長尾 竜兵 院長の独自取材記事
下北沢小児科・アレルギークリニック
(世田谷区/下北沢駅)
最終更新日:2024/09/02

下北沢駅からすぐの場所にある、ビルの3階に開院した「下北沢小児科・アレルギークリニック」。院内に足を踏み入れると、優しいパステルカラーの空間がやすらぎを与えてくれるようだ。「お子さんも、ママもパパも気持ちが和らぐ。そんな場所にしたかったんです」と頬を緩めるのは長尾竜兵院長。東京医科大学の小児科医局に所属し、大学病院や専門病院で20年以上臨床に従事したドクターだ。日本小児科学会小児科専門医の資格を持つほか、日本アレルギー学会アレルギー専門医としてアレルギーの診療にも力を入れていくという。「通ってくださる皆さんと一緒にクリニックを育てていきたい」と語る長尾院長に、今後の展望を聞いた。
(取材日2024年7月24日/情報更新日2024年9月2日)
とにかく子どもが大好き。その笑顔を支える拠点へ
新規開院のきっかけを教えてください。

とにかく子どもが大好きで、子どもに関われる職業につきたいと思い、小児科専門の医師としての道を歩んできました。東京医科大学病院小児科に所属し、大学病院や専門病院での勤務経験が20年を越えた頃でしょうか、徐々に教育や病院運営といった患者さんに向き合う以外の時間が増え、自身の本当にやりたいことを再考する機会が増えたのです。その時、子どもたちにとって最も良い医療を提供し、彼らが元気に笑う姿を近くで見守ることこそ自分のやりたいことだと実感し、クリニックの立ち上げを考えました。開院にあたっては西新宿の東京医科大学病院との連携を考えていたのですが、新宿へのアクセスが良い下北沢駅に絶好の物件が見つかり、ここを選びました。若者が集まり再開発も進む活気ある町ですし、今から診療するのが楽しみです。
クリニックの設計ではどのような点にこだわられましたか。
感染者と非感染者の院内動線を分けることを徹底しました。「予防接種や健診で病院に行ったのに、風邪をもらってしまった」ということは、子育て中の親御さんなら誰もが経験することではないでしょうか。しかし、できれば避けたいことでもありますよね。当院では入り口も診察室も2つずつ設け、エレベーターを降りたところからエリアが分かれるので安心してご来院いただけると思います。また、14時から15時半まではクリーンタイムとし、乳児健診や予防接種、アレルギー相談のみに限定して非感染者だけを受け入れます。病院では小児科科長として院内感染対策に取り組み、空気清浄機などの対策機器の選定にも関わりましたから、こうした経験も生かせたのではと感じています。内装は子どもたちが楽しく通えることに加え、付き添う大人もリラックスできる空間を意識しました。
診療上の特徴を教えてください。

小児科一般の診療と乳児健診・予防接種に加え、アレルギーの診療にも力を入れていこうと考えています。また、小児の耳鼻咽喉科・皮膚科の関連症状についても丁寧に診ていきたいですね。特に鼻水・鼻詰まり・皮膚トラブルなどは子どもにとても多い症状である一方で、どの診療科を受診したら良いか迷われる方も多いですよね。その点、当院では小児耳鼻咽喉科と小児皮膚科にも対応できますし、耳鏡などの機器も用意して幅広い症状に応じられる体制を整えていますので、困ったときにまずご来院いただけたら。もちろん必要に応じて専門の先生方にもおつなぎします。地域の小児医療の窓口的な存在になりたいですね。治療においては私からもご提案をしますが、一方的に押しつけるようなことはしない方針です。普段多くお子さんと接するママだけでなく、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんも一緒になって、ご家族で話し合って決めていただくのが理想と考えています。
親が気づきにくい症状に配慮
子どもの症状の中でも、特に注意が必要なものはありますか?

一つは夜尿症ですね。夜尿症は何歳頃に受診すべきかわからず、先送りにする人が多いようです。中には病気が隠れていることもあるので、小学校入学後もおねしょが止まらなければ一度ご相談ください。そのほか、便秘についてはいわゆる「隠れ便秘」に要注意です。トイレの回数には問題がないのに、突然おなかが痛くなり泣き出してしまい「盲腸などでは?」と親御さんが慌てるケースは少なくありません。でも、その原因が便秘だったということが非常に多いのです。なかなか気づきにくい部分ですが、時折お子さんの排便状況を確認してあげることが大切でしょう。また、ワクチンや乳幼児健診はタイミングや受診場所が複雑で把握しきれず困っていらっしゃる方も。そんなときのスケジュール管理もしっかりサポートしたいです。特にワクチンは種類が複数あるのでメリットとデメリットをご説明し、親御さんに選んでいただくよう心がけています。
アレルギーの診療についても詳しく教えてください。
日本アレルギー学会アレルギー専門医として、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎の診療に注力するつもりです。アレルギー症状に悩むお子さんは今増えていて、これまでの診療から特に初診時の問診とカウンセリングが大切と実感しています。ですので、当院では専用の枠を設けて、1組15分程度としっかり時間をかけて対応していきたいです。また、症状の背景にある要因を探るには、生活環境や食生活、家族歴などを丁寧にヒアリングするほか、治療の方針や薬の使い方などもきちんと説明しなければなりません。例えば、アトピー性皮膚炎に使うステロイド軟こうは、使い方さえ間違えなければ有用な薬です。しかし、人のうわさやネットなどの情報から「良くないらしい」と自己判断で使用を中断してしまうケースが多々あります。そうしたことを避けるためにも、専用枠をご活用いただきたいですね。
アレルギーの検査も受けられるのですか?

はい。血液検査や皮膚に少量のアレルゲンを入れて反応を見るプリックテストなど、さまざまな検査に対応します。食物アレルギーの経口負荷試験は、東京医科大学病院とも連携し、しっかりとリスク対策された環境で受けていただけるようにしています。また、スギ花粉とハウスダストに関しては、20分程度で結果がわかる迅速検査も行い、その日のうちに舌下免疫療法を開始することができます。これらの検査と治療は、お子さんだけでなくご家族も一緒に受けていただけますよ。アレルギーは親子で共通しているケースも多いので、家族で取り組めばお子さんも自然と治療を受け入れ、続けやすくなるのではと考えています。
大変な育児だから一人で抱え込まず、楽しんでほしい
やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか。

やはり子どもが笑顔を見せてくれた時ですね。無邪気な笑顔は本当にかわいらしいですし、絵や折り紙などのプレゼントもうれしく思っています。ここでの治療やアドバイスが症状の改善につながれば心からうれしいですし、いつも泣いてしまう子が泣かずに診療を受けられたなら、信頼してくれたのかなと感じます。小児科の医師として、子どもたちと良い関係性を築くことは大切ですから、どんなに小さな赤ちゃんでもしっかりと話しかけ、親御さんとのコミュニケーションのみで診療を終わらせないようにしたいですね。
今後の展望を教えてください。
かかりつけ医として地域に根差し、困ったことがあれば気軽に相談できるクリニックが理想です。幸い、看護師や事務スタッフも人柄の良いメンバーがそろいましたから、下北沢エリアの親子をお迎えできることを楽しみにしています。スタッフに関しては、経験や能力はもちろんですが、何より「患者さんと優しく接してくれるかな」という点を重視しました。お気づきの点があれば気軽にお声がけください。受診される皆さんと一緒にこのクリニックをつくっていきたいですね。
読者にメッセージをお願いします。

まずは子育てを楽しんでください。育児は大変なこともあり、責任感の強い方ほど「この子のために!」と一生懸命になりがちですが、決して一人で抱え込むべきではありません。必要なサポートがあれば提供しますので気軽にご来院いただけたら。また当院では、ウェブ予約やウェブ問診による院内での待ち時間短縮にも力を入れ、受診しやすい環境を整えました。育児のスタート地点から始まる悩みや不安にお応えするのに加え、近年頻繁に制度が変わり複雑になりつつある予防接種のスケジューリングなどもお手伝いできます。お子さんだけでなく子育てに関わるママ・パパをサポートするのも小児科医師の役目です。ぜひ気軽にご相談ください。