荒井 隆志 院長の独自取材記事
あらい内科クリニック
(吹田市/千里丘駅)
最終更新日:2024/08/26
大阪府吹田市のクリニックモール千里丘清水内1階にある「あらい内科クリニック」は、荒井隆志院長が2024年7月に開院したばかりのクリニックだ。荒井院長は、20年以上総合病院の内科の医師として勤務してきた経験を生かし、その視点から一般内科をはじめ、消化器、循環器、呼吸器などの疾患や生活習慣病の診療を提供。内視鏡検査も行っている。さらに、院内は待合室の共有スペースが広く取られており、なるべく患者同士が接触しないよう配慮されているのも印象的だ。同院では、発熱時でも院内での待機ができる。病気の予防と早期発見・早期治療に努めたいとの想いを話す荒井院長に、診療で大切にしていることや同院の特徴について詳しく聞いた。
(取材日2024年7月24日)
病気の予防や早期治療に尽力したいと吹田市で開業
ご開業までの経歴を教えてください。
神戸大学の医学部を卒業し、卒業後は神戸大学医学部附属病院で勤務しました。内科全般に興味があったので、総合内科の分野で研鑽を積んだのですが、今後はより高齢者の診療が重要になると考え、老年内科も経験しています。また、20年近く複数の総合病院で勤務医として働いてきたのですが、そこで痛感したのが、病気が進行してから治療するケースが圧倒的に多いということです。もっと早い段階で予防や早期治療をしていたらここまで悪化しなかっただろうと思われる患者さんを多く診てきました。その状況から、より患者さんに近い立場で医療を提供して、予防や早期治療にも尽力していきたいと思うようになり、開業を考え始め、年齢的にもちょうどいい時期だと考え開業に至りました。
なぜこの地でご開業を決められたのでしょうか。
吹田市内には比較的クリニックが多いですが、当院が開院した場所は少なくとも半径500メートル以内にクリニックがありませんでしたし、最近マンションが複数できており、人口が増えているエリアですので、地域の皆さんの役に立てるのではないかと思い、この場所を選びました。実際に来院される方は、30代や40代くらいの比較的若い世代の方も多いです。子どもも多いので、活気がある町だなと思いますね。もちろん、高齢の方にも気軽に来院していただいたいです。老年内科での経験もありますので、高齢の方の病気にもしっかり対応していきたいなと思っています。最近では、クリニック周辺を散歩しながら吹田の町を楽しんでいますよ。
こちらでは総合内科の診療に力を入れているとか。
内科にはさまざまな診療分野がありますが、総合内科は、内科すべての分野に対応しながら、患者さんの症状を幅広い視点で捉えて診療し、命にも関わる病気を扱うので非常にやりがいがあると感じています。人間の体はそれぞれの臓器が別々に働いているわけではなく、関わりをもって動いているので、全体を考えながら診療することが大切です。特定の臓器にとらわれずに、広い視点から診療していくことは病気の原因を知るための鍵になります。例えば、患者さんが胃が痛いと言って受診したとしても、胃だけでなく別の臓器、時には心筋梗塞を原因として考える必要もあるんです。そのため、総合内科の幅広い視点は、一つの症状から多くの可能性を考慮しながら診療を提供するのに役立ちます。かかりつけ医として、特定の臓器だけを診るだけじゃなく、全体の症状を診ていくのは大事な役割だと思います。
患者視点で寄り添った診療を
診療で心がけていることを教えてください。
クリニックの理念にも掲げている「やさしく丁寧な医療」を大事にしていきたいと思っています。診察では、検査の数値や病気だけを見るのではなく、患者さん全体の様子を見るように心がけています。そのため、なるべくパソコンの入力は診療後に行い、患者さんの些細な表情の変化に気づけるようにしています。表情から患者さんの不安や心配な気持ちの様子に気づくためにも、表情の確認はとても大切です。同じ病気でも、患者さんによって感じ方や不安に思うことはさまざまなので、一方的に僕のほうから病気の説明をするのではなく、その方がどんなふうに感じているかを確認しながら進めるようにしていますね。もし患者さんが不安や悩みを抱えていれば、その気持ちにも寄り添いながら診療を進めていきたいです。
こちらでは内視鏡検査も受けられるそうですね。
内視鏡検査を行う場合は、原則として麻酔をした上で検査させていただいています。病気を予防するためには定期的に検査することが重要なので、できるだけ検査で苦しい思いをした経験を残さないように心がけているんです。もう2度と受けたくないと思われないような配慮をしていけたらなと。当院では、胃の検査は原則経鼻でさせていただいていますが、鼻の中が細くて内視鏡が通りにくい方には経口で検査することも可能です。また、大腸の検査では、検査前に飲む下剤の量が多く苦労される患者さんのことを考え、480mlと量が少ないペットボトルの下剤を採用しています。将来の健康を維持していくためにも、今しっかりと健康を管理していくことが大事です。そのためには、定期的に内視鏡検査を受けてもらいたいと思います。
内視鏡検査以外にはどのような検査を受けられますか?
睡眠時無呼吸症候群の検査や肺機能検査、ホルター心電図検査、ヘモグロビンA1cなどさまざまな検査にも対応しています。睡眠時無呼吸症候群の検査は、当院で検査の機械を置いているわけではないですが、検査会社と契約しており、患者さんが受診されたらファックスを送り、検査会社から患者さんのご自宅へ検査機器が郵送される仕組みを取っています。睡眠時無呼吸症候群も早期の対応が非常に重要となる病気の1つです。耳鼻咽喉科で治療を行っているところも多いのですが、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病とも深い関連があるので、内科のかかりつけ医でしっかり対応していくべき病気だと考えています。
この地域でどんなクリニックになりたいですか?
いろんな症状やニーズにも対応できるクリニックにしたいと考えています。専門性の高いクリニックでは、普段かかりつけのクリニックとして受診をしていても、症状によっては対応してもらえないことがあるんです。そのため、長年総合病院で勤務してきた自身の経験を生かしながら、できるだけ当院で対応していくことを大事にやっていけたらなと。とはいえ、もちろん当院でも、必要に応じて他の医療機関を紹介するケースもあります。しかし、そういった判断もかかりつけ医としての大切な役割だと思っています。
患者の負担を減らすための配慮を欠かさない
院内の特徴を教えてください。
当院は、発熱患者さん用の部屋を用意しております。発熱した場合でも院内で待機が可能です。発熱の外来だと、以前は車内で待ってもらうことも多かったと思いますが、 車内での待機は暑くて患者さんがつらい思いをする場合もあります。そのため、待つ時間の苦痛を減らせるように、院内での待機も可能にしました。また、やわらかい雰囲気が出るように、受付には極力角がないデザインを取り入れました。さらに、壁向きのカウンターを設置し、問診の記入に使っていただいたり、座っているのもつらい患者さんが突っ伏して待機できる場所を確保しました。
患者さんの負担を減らすための工夫は他にもありますか?
当院では、ウェブ予約や、自動釣銭機、医療DXなどデジタル化にも取り組んでいます。今後も、デジタルをうまく活用しながら、待ち時間を少なくしたり患者さんの負担を減らしたりできるようやっていきたいです。ただし、診療はウェブ予約だけではなく、当日診療にも対応しています。また、ウェブ問診を導入し、患者さんにウェブ問診で情報を入力していただいたら、それを自動でカルテに反映できるようにしました。カルテを入力する手間が減るので助かりますね。ウェブ問診やウェブ予約を活用することで、スタッフの負担減にもなると思っています。
今後の展望について教えてください。
地域のいろんなニーズに応えながら、特に生活習慣病の治療や予防に努めて健康長寿をサポートしていきたいなと考えてます。今後は少子高齢化が進んで、働き手がどんどん減っていくことが懸念されていますので、ある程度年齢を重ねても健康に仕事を続けられるようサポートをしていきたいです。少しでも「持続可能な社会」に貢献できたらなとの想いもあります。そのためにも気軽に来院できるよう、受診への抵抗感ができるだけ低くなるような工夫をしていきますので、ぜひ予防も兼ねて定期的に受診していただけたらと思います。