松浦 健司 院長の独自取材記事
まつうら整形・肩肘 スポーツクリニック
(堺市西区/鳳駅)
最終更新日:2024/10/09

阪和線の鳳駅から歩いて10分。堺市西区役所の向かいにあるクリニックビルの2階にて、2024年7月から診療をスタートさせたのが「まつうら整形・肩肘 スポーツクリニック」だ。クリニック名に冠された専門的診療を展開しながらも、地域かかりつけの整形外科として幅広い層を対象に親身な診断・治療を提供する。院長を務めるのは、長年にわたって病院での経験を重ねてきた医学博士の松浦健司先生。「胸の名札はスタッフの手作りで、ロゴマークは妻のデザインなんです」と目を細めて話す、そのにこやかな表情に気さくで優しい人柄がにじみ出る。どのような気持ちで開業医としての新たな方向にかじを切ったのか、クリニックの特徴や患者に寄せる思いを含めてじっくり聞いてみた。
(取材日2024年8月26日)
専門性を追求しつつ、地域のかかりつけ医の役割も担う
ちょっぴり南欧を思わせるすてきな雰囲気の院内ですね。

部屋の配置や内装は、主に妻が考案したものです。木材や石材の質感を生かした明るくナチュラルな雰囲気で、患者さんが落ち着いてくつろげる空間をコンセプトにしています。待合にはソファーのほか、コンセントつきのカウンターも設置。中でもトイレにはこだわり、車いすのまま入れるトイレと女性専用の2つを用意しました。すでに「居心地が良い」というお声を多数いただいており、何よりと感じています。診察室は2つあり、点滴や採血をゆったりと受けられる処置室、エックス線検査室、広いリハビリテーションスペースなどを配置。また、骨密度測定装置やエコー、低周波治療器など、整形外科で重要となる機器は一通りそろえました。
先生は病院勤務が長いそうですが、ご開業までの経緯を教えてください。
私は鹿児島大学医学部を卒業後、大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部附属病院の整形外科に入局。以来、さまざまな病院で30年以上も臨床や研究に携わってきました。その中で専門としていたのが肩や肘の関節鏡手術でしたが、手術へと至る前にもっとできることがあったのではと考えるうちに開業という2文字が頭をよぎるようになりました。私の背中を押してくれたのは、最終勤務先である清恵会病院において開業後も執刀をさせてもらえるというお話でした。また、このビルの同じフロアで先に開業された前田脳神経外科クリニックの前田院長にお会いし、連携が実現したことも大きな原動力となりました。同院にはCTやMRI装置もありますから、病院に近い環境で診療を行えることは患者さんにとっても大きなメリットといえるでしょう。
こちらの診療の特徴を教えてください。

クリニック名にもあるとおり、肩と肘、スポーツに伴う外傷や障害は得意分野です。ただしそれだけに限定しているわけではなく、腰や膝の痛みといったあらゆる整形外科の症状に対応します。診療面での当院の特徴は、まずエコーを最大限に活用すること。平面写真ではわからない関節の動きをリアルタイムで観察でき、診断にも治療にも非常に有用な上、被ばくがなく患者さんの負担が少ないこともメリットですね。もう一つの特徴は、熟練した理学療法士によるリハビリテーションです。診察室のすぐ後ろに広いスペースがあり、診療と一貫して行っているところが当院のリハビリテーションの特徴です。理学療法や運動療法のほか、物理療法の設備や酸素ルームがあり、理学療法士も増員する予定なのでぜひ期待してください。
熱い思いと冷静な判断で患者をサポートしていく
スポーツ整形外科に注力されていますね。

はい。スポーツに伴う外傷や障害に対し、一人ひとりに合った治療を責任を持って行っています。肩や肘に関していえば、まず筆頭に挙がるのが野球。不適切な投球フォームやコンディション不良から野球肘やリトルリーガーズショルダーなどの障害を起こす学童が多いのですが、小学生のうちはスポーツの楽しさを知ってほしい時期。つらい時間を少しでも減らし、スポーツに関わって良かったと思える時間を増やすことが私の新たな目標です。世間では成功者ばかりがもてはやされがちですが、むしろその陰で頑張っていた子に私は強いシンパシーを感じますね。頑張ったことは、きっと人生のプラスになるでしょう。できればずっとスポーツに関われるよう、なんとかサポートしてあげたいという思いで日々の診療に取り組んでいます。
時には難しい判断を迫られることもあるのでは?
「HOT&COOL=熱い思いと冷静な判断」。それが当院の理念です。大切な試合や大会になんとか間に合わせたいなど、患者さんに「治りたい」という熱い思いがあれば、こちらも自然と熱くなります。親御さんやコーチなど周囲の大人たちにも同じ思いがあるわけで、それに応える治療を一緒に考えていきましょうというのがHOTな部分。ただし状況次第では、やはり無理なものは無理。冷静な判断が求められるケースもあるわけで、場合によってはCOOLに次の目標を再設定してあげることも必要となるでしょう。優しく、また冷静さを欠くことなく、患者さんを支えるパワーと情熱の火を持ち続けること。それはスポーツに限ったことではなく、一般の整形外科診療においても何ら変わりません。
診療時に心がけていることがあれば教えてください。

患者さんの話をよく聞くことです。病院時代は横を向いてパソコンのキーボードを打ちながらの診察でした。今はスタッフが電子カルテの入力までしてくれますから、患者さんにしっかりと向き合いながら話せる時間がすごく増えました。これも開業して良かったと思えることの一つですね。おかげで診察室から笑い声ばかり聞こえるとよく言われます。忘れてはならないのは、スタッフたちがみんな私と同じ気持ちで患者さんに向き合ってくれていることです。お待たせする時間が長くなってしまった場合も、「お待たせしてしまってすみません」と、きちんと言葉にして言えるのは立派なことだと思います。まずはしっかりとした診療があってのことですが、こうした接遇面でも喜んでいただけるよう頑張っていきたいと考えています。
患者の「治りたい」という強い気持ちに全力で応えたい
先生が医師をめざした理由は? また、なぜ整形外科を選ばれたのですか?

私は四国の出身で、高校まで徳島で過ごしました。父が外科の医師で、一時は反発していた時期もありましたが、結果的には勉強を頑張って鹿児島大学の医学部へ進むことになりました。整形外科を選んだのは、学生時代からの希望でした。整形外科の魅力はたくさんありますが、一番は他科に比べると患者さんが元気で話していて楽しいこと。健康な人の後押しをしていける点でも整形外科に入って本当に良かったと思いますね。ちなみに大学時代はラグビーをやっていて、つい数年前までは日曜にドクターチームの練習に参加していました。健康であれば誰でもいろんなことにチャレンジできます。父は90歳を過ぎていまだに診療を続けていますし、私もできるだけ若々しくありたいと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。
目下のテーマは、やはり待ち時間を少しでも減らすことですね。正直なところ、病院にいた頃は患者さんを待たせることにさほど罪悪感を抱いていませんでした。しかし、開業した今はすべてが自分の責任です。しっかりと診療して説明しようとするとどうしても時間がかかってしまいますが、待ち時間はなるべく短く、診療は時間をかけて丁寧にというのが理想です。ウェブ予約受付の導入や待合スペースに順番パネルを設置するといった工夫はしていますが。SNSなどを活用すればもっとうまく回せるかもしれません。そこは今後の課題です。幸い、オープニング時から気の利いたスタッフが集まってくれました。妻も看護師として常勤してくれています。整形外科にはチームワークが欠かせませんから、こんな私についてきてくれて深く感謝しています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

整形外科の病気というのは、やはり患者さんの「治りたい」という気持ちが何より大切です。どうでもいいと適当に考えるのではなく、ぜひとも治したい、いつまでにどうしても治したいという強い意志を持つことが良い結果につながるでしょう。そうした熱い思いを持ってお越しいただければ、私たちも全力でお応えいたします。ちょっとした痛みなど、気になる症状があれば些細なことであっても一人で悩まずに何なりとご相談ください。肩や肘、スポーツのことを得意としていますが、それ以外の腰や膝、首の痛み、骨粗しょう症に関するご相談などについても、気軽にお問い合わせいただければ幸いです。