倉持 純一 院長の独自取材記事
もりや胃腸・肛門・内視鏡クリニック
(守谷市/守谷駅)
最終更新日:2024/07/09

つくばエクスプレス・関東鉄道常総線の守谷駅から徒歩1分の「もりや胃腸・肛門・内視鏡クリニック」。国道294号線を経由して取手・常総方面からのアクセスも良好だ。アースカラーを基調にした院内で、温厚な笑顔で迎えてくれる倉持純一院長に、ほっとする患者も多いことだろう。やわらかな雰囲気の中で、さりげなく専門性にこだわった医療を提供しているのも同院の特徴だ。「これまでの長年にわたる内視鏡検査と肛門外科手術の経験を、地域のために生かしたい」と優しいまなざしで語る倉持院長に、診療へかける思いなどを詳しく教えてもらった。
(取材日2024年6月26日)
専門性を追求した内視鏡検査を地域のクリニックで提供
優しいグリーンで描かれた山と平原のロゴマークが印象的ですね。

登山が趣味なので大好きな尾瀬の風景をイメージしながら考えました。山はお尻、山道は胃、川は腸を表しています。ロゴマークのとおり、当院はおなかとお尻を強みとするクリニックです。守谷市や取手市などの茨城県南エリアは消化器内科や肛門外科がまだ少なく、地域の核となるようなクリニックをつくりたいという思いで2024年6月に開業しました。なおかつ、スタッフ一同が患者さんに丁寧な態度で接する「品のあるクリニック」でありたいと思っています。古くからのコミュニティーが根強いエリアなので、ご近所の方同士が鉢合わせて気まずくならないよう、女性専用待合室も作るなどの工夫もしました。お尻の悩みを相談したくても「誰かに見られたらどうしよう」などとためらっていた方にも、気軽に足を運んでほしいです。
クリニックの柱の一つ、内視鏡検査について詳しく教えてください。
長年、内視鏡検査に携わってきた中で、痛みに対して不安を抱えている方の多さを実感しました。怖さを取り除くため、希望があれば静脈内鎮静法を併用していますが、強すぎる鎮静剤もまたリスクがあります。必要最低限の薬剤でも患者さんが極力苦痛を感じないよう検査を行うには挿入テクニックが問われるため、日々、研鑽を積んできました。大腸内視鏡検査では、痛みに配慮した無送気軸保持短縮法を採用し、腸を丁寧に畳み込んで短縮しながらカメラを進めます。病変を詳しく確認するために腸を膨らませる時には空気ではなく吸収されやすい二酸化炭素を使用し、検査後も患者さんがおなかの張りなどを感じにくいようにしました。ポリープが見つかった場合は、小さいものならば検査しながら同時に切除術を行うことも可能です。
下剤が飲める個室は3つあるそうですね。

それぞれの個室には専用トイレもついています。もちろん、自宅で下剤を飲んでいただくのでも問題ありませんが、都心部のようにクリニックまでたどり着く途中、どこにでもトイレがあるという環境ではありません。遠方からいらっしゃる患者さんのためにもトイレつきの個室を多めに設置しました。また、内視鏡検査室の照明はブルーライトLEDを使用。真っ暗な状態よりも青い光で薄暗くしたほうが患者さんもリラックスしやすいと思いますし、医師も検査しやすいといわれ、最近、採用する病院が増えているんです。さらに、大腸カメラ・胃カメラとも新しいシステムを導入することができました。細いカメラでありながら、太いタイプと遜色ない鮮明な画像を撮影できる先進機器です。患者さんの心と体の負担を少なく、なおかつ精密な検査ができるようこれからも尽力していきます。
勤務医時代の経験を生かし、肛門疾患の手術にも対応
次に、先生が医師になったきっかけやご経歴を教えていただけますか。

中学3年生の時、1ヵ月ほど親元を離れて長期入院した経験から、医療を意識するようになりました。優しくしてくれた医師、看護師、同室の大人たちのことを今でもよく覚えています。もともと理系科目が好きで、ラジオを分解しては組み立て直すといった手先を動かすことが好きな子どもでした。漠然と将来はエンジニアなどを考えていましたが、入院生活を転機に医学を志すようになりました。外科を選択したのも、手を動かす仕事というところに心惹かれたのだと思います。東京医科歯科大学第一外科に入局し、さまざまな地域の基幹病院の消化器外科に出向して数多くの手術を経験しました。中でも主に大腸を担当していたのですが、どうしても肛門との関わりが深い分野です。肛門外科を専門とする医師が著しく不足していることも知り、東葛辻仲病院で修行しようと決意。辻仲つくば胃腸肛門クリニックの院長を11年務めた後に当院を開業しました。
こちらの肛門外科では日帰り手術も行っているのですね。
イボ痔、痔瘻、切れ痔の日帰り手術を行っています。入院が必要といわれて困っている方もいるかもしれませんが、術式を工夫すれば日帰り手術が可能になるケースも多々あります。私は数多くの手術に携わってきましたので、セカンドオピニオンとしても利用していただければと思っています。とはいえ、手術が必要な痔は全体の2割程度だと考えます。だいたいが投薬で改善することが多いですが、長年患っていると手術が必要な可能性も高くなってしまうので、できるだけ早く治療を始めることをお勧めします。検査するときは、患者さんは診察台に横たわったままで行うのでご安心ください。
診療にあたって何を大切にしていますか。

患者さんの症状だけではなくライフスタイルにも詳しく耳を傾けるようにしています。おなかもお尻も、悪い生活習慣から問題が引き起こされるといっても過言ではありません。どのような食生活なのか、睡眠は十分に取れているのかなども、よく伺うようにしています。薬を1つ処方するだけでも、患者さんをしっかりと診察して悩むプロセスは絶対に必要です。内視鏡検査や日帰り手術に特色があるクリニックではありますが、そもそも「なぜその病気になったのか」と検証することも大事にしています。検査をしておしまい、ということはありません。健康診断の便潜血検査で引っかかった方もご相談ください。見つかった問題、これから起こり得る問題などに関しても、かかりつけ医として長い目で診ていきたいと思っています。
おなかとお尻を末永く見守るホームドクターに
今後の展望についてお聞かせください。

内視鏡検査も肛門の診察と手術も、女性医師を求める女性の患者さんは少なくありません。「男の先生だけならやめておこう」と受診を控えてしまう方もいるので、いずれは女性医師も迎えたいと思っています。大腸がんは女性の死因の上位ということもありますし、気兼ねなく受診してもらえるようにもっとできることはないか、スタッフ一同で常に考えています。開業前からスタッフたちと積極的に意見交換をして、みんなでつくりあげたクリニックです。今後とも、スタッフが楽しく明るく働けるように院内環境を整えることにも尽力していきたいですね。
お忙しい毎日ですが休日はどうお過ごしですか。
中学から吹奏楽部やJazz研究会に所属していたのもあり、休日はよく楽器を演奏しています。今ではなかなか外での演奏機会はなくなりましたが、コロナ禍前まではお店でテナーサックスやフルートを演奏したりもしていました。登山とマラソンも趣味で、山の中を走るトレイルランニングにもよく参加していました。富士山の近くで開催された大会にも参加しましたが、20〜30kmのコースは山あり谷ありで楽しかったです。また、天体観測も好きで、山に登っては土星や星雲などの天文写真を撮影するといったこともしていました。最近は時間がなくてあまりできていないのですが、また余裕ができたら再開したいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

このエリアでは、これまで内視鏡検査を受けられるクリニックが不足しており、バリウム検査しか受けたことがないという方も少なくないと思います。しかし、内視鏡検査はバリウム検査では難しいごく初期の病変の発見にも役立つ検査です。早期発見、早期治療と管理で健康寿命を長くするためにも、一度は内視鏡検査を活用してほしいと切に願っています。また、肛門診療に関しても、患者さんの「恥ずかしい」という気持ちに最大限配慮して、ストレスなく受診していただけるように環境を整えました。これまで、どこにも相談できなかった方や、治療はしているけれどなかなか改善しないという方のお力になりたいです。その他、おなかやお尻のどんな小さなお悩みでも、遠慮なくご相談ください。