精度を追求した検査と予防対策で
骨粗しょう症のリスクに備える
右近整形外科東大阪リハビリクリニック
(東大阪市/俊徳道駅)
最終更新日:2024/12/24


- 保険診療
高齢者の病気というイメージが強い骨粗しょう症だが、特に女性は50歳前後を境として急激に罹患のリスクが上昇するといわれる。骨折して入院・手術が必要となって初めて、病気の深刻さに気づく人も少なくないという。「だからこそ、早期から病気に備えることが必要です」と、「右近整形外科東大阪リハビリクリニック」の右近亮介院長は力説する。右近院長は、勤務医時代に高齢者の骨折の手術を多く経験し、早くからの骨粗しょう症対策の必要性を強く実感したそうだ。骨粗しょう症とはどのような病気で、予防、早期発見のために何ができるのか。そして、実際の治療はどのように進められ、日常生活での不便はないのかなど、気になるポイントを右近院長に聞いた。
(取材日2024年8月27日/情報更新日2024年12月19日)
目次
50歳を超えたら、一度はDEXA(デキサ)法による骨密度検査を受けてほしい
- Q骨粗しょう症とはどのような疾患ですか?
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A
▲骨粗しょう症においては予防対策と適切な治療が重要と話す院長
加齢などに伴い骨の質が低下して、もろくなってしまう疾患です。特に女性に多く、閉経に伴うホルモンバランスの変化によって骨密度が急激に低下することが要因と考えられています。痛みなどの自覚症状はほぼなく、予防や治療の必要性を感じにくい病気ですが、もろくなった骨は骨折しやすく、日常のちょっとした動作、例えばくしゃみをする、椅子に座るといった動作でも折れてしまうことがあり、入院や手術が必要になるだけでなく、骨折の部位によっては寝たきりになるリスクがあります。入院は健康寿命にも影響を与える可能性があるため、予防対策と適切な治療を受けて骨折のリスクを抑えることをめざし、できるだけ入院を避けることが大切です。
- Q骨粗しょう症について受診すべきタイミングを教えてください。
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A
▲定期的に検査を行い、早期発見・治療を行うことが理想的である
女性の平均的な閉経の時期は50歳前後です。このため、自覚症状がなくても、50歳を目安に一度は骨密度検査と呼ばれる骨粗しょう症の検査を受けていただきたいですね。最近は、商業施設のイベントなどで簡易的な骨密度チェックを受けられることもあるので、結果に問題があった場合もすぐに受診してください。医療機関での骨密度検査の結果、特に問題がない場合は、以降も年に1度を目安に検査を受けていただき、必要と判断した時期に治療を開始するのが理想的です。女性に多い病気ですが、年齢を重ねた男性にも多く認められるので、過去に骨折の経験があるという男性は特に、一度検査を受けてみてはいかがでしょう。
- Qこちらでは精密な検査機器を導入されているそうですね。
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A
▲骨密度測定装置を導入している同院。より精度の高い測定が可能
2種類の微量のエックス線を当てて骨密度を測定するDEXA(デキサ)法の検査機器を導入しています。精度の高い測定を追求できるのが特徴です。さまざまな部位を測定できますが、骨粗しょう症による骨折が起こりやすいのは、腰椎と呼ばれる腰の骨、太腿の大きな骨である大腿骨、橈骨(とうこつ)と呼ばれる前腕の骨です。このため、腰椎と大腿骨に対して検査を行います。2ヵ所測定しますが、検査中に体の向きや姿勢を変える必要がなく、患者さんの負担が少ないのも利点です。かかとの骨で測定できる機器もありますが、エックス線ではなくエコー(超音波)を使った機器なので、誤差が生じやすいのが難点といえるでしょう。
- Q骨粗しょう症の治療について教えてください。
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A
▲患者一人ひとりに沿った治療を提案している
注射や内服薬による治療が基本です。注射は年に1回打つものや半年に1回、月1回のもの、患者さん自身で打っていただくものなど種類が多くあります。一方、飲み薬のビスホスホネート製剤は最初の治療選択としてよく使われていましたが、期待できる成果の面から骨形成を促す注射製剤が選ばれることが多くなりました。現在では注射で骨密度や骨質を高めることをめざし、その状態を維持する目的で飲み薬を用いるのが良いとされています。治療開始に伴う生活上の制限は、特にありません。ただし、薬の副作用で口腔内の状態が悪化する恐れがあるので、歯科の定期受診をお勧めします。当院も近隣の歯科医院と連携予定です。
- Q骨粗しょう症の予防のために日頃からできることはありますか?
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A
▲日頃の食事や運動の積み重ねが、骨粗しょう症の予防につながる
食生活に注意すること、適度に運動して日差しを浴びることですね。カルシウムを積極的に取ることは予防に役立ち、一般的に推奨されている量を毎日摂取できれば理想的です。とはいえ、長く続けるのは難しいので、できるだけバランスの良い食事を心がけてください。運動については、小分けにしても良いので、1日で合計30分程度は歩くことを心がけましょう。歩くことは骨を支える筋力の低下を抑えることにつながり、太陽の光を浴びるのでカルシウムの吸収に欠かせないビタミンDの生成も促せます。ただし、骨がもろくなっている方は転倒を避ける必要があります。歩行は平坦な場所を選び、無理な動きは避け、必要な場合はつえなどを使いましょう。