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土屋 聖子 院長の独自取材記事

登戸ブレストケアクリニック

(川崎市多摩区/登戸駅)

最終更新日:2024/08/28

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック main

登戸駅から徒歩3分の場所にある「登戸ブレストケアクリニック」は、乳腺専門のクリニック。2024年6月に、聖マリアンナ医科大学病院の乳腺・内分泌外科などで診療経験を積み、日本乳癌学会乳腺専門医である土屋聖子院長が開院し、基幹病院と連携して、検査から診断、乳がんの手術後のフォローまで対応している。小さな不安でも気軽に相談しやすいクリニックであることを重視し、症状がなくても毎年検診に行こうと思ってもらえる居心地の良いクリニックづくりをめざす土屋先生。「自分のために、また大切な誰かのために、受診への一歩を踏み出してほしいです」と、話す土屋先生に、開院への思いや診療内容について詳しく聞いた。

(取材日2024年7月18日)

小さな不安でも受診できる乳腺専門のクリニック

開院のきっかけはどのようなものだったのでしょう?

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック1

もともとは聖マリアンナ医科大学病院の乳腺・内分泌外科で、乳腺外科の医師として診療に携わっていました。そこでいろいろと経験を積んだ後、結婚・出産を機に生活スタイルにも変化が生まれたことで、主に非常勤として大学病院の外来診療と近隣クリニックでの検診を行うようになりました。この地域には乳腺疾患の検査や良性疾患の術後のフォローをお願いできるクリニックがあまりなく、検診から診断、治療、術後のフォローまで、多くの患者さんが大学病院に集中してしまっていることを実感し、「病院と連携して、検診や術後のフォローができるクリニックが近くにあれば、もっといい流れができるのでは」と、思うようになりました。一方で、私自身がいろいろなクリニックで勤務したことで、自分にやれること、やりたいことも少しずつ考えるようになりました。その2つの思いが合わさることで、開院につながりました。

開院にあたり、こだわった点を教えてください。

基本的に治療がメインではなく、検診から診断、良性疾患や乳がん治療後のフォローがメインなので、ちょっとした不安でも気軽に来られるクリニックにすることにこだわりました。乳腺疾患は、例えば内科のように調子が悪くてどうしようもないから医療機関へ行くことは少なくて、ほとんどは、多少不安があっても生活は続けられるんです。そんな中で、受診というその一歩をどうにか踏み出してもらいたいので、アクセスしやすいといった物理面はもちろんですが、「とりあえず行ってみよう」と、思える雰囲気を大事にしました。当院のウェブサイトでは「誰かにとってかけがえのないあなたのために」と呼びかけています。自分のために動くのはハードルが高くても、そこに自分以外の大切な誰かや何かのためという気持ちが加わることで自分の体のことを考えようと思えるなら、そこを後押ししたい。そんな気持ちを込めました。

木がふんだんに使われたすてきな内装も、来院しやすい雰囲気づくりの一環なんですね。

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック2

ええ。「ちょっとお茶をしにいくので、ついでに診てもらいたい」くらいの気持ちになってもらえたらと思って、できるだけ病院らしい白を使わないことは、最初から決めていました。クリニックといえばやはり、全体的に白っぽい印象ですからね。それも清潔感があっていいなとは思うのですが、それよりは、ナチュラルな感じで落ち着く場所をつくりたかったんです。「医療機関に行かないと。だけど忙しいし……」という思いを受診につなげるためにも、ここなら行きたいなと思える雰囲気、毎年ストレスなく来られると思える居心地の良さは、とても意識したところです。

基本的には、検査から結果の説明まで1日で完結

こんな患者さんが多いなど、気づいたことはありますか?

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック3

若い方が多いですね。少し痛みがあったり、しこりがあったりという些細な不安で来てくれる方も多いです。また、授乳中の乳腺炎の方も本当に多くて、大きな病院はハードルが高く受診を迷っていた方が、結構来てくださっているのかなという印象です。まだ開院から1ヵ月ほどですが、不安を抱えながらも検査を受けることができなかった人が意外と多いのではないかと思いました。そのように、不安を抱えていた方々を少しでも支えることができているのなら、やはり開院して良かったと思います。また、近隣のレディースクリニックなどからのご紹介でいらっしゃる方も多いです。周りは大きい病院ばかりで気軽に受診できる乳腺外科がなくて困っていたようで、近隣の先生方から「ここができて良かった」と言ってもらえるのはとてもうれしいですね。

基本的な診療の流れについて教えてください。

基本的には、診療の予約を取っていただければその時間で検査も行い、結果までお話ししています。市の検診だと結果は一度自治体に送られるので、お伝えするのが後日になりますが、そうでなければ、結果説明まで1日で完結しますね。待ち時間が長いのはストレスだと思うので、完全予約制にして、検査時間込みで予約枠を取りしっかり説明できるようにしています。なお、生検を行った場合は病理診断になるので、結果は後日お伝えします。がんが見つかるなどで治療が必要な場合は、大学病院などを紹介します。私が聖マリアンナ医科大学病院の出身で、当院からも一番距離が近いので同病院を紹介することが多いのですが、患者さんの希望に沿って医療機関を提案、紹介できるようにしています。紹介先と連携しながら、手術後に戻って来られた患者さんには、内服の継続や定期検査などの術後フォローを行っていきます。

オンライン診療にも対応しているのですね。

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック4

はい。オンライン診療は術後のフォローアップの一環として取り入れたものです。乳がんの手術後は定期的な検査や内服治療が必要で、長くがんと向き合い、付き合っていくことになるんです。ただ、乳がんサバイバーには、社会の中で活躍している方もたくさんいらっしゃいます。その中で3ヵ月に1回、なんとか時間をつくって通院し、治療を続けるのは一苦労だと思います。そういう方々が少しでも楽になればと思って、オンライン診療でも術後のホルモン療法の処方ができるようにしました。

患者の抱える疑問や不安を解消する診療を

診療の際に心がけていることはありますか?

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック5

患者さんが何に不安で来られたのかは、最初にくみ取るようにしています。がんではないとわかり安心して帰る方もいれば、それでは不安が消えない方、実は家族に乳がんの人がいてそれが不安なんですという方もいらっしゃいます。話をしながら、その方が解決したい不安は何なのかを聞いて、検査結果の説明では、その方が知りたいことをしっかり伝えるようにしています。検査をして、たとえ乳がんでなかったとしても「じゃあこの症状は何なの?」「どうすればいいの?」と、不安が残ったままの方が多くいます。そこにしっかり目を向けて、その方の抱えている疑問や不安をちゃんと解消してあげること、その方の納得がいく答えを丁寧に伝えていくことを大切にしています。良いニュースになっても悪いニュースになっても、ご本人が納得して帰られること、受診して良かったと思ってもらえることが、大事かなと思っています。

乳がんのセルフチェックの大切さも呼びけかていらっしゃいますね。

はい。どんなに気をつけても乳がんになってしまう方はいるので、やはり大切なのは定期的なチェックや検診をして、がんになった時に見逃さず、早いうちから治療に向かうことだと思います。そのためには、今、ブレストアウェアネス(乳房を意識する生活習慣)という言葉がありますが、やはり自分の乳房に目をかけて、大切にすることだと思うんですね。常に気にしながら、何か変化に気づいたら後回しにせずに検査を受けること。何もないと思っても、適切な年齢になったら毎年検診を受けることを、大事にしてもらいたいです。

最後に、今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

土屋聖子院長 登戸ブレストケアクリニック6

いろいろな人のニーズに応えられるクリニックになっていきたいので、やはり、地域の方に「ここに来て良かった」「あそこに行けば大丈夫だよ」と言われる、信頼されるクリニックをしっかりつくっていきたいです。その上で、当院で診断をした患者さんが基幹病院などでの治療に向かった後、また帰ってきてくれるような、そんなクリニックにしたいと思っています。乳がんは本当に小さな不安から見つかることもあります。ちょっとした不安でも、また不安がなくても、自分の体のため、周りの家族のために受診してもらえるとうれしいです。

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