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馬渡 正明 院長の独自取材記事

整形外科ライファート

(福岡市博多区/祇園駅)

最終更新日:2025/04/28

馬渡正明院長 整形外科ライファート main

博多の中心地にある「整形外科ライファート」は、2024年7月に開院したクリニック。洗練された外観がひときわ目を引くビル内には、画像診断クリニックやフィットネスジムも完備されている。長年、佐賀大学整形外科主任教授を務め、人工股関節置換術や骨切り術においては多くの手術を担当してきた馬渡正明院長と、息子の馬渡大介副院長が2人体制で診療を行っている。大学病院では研究と臨床に尽力し、人工関節をはじめとした「抗菌インプラント」を開発に携わった馬渡院長。その高い診断力と大学病院レベルの手術を求めて、全国から患者が訪れる。手術だけでなく、保存治療やリハビリテーションを取り入れ、地域医療の可能性を追求する馬渡院長に話を聞いた。

(取材日2025年4月9日)

長年研究に取り組みながら診療を行い、研鑽を積む

馬渡院長のご経歴について教えてください。

馬渡正明院長 整形外科ライファート1

九州大学大学院で学位を取得した後、日本学術振興会特別研究員や米国スタンフォード大学研究員として研究生活を送り、九州大学医学部に戻ってからは股関節やリウマチを研究する班でグループとして活動してきました。その後7年間、民間の病院で臨床に携わり、恩師に声をかけられる形で2005年から佐賀大学に赴任。2010年には教授を拝命しています。大学に戻った以上、社会に貢献できる新しい研究に取り組むべきだと考え、「抗菌インプラント」の研究を始めました。人工股関節の置換手術などで使われる人工関節インプラントでは、細菌感染が大きな問題です。もし手術中に細菌感染が起こると、感染を治すためにはインプラントを取り出さなければならず、大変な状況になります。そこで、こうした感染症を根本的に防ぐことをめざし、この研究に取り組むことにしました。

研究にはどのくらいの年月がかかったのですか?

大学のチームで研究を続け、2016年にやっと世に出すことができましたが、基礎研究から臨床応用にたどり着くまで、10年という長い歳月が必要でした。想像以上に長い道のりでしたが、振り返れば、そのすべての時間に意味があったと胸を張れます。抗菌インプラントは、人工関節の表面を抗菌加工した物で、現在では全国の医療現場で広く活用され、感染率の低減に貢献しています。この研究は、決して私一人の力では成し得ませんでした。ともに悩み、試行錯誤を重ね、前に進んできた研究チームの仲間たち。支えてくださった多くの方々――そのすべての力が結集した“結晶”だと感じています。

臨床では股関節の手術に数多く携わってこられたとか。

馬渡正明院長 整形外科ライファート2

もともと、先代の佐賀大学医学部整形外科の教授が股関節を専門にしていたことから、私も股関節を専門にしました。そういったこともあり、佐賀大学の整形外科は股関節治療の手術数が多い施設になっていました。その環境の中で、責任者として治療の最終判断を担いながら整形外科に40年以上関わりました。2024年の春には佐賀大学整形外科主任教授としての締めくくりを迎え、新たなステージとして息子の馬渡大介副院長とともにクリニックの開院を決めました。大学病院は敷居が高いと感じられる方も多いと思います。だからこそ、もっと気軽に相談していただける場所を作りたい思っています。当院は紹介状も不要ですし、「ちょっと気になる……」という段階でも、ご相談いただければと思います。

レベルの高い診断、手術、リハビリまで一貫した治療

クリニックの特徴を教えてください。

馬渡正明院長 整形外科ライファート3

当院の大きな特徴の一つは、CTやMRI検査を即日で行い、その日のうちに診断・手術・リハビリまで一貫した質の高い治療を提供できる点です。整形外科医としてのキャリアには自信がありますが、正確な診断に、画像検査は欠かせません。特にMRIは、高い精度で診断を行うために必要不可欠なツール。そこで、当院では1階にある画像クリニックと連携しています。私のこれまでの経験と、すぐにMRI検査ができる体制が整っていることで、患者さんには余計な不安や迷いを抱えず、適切な診断と治療を受けていただける環境をつくっています。股関節に限らず、整形外科のあらゆる部位について、手術の適応は熟知しています。どのような症状の患者さんにも最善の選択肢を提案し、丁寧にご説明させていただきます。

現在も手術に対応されているのですね。

現在ありがたいことに3ヵ月待ちですが、提携先の福岡ハートネット病院で、火曜日と木曜日に各3枠ずつ手術をしています。手術の数で見ると、人工股関節置換術が多いのですが、実は「骨切り術」という選択肢もあるんですよ。これは、患者さんの骨を補正して関節を温存する手術で、50代くらいまでの方が対象です。患者さんがどちらを選ぶかではありますが、学生さんは、自分の骨を補正するための治療を選択することが多いです。ただ、骨切り術は、将来的に関節を長持ちさせるための手術ですが、技術的に難しい側面があるため、現状で比較的行いやすい人工関節置換術のほうが多く行われています。しかし、私たちは「できるだけ自分の関節を残すことが大切」という考えのもと教育を受けてきました。そのため、骨切り術を含めた関節温存の治療に積極的に取り組んでおり、これは他の医療機関とは少し違う、当院の強みだと思っています。

リハビリにも力を入れていると聞きました。

馬渡正明院長 整形外科ライファート4

これまで私が大学病院で主に診てきたのは、手術をしてほしいと希望される方や、症状がかなり進行してしまった患者さんでした。もちろん今までの経験をもとに手術を行うのですが、「そこに至る前の段階で何かできることがあったのでは……」という想いが常にありました。手術が必要になる方は、患者さん全体から見るとほんの一部です。だからこそ、その前の段階で何らかのアプローチをし、手術を回避できるようにすることも、地域医療にとって大切な役割だと考えています。また、リハビリを早く始めることで社会復帰を早めたり、手術前からリハビリに取り組むことで、術後の回復を早め、入院期間の短縮にもつながります。当院では、リハビリ専用のマシンも導入しており、これらを手術前から術後まで一貫して活用していくことで、より良い治療結果をめざしています。

患者の「痛み」からの解放は医師としての喜び

クリニックの取り組みで特徴的なものはありますか?

馬渡正明院長 整形外科ライファート5

2025年の4月から同じビル内にフィットネスジムを開設しました。クリニックの保険診療の範囲内でのリハビリだけでなく、予防的な観点からもう少しコミットしたいなと思い開設に至りました。また、治療の中では患者さんが手術をしない選択をした時のフォローとして、リハビリを取り入れる、あるいは保存的なアプローチとして関節に直接薬を入れる治療などの対応を取っています。プラスアルファでのジムとの連携は、当院の特徴的な取り組みですね。

整形外科医としてやりがいを感じられるのはどのようなときですか?

整形外科の魅力は、患者さんが日常生活で感じている「困り事」をサポートし、少しずつでも改善していけるところにあります。その結果、患者さんの笑顔や喜びにつながることが、何よりのやりがいですね。節々が痛いという症状が続き、手や足を使って移動するという動物として基本的なところが阻害されるのが整形外科疾患です。関節や筋肉、神経など人間らしさを扱う診療科だと思うんですね。「痛くて歩けない」「動けない」といった痛みを取り除くことは、その人の人生の質を大きく左右します。その痛みから解放されることは、本当に大切なことだと感じています。私自身、いろいろな偶然やご縁が重なって整形外科の道に進み、研究にも関わるようになりました。すべてが計画どおりではなかったかもしれませんが、今振り返ると、この道を選んで良かったと思っています。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

馬渡正明院長 整形外科ライファート6

何か気になることや不安なことがあれば、気軽にご相談にいらしてください。患者さんが緊張せずに過ごせるよう、院内は医療施設らしさをできるだけ抑え、ホテルの待合室のような空間にしています。また、当院ではセカンドオピニオンにも力を入れています。例えば、「他の病院で手術が必要と言われたけれど、少し不安」「説明が理解できなかった」といった方も、ぜひ一度お話を聞きに来てください。本当にその手術が必要なのか、ほかに選択肢はないのか。考え方はいくつもあります。これまで積み重ねてきた経験を生かしながら、これからも一人ひとりの患者さんの不安や悩みにしっかり向き合っていきたいと考えています。

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