自分らしく過ごすために
トータルペインの軽減を図る在宅緩和ケア
後藤オンコロジークリニック
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2024/09/13


- 保険診療
病院で積極的な治療を受けることと同じように、住み慣れた環境でできるだけ長く過ごしたいと考える人は多いだろう。その思いをかなえるための選択肢の一つが、在宅での緩和ケアだ。高槻市駅から徒歩2分の所にある「後藤オンコロジークリニック」では、国立がん研究センター中央病院や大阪医科薬科大学病院にて、多くの腫瘍患者の治療と研究に携わってきた後藤昌弘院長が、抗がん剤治療や緩和ケア、在宅医療まで一貫して実施している。また、緩和ケアに精通してる薬剤師と看護師も在籍し、チームでケアにあたる。「緩和ケアは身体的な痛みを和らげることだけではなく、不安や悩みなどを含めた『トータルペイン』を和らげることをめざします」と話す後藤院長に、在宅での緩和ケアについて詳しく解説してもらった。
(取材日2024年8月28日)
目次
住み慣れた自宅にて、患者本人や家族の生活ペースに合わせることで、病院と同じような緩和ケアの提供へ
- Qこちらでは在宅での緩和ケアに注力されているそうですね。
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A
▲外来での抗がん剤治療にも対応できる、薬剤調製システムを整える
ええ。がん患者さんは、一般の方と比べて命の長さが限られている場合が多いです。また最初は元気に通院しながら治療をしていても、途中で体力的に厳しくなり、最終的には通院ができなくなることが少なくありません。自分が今後どのように変化していくんだろうと不安を抱える方も多いので、当院では患者さんに安心していただけるように、通院でも在宅でも緩和ケアが提供できる体制を整えました。さらに体力が落ちてから主治医が変わることは、患者さんからすると大きなストレスだと思います。ですから当院では腫瘍内科の医師として化学療法から緩和ケアまで一貫して行うことが可能です。
- Q緩和ケアとはどういったものなのか教えてください。
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A
▲痛みや不安を和らげ、患者や家族のQOL向上をめざす
骨への転移による痛みやリンパ節の腫れなど、がんによる身体的な痛みの軽減を図ることも重要な緩和ケアの一つです。加えて不安な気持ちから夜に眠れない、どんどん食べられなくなってくる、生活や経済的なことに対する漠然とした不安などを含めた「トータルペイン」を和らげようと努めるのも緩和ケアだと考えています。他にも家族関係や仕事など患者さんごとで異なる悩みを一つずつ整理整頓して解決していくことも含まれているのかなと思います。こうしたことから緩和ケアとは、体力的につらくなってからというよりも、がんであることがわかった時から意識していただきたいものなのです。
- Qどんなタイミングで在宅での緩和ケアをスタートさせるのですか?
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A
▲通院での治療が難しくなると、在宅での治療に切り替えられる
通院が難しくなってきたタイミングで切り替えます。他の病院で治療を終えたタイミングで検討される患者さんも多いですね。「本当は家に帰りたいけど、がんだから家に帰れるわけがない」と思っている方も結構多いのですがそんなことはありません。在宅でも入院と近いケアの提供はできます。ハードルは高くないと知っていただけたら幸いです。また逆に在宅での緩和ケアを始めたけど、実際帰ってみたら不安ばかりでつらいと感じる方もいるでしょう。その場合は病院に戻ることも選択肢の一つです。正しい答えは一つとは限りません。ご自身で考え、ご家族全員で考えて決めていく中に、その方にとっての正解があると思います。
- Qがんを専門に診てきた先生による緩和ケアの特徴は何ですか?
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A
▲医師が患者と喜怒哀楽をともにし伴走したいと語る院長
専門的にがん患者さんを診てきた医師だからこそ、今後どんな変化が起こるのか、ある程度予測をつけることができます。ですから早め早めの対応ができ、苦痛が少なく、安心して過ごしてもらえる時間につなげられるのが強みでしょう。ちなみに私は国立がん研究センター中央病院と大阪医科薬科大学病院で、多くのがん患者さんの治療と研究に携わってきました。その経験を生かし、患者さんがこれまでどんな治療をしてきたのかなど、今までの過程を把握した上で緩和ケアに対応させていただいています。当院で通院治療をしてきた方はもちろん、他院での通院が困難になり、介入させていただくことになった方にも、安心していただけたらうれしいです。
- Q患者さんやそのご家族に伝えていることはありますか?
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A
▲緩和ケアに精通する薬剤師と看護師含め、チームで患者を支える
がんの告知を受けたら、患者さん本人だけではなくご家族も同じぐらいショックを受けます。そのことから当院では、患者さんもご家族もチーム医療の一員であることを大切にしているのです。ケアはご家族の協力が必要なので、それを意識しながらサポートしています。在宅ケアでは、ご家族が介護に疲弊してしまう場合も少なくありません。一時的に入院することもできますので、無理せず良いコンディションでケアを行えるように、何でも相談していただければと思います。また患者さん本人とご家族が後悔しないで済むように、こまめに希望をお伺いする「アドバンス・ケア・プランニング」にも注力し、良いケアにつなげられるように努めています。