき、選手たちの試合にかける情熱を目の当たりにしてきました。ケガをした選手たちの「一分でも早くピッチに立ちたい」という思いに応えようと研鑽を積んできた経験が、今の診療にも生かされていると思います。実は私自身も、小学生の頃からずっと野球とサッカー両方に熱中する日々を過ごし、大学では競技スキー部に在籍していたんです。さらに、兵庫県サッカー協会医科学委員として、高校サッカーやフットサルの大会でドクターを勤めたり、海外の試合にも帯同してきました。ですので、早期回復を願う人たちの気持ちは痛いほどわかるのです。
整形外科と精神科を併設した理由を教えてください。

この地域には精神科のクリニックが少なく、気軽に通える場所がありません。妻は丹波市の精神科病院で長年勤めていた経験もあり、この地域の患者さんの助けになればという思いがありました。実際、身体に痛みがあると気持ちが落ち込むことも多いですし、精神科に通われている方も身体の痛みを訴えることがあります。実際に、当院でも両方の科を受診する患者さんは少なくありません。身体と心の両面から、地域の方々の健康をサポートしていきたいですね。
きめ細かなリハビリで、患者の健康と笑顔を守りたい
MRI導入にこだわった理由を教えてください。

症状の中には、診察とエックス線だけではどうしても判断しがたいケースがあるからです。例えば、一般的にMRIの撮影を別の施設に依頼する場合、結果が出るまで1~2週間かかることもあります。ですが、自分の医院に設備があれば、すぐに撮影し結果を確認できますよね。その日の内に原因がわかれば患者さんも安心できると思いますし、治療も早く始められるのではないでしょうか。スポーツ選手ではなく、例えば農作業をされている方々であっても「できるだけ早く元の生活に戻りたい」と考えるはずです。早期診断・早期治療・早期回復をめざすために、MRIは欠かせない設備だと考えています。
リハビリテーションを行う上で、大切にしていることは何ですか?
患者さんが「いつまでも健康に笑顔で過ごせるように」という思いです。当院では、理学療法士と密に連携して、一人ひとりベッドサイドで進捗を確認しながら、改善点などを相談するようにしています。また、月1回の勉強会も実施し、チーム全体のレベルアップを図ってきました。そして何より重要なのは、診療が一区切りついても、患者さんがご自分で運動を継続できること。通院する必要がないことが一番だと思いますので、ご自宅でできる運動指導にも力を入れています。また、今年の7月にはデイケアも始まりますので、医療保険で期限が切れた方も継続的にリハビリを受けられるようにしていきたいですね。
診療で心がけていることは何ですか?

患者さんの治療へのモチベーションを維持すること大事だと考えています。リハビリの継続は機能改善につながると考えていますので、患者さんの気持ちに寄り添った治療方針の提案を心がけています。そして、もう一つは、この地域の生活リズムに合わせて診療する、ということです。この地域は黒豆が有名で、植える時期になると腰痛の方が増え、田植えの時期にも患者さんが多くなります。収穫時期は忙しくて来院が減りますが、終わるとまた増える。そんな地域の人たちのリズムがあるんです。年齢とともに身体の機能は衰えますが、なるべく落とさないように、むしろ高められるように診療にあたっています。
運動やスポーツによる健康づくりで、地域活性化に挑戦
スタッフ体制についてはどんなことを重視していますか?

スタッフたちの働きやすい環境づくりを大切にしています。受付、外来、リハビリテーションの各部署で、人員を多めに採用しています。また、子育て世代のスタッフも多いので、誰かが休んでも、みんなでカバーし合える体制を整え、患者さんに質の高い診療として還元できるよう心がけています。また、理学療法士との連携も強固です。こちらがリハビリのメニューを提案したり、逆に理学療法士から意見をもらったりなど、相互にアイデアを出し合うようにしています。月1回の勉強会では、症例検討や新しい治療法についても学んでいますよ。一人でできることは限られていますから、チーム医療でより良い診療を提供できるよう心がけています。複数の専門家が関わることは、患者さんにとっても安心感につながるのではないでしょうか。
今後の展望について教えてください。
どの世代にもリハビリを提供できるようにしていきたいです。今後は治療としてのリハビリテーションだけでなく、運動機能をさらに高めることを目的としたリハビリテーションを行っていければと考えています。そして将来的な夢として、丹波篠山の地域でもっとスポーツ環境を充実させたいという思いがあります。医師として地域の健康づくりに貢献することはもちろん、子どもたちが運動できる環境づくりにも取り組みたいです。そして、スポーツを通じた地域活性化にも役立てたらうれしいですね。一歩ずつ、地域のニーズに応えながら取り組んでいきます。
最後に地域の皆さんへメッセージをお願いします。

先ほどもお話ししたように、患者さんにとっては医療機関を受診する必要がなくなることが一番だと考えています。もし、それによって当院の患者さんが減ってしまったとしても、「あそこに通ったらきっと良くなる」と思っていただけるクリニックでありたいですね。これからも、当院を受診してくださる患者さんの信頼に応えられるよう、力を尽くしていこうと思います。地域の皆さんが、できるだけ長く自分の足で歩き、笑顔で過ごせるようサポートしてまいりますので、何かありましたら、お気軽にご相談ください。