女性専用クリニックで受ける
痔の日帰り手術
やまむら乳腺・外科クリニック
(多治見市/多治見駅)
最終更新日:2024/12/27


- 保険診療
肛門に不調があっても、女性の場合、医療機関を受診するのは勇気がいる。さらに、勇気を奮って病院やクリニックを受診しても、待合室には老若男女さまざまな医療スタッフや患者がいて、気恥ずかしさもある。しかし、女性専用のクリニックであれば、気恥ずかしさも少ないのではないだろうか。乳腺外科という女性の病気を扱う「やまむら乳腺・外科クリニック」は、女性専用のクリニックで院長以外のスタッフも全員女性。痔の日帰り手術も行っている。山村和生院長は、消化器外科での手術経験も豊富で、「お仕事の都合で入院できない方も、午後だけお休みいただければ手術ができます」と話す。女性専用クリニックで、ベテランの外科医師が行う同院の痔の日帰り手術について、山村院長に話を聞いた。
(取材日2024年10月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q痔の種類と日帰り手術になった場合の所要時間を教えてください。
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A
痔の種類は大きく分けて痔核(イボ痔)・裂肛(切れ痔)・痔ろうの3種類ですが、女性の痔で手術が必要になるのは主に痔核です。痔核は静脈がうっ血し、拡張してイボのようになったもので、肛門の内側にできるのが内痔核、外側にできるものは外痔核と呼びます。初期のものは薬による保存治療で改善が期待できますが、進行したものは手術で切除もしくは小さくする必要があるのです。当院では痔の種類や程度を丁寧に診断し、患者さんの治療ゴールを一緒に考え、手術をご希望の方に対して日帰り手術を行っています。日帰り手術の所要時間は、麻酔の開始から手術終了まで、約40分から1時間です。
- Q手術は、痔核の切除をしない方法もあるのですか?
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A
内痔核に対しては、切除をするのではなく、痔核に注射をして数週間から1~2ヵ月ほどかけて縮小させ、脱出や出血の改善を図るALTA療法(内痔核硬化療法)があります。麻酔を伴う手術ではあるものの、注射だけなので低侵襲かつ短時間で済み、入院も必要ないことから、患者さんのメリットは大きいといえます。内痔核に加えて外痔核がある場合は、一度の手術でALTA療法と外痔核の切除を同時にできます。ただし、高度に進行した痔核では日帰り手術では対応できない場合があり、入院施設がある病院で行うことが必要です。体に負担の少ないALTA療法ができる段階での受診がお勧めです。痔でお悩みの場合は、早めの受診をお願いします。
- Q当日の滞在時間と、術中・術後の痛みについて教えてください。
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A
手術の30分前に来院いただき、手術は麻酔を含めて約40分~1時間で終了します。手術後は1時間休んでいただき、問題なければ帰宅可能です。当院では仙骨硬膜外麻酔をしますので、手術中はそれほど苦痛はありません。仙骨硬膜外麻酔は、仙骨の骨と骨の隙間に打つ麻酔ですが、超音波で隙間を確認しながら安全性に配慮して行っています。手術中に痛みがあれば局所麻酔も行いますし、鎮静薬を使用しながら手術を行うことも可能です。外痔核を切除した場合は手術による傷ができるので1週間ほど痛みのピークがありますが、鎮痛剤や腫れを抑えるための薬をしっかりと処方します。ALTA療法のみを行った場合は術後の痛みはほとんどありません。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診票に記入した後、診察
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病歴や薬の服用、排便回数や時間、便の硬さなど排便習慣について問診票に記入する。事前にホームページのウェブ問診で答えておくことも可能だ。診察室で症状を伝え、ベッドに左向きに横になり診察を受ける。指で直腸診をしてから肛門鏡で内部を診察。女性スタッフが付き添い、診察中は医師と直接視線が合わないように工夫されている。診察時は麻酔薬が含まれた軟こうを使用し、できるだけ苦痛がないよう配慮して行っているそうだ。
- 2診断と治療内容の説明
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痔の種類や進行状態などの説明を受ける。薬の治療で様子を見るのか、それとも手術をするのかなど、患者の要望を聞きながら治療内容を決めていく。手術は、ALTA療法のみの場合、ALTA療法と切除を併用する場合、切除のみの場合と、方法もさまざまなので、同院では患者に合った内容を詳しく説明している。手術や麻酔により起こる可能性がある合併症の危険性や内容などについての説明も受け、納得できれば同意書にサインする。
- 3看護師からの説明と予約調整
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手術当日と帰宅後の注意点についての説明を看護師から受け、手術予約を取る。日程調整がすぐにつかない場合は、後日電話での手術予約も可能だそう。手術当日は、肛門部の安静を保つために車や自転車の運転は避け、送り迎えや公共交通機関、タクシーなどで帰宅することが必要。また、同院での手術は午後のため、朝食の摂取は可能だが、手術前に看護師に座薬を入れてもらい排便をするので、昼食はできるだけ軽めが推奨される。
- 4麻酔をした後、手術を開始する
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術前の準備として、検温や血圧測定など体調チェックを受け、点滴をする。トイレで排便後に手術室へ移動し、麻酔を行う。麻酔は、肛門括約筋が緩み観察がしやすく、痛みも少ないため安全性に配慮して手術が進められるという理由から、同院では仙骨硬膜外麻酔を行っている。麻酔や手術に不安がある人には、鎮静剤を投与して半分眠ったような状態で手術を行うことも可能だ。最後に、術後の痛み軽減のための座薬と止血剤を入れて終了。
- 5術後の休憩をして帰宅。翌日から通院
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血圧測定や気分が悪くなっていないかなど、体の状態を確認してもらいながら1時間ほど休憩。患部の出血がないことを医師が確認した後、帰宅となる。当日夜の入浴は控え、翌日受診して状態をチェック。その後は、1週間後や2週間後、1ヵ月後と間隔を伸ばしつつ通院し、約3ヵ月で通院を終える。通院中は自宅で注入軟こうを塗り、便をやわらかくするための薬を服用する。出血の原因になるので、温水洗浄便座の使用や飲酒は控える。