蓬臺 優一 院長の独自取材記事
糖尿病・内分泌 内科クリニックTOSAKI かりや
(刈谷市/富士松駅)
最終更新日:2024/10/09
2024年7月開業の「糖尿病・内分泌 内科クリニックTOSAKI かりや」。52台分の大きな駐車場を備えるほか、名鉄バスの井ケ谷口停留所からは徒歩5分。また、乗り合い送迎サービス「チョイソコかりや」の停留所が同院の玄関前に設置され、車で通えない患者にとって通いやすい環境が整っている。クリニックらしからぬモダンでシンプルな外観の建物の中に入ると、まるでホテルのロビーのような広々とした居心地の良い空間が広がっている。「長い通院が必要になることの多い慢性疾患の通院へのハードルを少しでも下げたかった」と言うのは院長の蓬臺優一(ほうだい・ゆういち)先生。気さくでやわらかな雰囲気の蓬臺院長に開業の経緯や今後の展望などを聞いた。
(取材日2024年9月9日)
リラックスして通院継続できる環境づくりに尽力
まずは開業の経緯を教えてください。
天白区で戸崎貴博先生が2011年に開業した糖尿病と甲状腺疾患の専門クリニック「糖尿病・内分泌 内科クリニックTOSAKI 」の刈谷院をお任せいただいたというかたちです。理事長の戸崎先生とは8年ぐらい前からの知り合いで、先生の患者さんに対する想いや、開業医でありつつも、臨床・研究などにも積極的に取り組まれている姿勢やその人柄に惹かれていました。以前から、将来的には開業して自分のクリニックを持つということも考えていたのですが、このクリニックの在り方と自分のやりたいことが一致していたこともあり、院長を務めさせていただけることになりました。このエリアはこれまで糖尿病を専門に診るクリニックが少なかったので、日本糖尿病学会糖尿病専門医として、少しでも地域の皆さまのお役に立てればと思っています。
どのような患者さんが多くいらっしゃるのですか?
やはり、糖尿病をお持ちの方、健診で糖尿病疑いになった人が多いですね。次に多いのは、首の腫れが気になるなどで来院される甲状腺疾患の方でしょうか。一般内科も対応しているので、少し前に来た新型コロナウイルス感染症の第10波の影響を受け、発熱患者さんのご来院も多かったですね。年齢層もさまざまで、下は10代から上は90代まで多くの方がいらっしゃいます。この辺りは、ご高齢の方も多いエリアですが、企業もたくさんあるので、働き世代の方のお役にも立っていけたらいいなと思っています。
外観がおしゃれで、院内もまるでホテルのような雰囲気ですね。クリニックづくりでこだわったポイントは?
ホテルのロビーのような、いい意味で「病院らしくないクリニック」をめざしました。当院は慢性疾患を専門にしているので、長期にわたって通院される可能性の高い患者さんが多くいらっしゃいます。治療中断となると、将来的な合併症や悪化につながるので通院は継続してほしい。そのために、できる限り負担のない通院環境をご提供したいと思いました。ここに来たらリラックスできる、そんなふうに思っていただけたらうれしいです。天白区の本院と同じく、1階には給茶機があり、コーヒー、紅茶、緑茶、お水も無料で飲んでいただけます。雑誌などもご用意して、待ち時間が苦痛にならないよう配慮しています。あとは、混雑時に、駐車場待ちが発生しないように、大きな駐車場を完備し、院内で患者さんが動きやすいような動線も意識しました。本院で改善したほうがいいと思った部分なども、こちらの刈谷院にはいろいろ反映されていると思います。
対話を重ねることを大切に、信頼関係を紡ぐ
こちらでは「心理的待ち時間を減らす」という取り組みをされているそうですね。
はい、そうなんです。診療室の中では話しにくいこともあるでしょうし、医師である私にはなかなか言い出しにくいこともあると思います。そこで、当院ではスタッフと話をしてもらう時間を設けています。1分程度と短い時間なのですが、例えば今日のテーマは「果物について」などテーマを決めて、栄養士と話をする。看護師とも1テーマ設けて話をしてもらう。テーマに沿った話から、少しずつ話が広がり、ぽろりと本音がこぼれることも。待ち時間が減ると同時に、スタッフと患者さんの間での信頼関係構築の時間になればと思っています。
診療にあたり大切にされていることを教えてください。
私自身が一番心がけているのは、患者さんを自分の家族を診るように診察するということで、どんな時も最善を尽くして接することを忘れないようにしたいと思っています。糖尿病の治療に「絶対」はありません。どの薬剤をどのような順番で選択していくかはケースバイケースで、性別、食事、運動習慣など生活背景、趣味嗜好、ご職業まで考慮したオーダーメイドの治療が大切です。だからこそ、患者さんとの対話が大切になるので、何か聞きたいことがあった時に気軽に聞けるような雰囲気づくりや関係性を大切にしています。難しい専門用語ではなく、わかりやすい言葉で日常に即して伝えることも心がけています。信頼関係というのはなかなかすぐに結ばれるものではないので、長く通っていただく中で少しずつ話も深掘りしながら寄り添っていけたらと思います。
こちらのクリニックならではの取り組み、特色などあれば教えてください。
当院では、食事療法は重要な治療の柱と考え、特に力を入れています。3~4人の管理栄養士が常駐し、当日の栄養相談もすぐに対応が可能です。キッチンを併設して、月に1回の集団栄養相談も行っています。毎月テーマを決めて、実際にその場で作ったメニューを目で見て、食べて実感してもらうようにしています。例えば来月のテーマは「一汁三菜」。そのテーマに合ったお食事を作ります。話を聞くだけではなかなか実際の味つけや献立をイメージできない方でも、食べながら話を聞いてもらうことで、受け入れやすくなるのではと思っています。また、専門クリニックの強みとしては、通常は入院して導入することが多いインスリンポンプとSAP療法、どちらにも外来で対応可能な点があります。あとは、検査結果を当日中にお伝えできる体制があるので、通院負担をできる限り軽減していることなども強みの一つですね。
他科との連携も大切にトータルに患者の健康を支える
現在力を入れて取り組んでいることはありますか?
医療もサービス業としての側面があると思っているので、Quality(クオリティー)・Service(サービス)・Cleanliness(クレンリネス)の「QSC」をスタッフ一同大切に、笑顔で対応することをいつも心がけています。また、糖尿病のアドボカシー活動にも積極的に取り組んでいます。「糖尿病」という名前は、あまりいい印象を持っていない方が少なくありません。「生活習慣病」という呼び方もあるので、糖尿病を患う方=生活習慣が乱れている人などの誤ったマイナスイメージが流布している部分もあります。そういったことが通院の妨げになり、患者さんの自己イメージを下げてしまっている場合もあるので、最近では病名を変えようという動きもあるのです。当院もそういったマイナスイメージの払拭と、正しい知識の啓発に積極的に関わっていきたいと考えています。
今後の展望をお聞かせください。
当院はすぐ近くに歯科と眼科のクリニックがあり、連携がしやすい環境があります。糖尿病と歯周病には密接な関係があり、医科歯科連携を組んで早期発見・早期治療をすることは重症化の予防にもとても大切です。また、目も糖尿病網膜症など合併症が出やすい部分ですので、連携は欠かせません。糖尿病の治療に欠かせない歯科と眼科がすぐ近くにあり連携していけるということは、通院面で患者さんの負担を減らすことにもつながる当院の強みであると思いますので、今後も連携を強化していきたいと思っています。また、睡眠時無呼吸症候群の治療にも力を入れていますので、そのあたりのご相談も積極的に受けていけたらと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。
内分泌や糖尿病など私自身の専門分野の症状はもちろん、そうでない症状でお悩みの方にも、まずは気軽に相談いただける地域のかかりつけクリニックでありたいと思っています。必要があれば、適切な専門の医療機関への紹介も行います。患者さんが「ここにかかって良かった」と安心して来院できる場として地域に根差していきたいと思っていますので、何かお困り事がありましたら遠慮なくご来院ください。