玉江 昭裕 院長の独自取材記事
たまえ耳鼻咽喉科
(宗像市/東郷駅)
最終更新日:2024/12/05

宗像市で2024年6月に開業した「たまえ耳鼻咽喉科」。クリニックの外観には笑顔の太陽がデザインされ、訪れる人を優しく迎えている。玉江昭裕院長は、九州大学病院や浜の町病院などに長年勤務し、耳・鼻・喉・頸部の手術やがんの治療に携わってきたベテラン医師。同院では耳鼻咽喉科の幅広い症状に対応し、内視鏡や耳鼻咽喉科用CTなど検査機器も導入している。玉江院長の専門は聴覚で、難聴の治療や補聴器診療などが得意分野。「地域のかかりつけの耳鼻咽喉科として、0歳の赤ちゃんやお子さん、学生さん、親御さん、そしてご高齢の方までのさまざまなお困り事を解決していくのが当院の務めだと考えています」と、地域医療への意欲を見せる玉江院長に、クリニックの診療方針や子どもの診療、補聴器診療、地域に対する思いなどについて話を聞いた。
(取材日2024年11月6日)
子どもから高齢者まで、幅広い世代の患者を診察
にっこり笑顔のロゴマークが目印ですね。

子どもから大人まで幅広い年齢の人に来てもらえるクリニックをめざしており、すべての人を包み込むような温かな雰囲気のクリニックにしたいと考え、ロゴマークは太陽をメインにデザインしました。太陽に合わせて、院内のインテリアにも所々にオレンジ色を取り入れています。また、お子さんが診療までの時間をリラックスして待てるよう、待合室にはキッズスペースも用意しました。小さなお子さん連れの方が気兼ねなくお使いいただけるとうれしいですね。
これまでのご経歴や専門分野について聞かせてください。
私は九州大学医学部の出身です。大学6年生の臨床実習の際に、耳鼻咽喉科の扱う範囲の広さや手術の多彩さに衝撃を受け、耳鼻咽喉科を専門に選びました。大学卒業後は、九州大学病院や北九州市立医療センター、九州厚生年金病院(現・JCHO九州病院)、浜の町病院などに勤務し、耳・鼻・喉・頸部の手術や頭頸部がんの集学的治療など、幅広い分野の診療をしてきました。専門は聴覚で、手術に加え研究会での発表や論文の執筆などにも精力的に取り組んできました。
開業されたきっかけを教えてください。

何か新しいことに挑戦したいと思ったからです。ちょうどそのようなタイミングで開業のお話をいただき、開業してみようと決めました。この場所にはもともと、九州大学の医局の先輩が院長をされていたさとう耳鼻咽喉科クリニックがありました。10年ほど診療していたのですが、残念ながら数年前に院長が亡くなり閉院となりました。この度は、院名は変えたものの、そのクリニックを引き継いで開業することとなりました。この辺りは耳鼻咽喉科が少なく、さとう耳鼻咽喉科クリニックが閉院したことで地域の人も困っていたようで、開業してからは「ここにまた耳鼻咽喉科ができて良かった」と言っていただけることが多いです。
子どもの鼻・耳・喉の症状を、丁寧に、素早く対応
お子さんの症状では、どのようなご相談が多いですか?

鼻詰まりや喉の痛みといった風邪症状で受診される患者さんや、アレルギー性鼻炎の患者さん、聞こえがおかしいと言う患者さんが多いです。耳・鼻・喉に関することであれば幅広く対応できますので、痛みや違和感があればなんでも相談してほしいと思います。耳掃除や薬の飲み方など、どんな相談でも構いません。特にお子さんの場合は、風邪をひくと中耳炎になりやすく、中には中耳炎や鼻炎を繰り返してしまう子もいるため、できるだけ早めに受診してもらいたいと思います。また、インフルエンザワクチンの接種のほか、指先から採取した少量の血液で、ダニや花粉、動物や食べ物など41項目を調べられるアレルギー検査、歪成分耳音響放射検査という乳幼児向けの聴力検査も必要に応じて行うなど、お子さんの健やかな成長をサポートできる環境を整えています。
子どもの症状で来院する保護者は不安でいっぱいだと思いますが、診察の際、大切にされていることは?
来院されるということは、どこか悪い所や心配事があるからで、皆さんお困りになっていたり、痛みやつらさで不安な気持ちを抱えていたりすることでしょう。そうした患者さんの気持ちに配慮して、病気を治療するのはもちろん、私が「大丈夫ですよ」とお伝えすることで、患者さんに安心してもらいたいと思います。特にお子さんの場合は言葉が伝わらないこともありますから、親御さんに正確な情報をお伝えし、ほっとしてもらうことが大切ですね。お子さんにはできるだけ「今から喉見せてね」などと話しかけ、恐怖心を払拭できるように心がけています。ほかにも、できたことを褒めたりすると、お子さんの心の成長にもつながるのではないでしょうか。
小児科にかかるか、耳鼻咽喉科にかかるか迷う人も多いと聞きます。

花粉症や鼻炎以外の風邪症状であっても、鼻水や耳の痛み、喉の痛みなどを訴える場合は耳鼻咽喉科が良いでしょう。一方で小児科が適しているのは、腹痛はあるけれど耳・鼻・喉の症状がない風邪、喘息などです。名前のとおり「鼻・耳・喉」に症状があれば耳鼻咽喉科に行くと考えると良いと思いますよ。また熱などの症状がなくても、お子さんの鼻吸いや耳掃除なども耳鼻咽喉科の得意分野です。自宅だと暗くてよく見えない、やり方がわからない、お子さんがじっとしていないのでやりづらいこともあるでしょう。そういったときは私たちをぜひ頼っていただきたいですね。
地域の人に「あって良かった」と思われるクリニックに
スタッフさんについてもお聞かせください。

当院で働くスタッフは、院長の私から見ても親切なスタッフばかりで、子どもとの接し方もとても上手です。全員が患者さんに気持ち良く帰ってもらいたいという思いを持って、仕事にあたってくれています。診察時はカルテ入力を補助するスタッフが隣にいるため、患者さんや保護者の方としっかり向き合って診療ができるので非常に心強いですね。やはり親御さんが納得して、安心して治療を受けられる点はとても大切ですから。スタッフもお子さんの安全を考えて行動してくれているので、治療や吸入が終わった時には「よく頑張ったね」などと子どもを全力で褒めている姿をよく見ています。私を含め、スタッフ一同、地域のクリニックとして、患者さんに寄り添うという姿勢を常に忘れずにいたいと思います。
難聴や補聴器診療も専門とされているそうですね。
聞こえに困っている方のための補聴器診療を行っています。私の専門が聴覚であることに加え、補聴器の専門知識を持つ言語聴覚士、認定補聴器技能者が在籍し、補聴器販売店とも連携して必要な検査や補聴器の調整を行いますので、「よくわからないまま買わされた」ということはありません。補聴器の装着には慣れも必要です。「補聴器販売店で買ったけど、なんとなく合わなくて使っていない」ということにならないよう、当院では3ヵ月ほどの貸し出し期間を設け、実際に使ってみながら本当にご自身に合っている補聴器を選んでいただける体制を整えています。また、補聴器の使用を開始後は、定期的なメンテナンスも必要です。補聴器選びだけではなく、耳垢がたまるなどの耳内の変化や加齢による聴力の変化に対して細かく対応できるのも、当院ならではの強みでしょう。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

クリニックでは総合病院と違い、耳垢を取ったり、薬を出したりといったちょっとした体のメンテナンスも大切な仕事の一つです。お子さんと親御さんが一緒に通院するのも大歓迎です。帰宅後に「子どもの検査の時にこう言われたけど、もうちょっと詳しく知りたい」と思うこともあるでしょうから、気になることがあったら、気兼ねなくいつでも相談にいらしてください。またご高齢の方は、聞こえの悪いまま放置すると事故や社会的孤立、認知症につながる恐れがあります。患者さん本人でもご家族でも、聞こえの問題で生活に支障を感じ始めたら耳鼻咽喉科を受診してほしいですね。専門的な検査や治療経験を生かしながら、お子さんのワクチン接種から補聴器診療まで、地域のニーズにしっかりと応えていくつもりです。