笹川 敦大 院長の独自取材記事
日和が丘デンタルクリニック
(新潟市西区/寺尾駅)
最終更新日:2024/11/11

新潟市西区寺尾台、日和が丘バス停で下車して目の前に見えるのが「日和が丘デンタルクリニック」だ。専門分野を絞らず、幅広い年代のさまざまな症状への対応をめざす同クリニック。院内は土足で入れるバリアフリー設計で、足の悪い人やベビーカーでも負担なく来院できる。広めの診療室には子どもが自由にできるスペースを確保しているので、親やきょうだいが受診している間も退屈せず待てそうだ。院長を務めるのは、柔和な雰囲気で患者にもスタッフにも慕われている笹川敦大(あつお)先生。「お母さんのおなかにいる時からご高齢になるまで、長くお付き合いができたらうれしいです」と語る。治療では患者のライフスタイルに合わせた無理なく続けられる方法を提案しているという笹川院長に、診療のモットーや力を入れている予防歯科について話を聞いた。
(取材日2024年7月31日)
患者の生活スタイルに合わせた、継続可能な予防歯科を
今年7月に開業されたばかりとのことですが、こちらはどのようなクリニックなのでしょう。

生まれる前の状態、つまり妊婦さんからご高齢の方まで、幅広い年代の患者さんのライフステージに合わせた診療をめざしているクリニックです。社会人でも受診しやすいように土曜の午後にも診療時間を設けていますし、バリアフリー設計の院内は、高低差も少なく足の不自由な患者さんやベビーカーにも優しいと思います。一番広い診療室は、小さなお子さんとその親御さんやごきょうだいでの受診を想定してつくりました。この間はお子さんがきょうだい3人で来てくれて、自分の順番を待っている間、夏休みの宿題をしていましたよ。ほほ笑ましい光景でした。
予防歯科にも積極的に取り組まれています。
今、歯科クリニックは、「治療する場所」から「予防する場所」に変わりつつあります。異常がなくても定期的に歯科クリニックに通う人も増えています。私の考える予防歯科とは、単なる歯石取りやクリーニングではありません。患者さんの生活背景を踏まえ、その方に合った方法でお口の健康を守るのが予防歯科です。それを実現するためには、患者さんの得意と不得意を把握して、不得意な部分を許容してあげることが大切です。「甘いものが大好きだからやめたくないんです」という患者さんがいたら、その思いをできるだけ尊重して差し上げたい。代わりとなる案を示して、患者さんが続けられる方法で予防を推進する。これが当クリニックの方針なのです。社会人なら仕事が忙しかったり、お子さんならそれぞれに個性があったり。そういった生活背景に寄り添うことで、患者さんが無理なく続けられる方法を見つけたいと考えています。
口内と全身の健康の関係を教えてください。

最近は、お口の状態が全身の健康に影響することが知られています。噛み合わせが悪くて食事がよく噛めないと認知症リスクが上がる、あとは歯周病の原因となる細菌が体の中に入ることで血栓や糖尿病のリスクが上昇するという研究報告もあります。つまり、口内の状態を整えてあげれば全身の健康増進につながるのです。ですから、当クリニックでは、最初に口内の状態をしっかりチェックした上で、患者さんの健康増進を考えながら治療を進めています。お口の中だけを見ていても、全身の健康につながる根本的なアプローチはできません。歯科医師としてお口の中をきれいにするだけでなく、患者さんの全身の健康増進になるような治療をめざしています。
患者の考え方を尊重した治療計画を
診療で気をつけていることは何でしょうか。

医療の正解を患者さんに押しつけず、その方が大事にしているものを私も大事にしてあげたいと考えています。医療の正解だけで治療を進めると患者さんとのコミュニケーションが難しくなります。例えば、磨き残しがある患者さんに、「歯ブラシを正しく使ってください。もっと頑張って磨きましょう」と言うことは、医療的には正解です。でも、患者さんからすれば、わかっていてもできない理由があるはず。一方的に意見を押しつけられたら、嫌な気持ちにもなりますよね。私の役割は医療的な正しさを押しつけることではなく、患者さんが前向きに治療できるようにサポートすること、医師としてお伝えすべきことはきちんと説明した上で、患者さんの思いを伺います。思いをできるだけ尊重するかたちで、患者さんと相談しながら治療方針を決めていきます。
患者さんに合わせたオーダーメイドの治療なのですね。
そうですね。歯科の治療では、歯科医師がマンツーマンで治療にあたり、歯茎の治療や、予防では歯科衛生士さんが45分から1時間もつきます。これって当たり前のようで実はほかの診療科にはない特徴なのです。しかも、痛みや自覚症状がない場合の定期検診でも、こんなに長く話を聞いてくれる診療科はほかにありません。でもこの時間がとても重要で、定期的に受診してもらって変化や異常がないかを観察し、何かあれば早期に発見できる環境をつくっているのです。歯科は患者さんとの物理的な距離も近いですから、お口に直接関わらないような世間話でも構わないので、気軽に話していただけたらうれしいです。
歯科医師という職業の醍醐味はどんなところにありますか?

私が何かした時、というよりは、私の治療した後に、歯科衛生士さんが患者さんのお口の健康を長く守ってくれていることがうれしいです。さらに患者さんと良好な関係を築けているのを見ると、素直に「いいな」と思います。私が出ていくと、患者さんも「何か治療されるんだな」と多少は身構えるはず。歯科医師が出る幕は最小限で、あとは歯科衛生士さんなどのスタッフに予防を頑張ってもらうのが良いクリニックではないでしょうか。自分が前面に出るよりも、患者さんやスタッフを見守ってサポートするのが私の性に合っていると思います。勤務医時代と違って上に立つことには難しさもありますが、スタッフにもとやかく言わず、方向性を示したら、あとは信頼して任せています。そういう気持ちが院長として必要だと思っています。
長い付き合いができるのがクリニックの強み
歯科医師をめざしたきっかけや、これまでのご経歴について伺います。

父が歯科医師をしていたので、幼い頃から身近な職業でした。ほかには農業や獣医師という選択肢もあったのですが、結局は父と同じ道に進むことになりました。日本歯科大学を卒業後、同大学大学院の新潟生命歯学研究科に進学しました。臨床と研究に従事する日々の中で、歯科としての物事の捉え方や治療全般の知識を習得しました。かぶせ物やインプラントを専門に学んだのですが、それに加えて土台となる歯周病の治療・予防が大切ということに気づき、今の診療スタイルに至りました。研究にもやりがいがありましたが、臨床が好きだったので大学院を出て就職し、開業をめざすようになりました。
勤務医時代にどんなことを学びましたか?
大学院時代までに学んだ治療の基礎に加えて、勤務医時代には患者さんとの関わり方など開業のベースを学びました。恥ずかしながら、勤務医1年目の私は治療に精いっぱいでした。たくさん来る患者さんに対応することが治療だと思っていたので、今ある不具合の治療を終わらせることをめざすスタイルでした。ですが、それでは症状が再発して患者さんの負担が増え、結局は一時的な満足感にしかならないと気がついたのです。そこで考え方を改め、根本的なアプローチや、患者さんとの長期的なお付き合いを考えた治療や予防を重視するようになりました。お口の環境を整えて全身の健康増進をめざす考え方も、大学を出てからたまたま参加した勉強会で学んだものです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

地域のクリニックの良いところは、治療して終わりではなく、患者さんの人生という長い時間をかけてお付き合いができることだと思います。病院と違って継続して通える環境なので、患者さんが困ったときに「日和が丘デンタルクリニックに行ってみよう」と頼ってもらえるようなクリニックでありたいです。当クリニックは、幅広い年代の患者さんの健康をサポートしたいと考えています。痛みや異常がなくても、ぜひお気軽に足を運んでみてください。