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佐羽内 研 院長の独自取材記事

さばない整形外科

(北九州市八幡西区/黒崎駅)

最終更新日:2025/01/21

佐羽内研院長 さばない整形外科 main

産業医科大学病院などの整形外科で長年腕を磨いてきた佐羽内研(さばない・けん)院長。2024年6月に「さばない整形外科」を開業した。「高齢者の脆弱性骨折はその後の生活を激変させ、命までも左右してしまう。これをどうにか未然に防ぎたい」という熱い思いがかたちとなったクリニックだ。広々とした駐車場を備えるクリニックで、幅広い世代を対象に体のさまざまな痛みやしびれなどの症状に適切な診断と治療、そしてリハビリテーションの提供に努めている。注力するのは、加齢に伴い骨がもろくなる骨粗しょう症の予防と治療だ。「骨折してしまう前に、骨粗しょう症の検査と治療を受けてほしい。私が積極的に地域に出て、啓発にも取り組んでいきたいです」と、話す佐羽内院長に、診療にかける思いを聞いた。

(取材日2024年12月5日)

骨粗しょう症の予防・治療に全力を注ぐ

医師を志し、整形外科の道に進んだ理由から聞かせてください。

佐羽内研院長 さばない整形外科1

高校生の頃までは進路について特に何も考えていなかったのですが、周囲に医学部志望の友人がいたりして、「そもそも医師って何をするんだ?」と、ふと思い、仕事の詳細を具体的に調べてみたのが本格的に医師を志すようになったきっかけかもしれません。人を診たり基礎的な研究をしたり、そうして人の役に立てるならやりがいがあるだろうな、よし、めざしてみるかと。しかし医学部は不合格で、いったんは東京理科大学に入りましたがひそかに勉強を続け、産業医科大学医学部に進学しました。整形外科医の道を選んだのは、病棟実習などでいろいろな科を回る中で、整形外科病棟の明るさが私には合っていると思ったからです。内科系の病棟に比べて整形外科は基本的に予後に期待の持てる患者さんが多くやりがいを感じました。

それから20年以上、各地の基幹病院に勤務し、2024年6月に北九州市八幡西区に開業されました。

産業医科大学大学院を修了し、私の専門領域の人工関節置換術に力を入れている東北労災病院など各地で研鑽を重ねてきました。ただ50歳を過ぎた頃から、将来のことを考えるようになりました。長く医療の現場にはいたいけれど、ハードワークな手術や病棟管理といった仕事をいつまで続けられるのかという懸念はありました。実は当初、開業という選択肢は優先順位としては高くありませんでした。きっかけとなったのは、一般病院に勤務する中でたくさん、本当にたくさん見た、高齢者の脆弱性骨折をどうにかしなくてはいけないという社会的使命感が私の中で芽生えたことです。骨折する前に大本を断つ、骨粗しょう症の予防医療を地域でしっかりやらなければという使命感が私の中に芽生えたことが大きかったと思います。

具体的にどのような診療に取り組まれていますか?

佐羽内研院長 さばない整形外科2

首、肩、肘、手首、腰、股関節、膝など、全身のさまざまな痛みやしびれなどの症状に適切な診断と治療を、そしてリハビリテーションを提供することに努めています。中でも骨粗しょう症の予防に注力していて、リハビリテーションでは特に下肢の筋力を回復させて転倒と骨折を予防することを大きな目標にしています。骨の周りの筋肉を鍛えることは、骨自体を守ることにもつながります。リハビリテーションをして力がついて、例えば、手をつかないと立てなかったのがどこにもつかまらずにすっと立てるようになったりすると、皆さん急に元気が出て、「私まだやれる気がする」「最近すごく調子がいい」と喜ばれると思います。理学療法士は現在5人。熱心に献身的に働く、仕事が大好きな人ばかりで患者さんが少ないと寂しそうにしているので(笑)、どんどん利用してください。

高齢者の脆弱性骨折をなんとか阻止したい

骨粗しょう症の予防医療を、診療の柱とされていますね。

佐羽内研院長 さばない整形外科3

骨粗しょう症は自覚症状がなく、症状として現れるのは唯一、骨折です。高齢者の骨折は要介護となるリスクが高く“死に病”といわれるほどで、特に、大腿骨近位部骨折では1年以内の死亡率が非常に高いのが現状です。骨折して動けなくなり、無機質な病室にいるうちに認知症になってリハビリテーションも進まず寝たきり状態になって誤嚥性肺炎などの合併症を併発したり、骨折すると血栓が起こるリスクも高まるので心臓や脳で梗塞を起こしたりと、急速に弱っていく傾向にあります。身長が低くなってきた、腰が曲がってきたという方は圧迫骨折を起こしていることも考えられるので、早急に治療を始めて、逆流性食道炎などの合併症や深刻な骨折を防いでいきましょう。特に女性は、少なくとも60歳になったら骨密度検査を受けてください。絶対に、マストです。

骨折してしまう前に、骨粗しょう症の治療を始めることが肝心というわけですね。

60歳を過ぎて骨密度検査を受け、治療の必要なしと診断される女性の割合は低いと思います。80歳を超えると女性の大半は治療対象になりますし、男性も治療が必要な方が増えてきます。日本では骨粗しょう症の治療率は約3割といわれていて、本来治療を受けるべき方たちの掘り起こしが急務です。以前は骨折で入院した患者さんに対し、骨折の治療はするけれど骨粗しょう症の治療はすることなく帰していたので、すぐまた今度は反対側を骨折して入院してくるというようなことが繰り返されていました。国の意向もあり、最近ようやく基幹病院では、大腿骨近位部骨折の場合は骨粗しょう症の評価と治療も行い、地域の医療機関につなぐというシステムが動き始めました。骨粗しょう症は薬物治療が基本。内服薬や注射薬など患者さんのライフスタイルに合ったものを選び、それと併用して運動指導と食事指導も取り入れながら進めていきます。

院長ご自身の健康法を教えてください。

佐羽内研院長 さばない整形外科4

縄跳びを毎日2000回しています。15分くらいですぐ終わりますが運動負荷が高く、太ももの前方にある四頭筋や、第二の心臓といわれる膝下の腓腹筋を鍛えることができ、ジャンプで骨に刺激を与える意味でも優れたトレーニングだと思います。冬は寒いから、家の中でテレビを見ながらの“エア縄跳び”になりがちですが(笑)。マラソンは週末に10キロ走る程度ですが年1回はフルマラソンに出ようと頑張っていて、北九州マラソンには初回から出場しています。また、栄養面にも気をつけています。必要量を食品から毎日コンスタントに取るのは至難の業なので、サプリメントも活用しながら、骨を作るのにとても重要なビタミンDとビタミンKの摂取を心がけています。

地域に出て啓発も。“攻め”の姿勢を貫く

明るく広々とした院内で、院長とスタッフが気兼ねなく声をかけ合う様子も印象的です。

佐羽内研院長 さばない整形外科5

ありがとうございます。スタッフ間できめ細かに意思疎通を図ることはより良い医療の第一歩ですから。診察室は2部屋あり、私が行き来することで効率の良い診察を心がけており、うち1部屋はプライバシーに配慮した個室です。設備はエックス線や超音波エコーに加え、腰と股関節の骨密度を測定することでより精密な結果が得られる骨密度測定装置を導入。この骨密度検査は10分程度横になるだけで、体への負担も少なく、保険診療で受けられます。リハビリテーション室はゆとりある広いスペースを確保しており、入り口はガラス張りでオープンな雰囲気。来院された方がリハビリテーションの様子を見て、私もやってみようかなと興味を持っていただけるとうれしいです。

横浜市出身で各地で勤務経験のある院長から見て、北九州市はどんな街ですか?

首都圏は人が多すぎて疲れるので私は地方のほうが好きなのですが、中でも北九州市はすごく恵まれた街だと思います。インフラがこれだけ整っていて交通の便が良く、医療も充実している、こんな地方都市なかなかないですよ。空港は北九州も福岡も両方使えるし、北九州空港なんて早朝から深夜まで利用できる、新幹線の駅もある。医療面でも、幅広い分野の重症疾患の治療を市内の医療機関でほぼ完結させることができます。海も山も近く、魚も野菜も安くておいしい。地元の皆さんは気づいていないかもしれませんが本当に暮らしやすい、良いところです。

今後の展望を聞かせてください。

佐羽内研院長 さばない整形外科6

“攻め”の骨粗しょう症治療をしたいと思っています。骨粗しょう症は痛みなどの自覚症状がないので、本当は治療が必要な方もなかなか病院に来てくださらないし、放置する怖さを知らない方があまりにも多いです。ならば、私が地域に出ていき、骨粗しょう症や高齢者の脆弱性骨折の啓発活動に取り組んでいきたいと考えています。皆さんとざっくばらんにお話しできればと思いますので、セミナーや茶話会などでお気軽にご相談ください。

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